[PB046] 特別支援学校における着替えの自立に関する指導
Keywords:自閉症, 課題分析
Ⅰ 目的
本研究では、自発的に着替えを行わず活動が進行しない児童に対して自発的な着替えを目的として指導を行った。
Ⅱ方法
1.対象児の概要
対象児は、知的障害を伴い(IQ42)自閉症と診断された県立特別支援学校に通う小学部2年生の男児である。
2.指導手続き
ベースラインでは、本児が遊び始めたり他の活動をするなど着替えが中断し、5秒たっても生起しない時に、「指さし」→「声かけ」→「具体物を見せガイド」の順で支援を行った。
介入では、本児の着替え場面を撮影し、作成した手順表を用いて支援を行った。標的行動が生起しない場合、「手順表指さし」→「声かけ」→「ガイド」の順に支援を行った。また、本児が手順表を用いて標的行動を自発した際は言語賞賛を行った。しかし、介入の途中に手順表で遊び、標的行動が自発しなくなったため、介入2として本児が着替えを行う際に本児の傍に立ち、手順表を指さしながら「次は何かな?」「次をめくってごらん。」とプロンプトした。また、手順表を注視した後に遊び始めた際は、本児の注意を手順表に向け「次は『ズボンをはく』だね。」と次の工程を提示した。
般化では、母親に介入方法を伝え、手順表とチェックシートを渡し、家庭での着替えを測定した。
Ⅲ結果及び考察
介入により、自発的に生起した工程が増加し、家庭での着替えにも般化した。このことから、手順表という視覚的な支援により次にすべき行動が明確になり、手順表を用いない時よりも少ない支援で標的行動が生起したと考えられた。しかし本研究では、介入者が傍につき手順表を本児と共に確認しており、本児一人で手順表を用いて自発的に着替えを行うことはできなかった。今回の研究の課題として以下のことが考えられる。
まず、できなかった工程への支援である。今回、9/11工程が自発的に生起するようになったが、「袋から着替える服を出す」「脱いだ服をたたむ」という2つの工程が自発的に生起しないことが多かった。しかし本児は、「2番、シューズを脱ぐ。」「全部できました。着替えおしまい。」等、工程を言語化し、自発していた。つまり、視覚的手がかりを言語化することで次の行動を弁別し、連鎖した一連の行動を行っていたのではないかと考えられる。よって、生起率の低い2工程に関しても、モデル提示→模倣など、一連のパターンをルーティン化することで本児がすでに習得している工程の言語化を促し、生起率が上昇すると考えられる。つまり、視覚的支援に加えて本児の言語化による確認行動が2工程自発の弁別刺激になると考えられる。
次に、自発的生起に関する手続きについてである。本児は工程の途中で逸脱し、それに対して活動に戻るよう指示をしていた。また、“今から着替える”ことについて指示をしていた。
手順表を用いて着替えという一連の連鎖を自発するためには、着替えをしなければいけない時に自発的に手順表を参照する行動が生起し、着替えを遂行する必要がある。そのため、今後は指示やモデル提示などのプロンプトを段階的にフェイドアウトし、着替え行動が自発的に生起するよう、着替え行動の生起及び一連の連鎖成立に関する弁別刺激をシフトしていく必要があると考えられる。
本研究では、自発的に着替えを行わず活動が進行しない児童に対して自発的な着替えを目的として指導を行った。
Ⅱ方法
1.対象児の概要
対象児は、知的障害を伴い(IQ42)自閉症と診断された県立特別支援学校に通う小学部2年生の男児である。
2.指導手続き
ベースラインでは、本児が遊び始めたり他の活動をするなど着替えが中断し、5秒たっても生起しない時に、「指さし」→「声かけ」→「具体物を見せガイド」の順で支援を行った。
介入では、本児の着替え場面を撮影し、作成した手順表を用いて支援を行った。標的行動が生起しない場合、「手順表指さし」→「声かけ」→「ガイド」の順に支援を行った。また、本児が手順表を用いて標的行動を自発した際は言語賞賛を行った。しかし、介入の途中に手順表で遊び、標的行動が自発しなくなったため、介入2として本児が着替えを行う際に本児の傍に立ち、手順表を指さしながら「次は何かな?」「次をめくってごらん。」とプロンプトした。また、手順表を注視した後に遊び始めた際は、本児の注意を手順表に向け「次は『ズボンをはく』だね。」と次の工程を提示した。
般化では、母親に介入方法を伝え、手順表とチェックシートを渡し、家庭での着替えを測定した。
Ⅲ結果及び考察
介入により、自発的に生起した工程が増加し、家庭での着替えにも般化した。このことから、手順表という視覚的な支援により次にすべき行動が明確になり、手順表を用いない時よりも少ない支援で標的行動が生起したと考えられた。しかし本研究では、介入者が傍につき手順表を本児と共に確認しており、本児一人で手順表を用いて自発的に着替えを行うことはできなかった。今回の研究の課題として以下のことが考えられる。
まず、できなかった工程への支援である。今回、9/11工程が自発的に生起するようになったが、「袋から着替える服を出す」「脱いだ服をたたむ」という2つの工程が自発的に生起しないことが多かった。しかし本児は、「2番、シューズを脱ぐ。」「全部できました。着替えおしまい。」等、工程を言語化し、自発していた。つまり、視覚的手がかりを言語化することで次の行動を弁別し、連鎖した一連の行動を行っていたのではないかと考えられる。よって、生起率の低い2工程に関しても、モデル提示→模倣など、一連のパターンをルーティン化することで本児がすでに習得している工程の言語化を促し、生起率が上昇すると考えられる。つまり、視覚的支援に加えて本児の言語化による確認行動が2工程自発の弁別刺激になると考えられる。
次に、自発的生起に関する手続きについてである。本児は工程の途中で逸脱し、それに対して活動に戻るよう指示をしていた。また、“今から着替える”ことについて指示をしていた。
手順表を用いて着替えという一連の連鎖を自発するためには、着替えをしなければいけない時に自発的に手順表を参照する行動が生起し、着替えを遂行する必要がある。そのため、今後は指示やモデル提示などのプロンプトを段階的にフェイドアウトし、着替え行動が自発的に生起するよう、着替え行動の生起及び一連の連鎖成立に関する弁別刺激をシフトしていく必要があると考えられる。