The 56th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PB

(5階ラウンジ)

Fri. Nov 7, 2014 1:30 PM - 3:30 PM 5階ラウンジ (5階)

[PB063] キャリア・アダプタビリティ尺度の作成

杉本英晴 (中部大学)

Keywords:キャリア・アダプタビリティ, 進路意思決定, 大学生

【問題と目的】
近年,従来の長期雇用慣行などを前提とした安定的な社会から流動的な社会へと移行しつつある。こうした流動的な社会では,自律的なキャリア選択が求められ,キャリア・アダプタビリティ形成の重要性が指摘されている (Savickas, 2011)。
キャリア・アダプタビリティとは,「変化できる資質,大きな困難なくして新しいあるいは変化した環境に適応できる資質」とされる(Savickas, 1997, 2011)。具体的には,関心,コントロール,好奇心,自信の4次元から構成され (Savickas, 1997, 2011),キャリア・アダプタビリティが身についているほど自律的なキャリア選択が促されることが指摘されてきた (Creed, Fallon, & Hood, 2009)。
そこで本研究では,自律的なキャリア選択を促す教育・支援に援用可能なキャリア・アダプタビリティ尺度を作成することを目的とする。信頼性については内部一貫性の観点から,妥当性については,進路意思決定に影響を及ぼすとされる時間的展望や自己効力との関連性,および,内定獲得状況との関連性から検討する。
【方法】
調査対象者 東海圏の大学に通う大学生257 名 (1年生: 81名,2年生: 61名,3年生: 36名,4年生: 79名),平均年齢20.45歳 (SD = 1.56) であった。
調査内容 ①キャリア・アダプタビリティ: Savickas & Porfeli (2012) やNota, Ginevra, & Soresi (2012) を参考に,キャリア・アダプタビリティ尺度 (29項目, 5件法) を作成した。②進路意思決定状況: 就職活動の状況 (3件法),進路決定の有無 (2件法) について回答を求めた。④時間的展望: 白井 (1991) の時間的展望尺度 (19項目, 5件法) を用いた。⑤自己効力: 浦上 (1995) の進路選択に対する自己効力尺度 (30項目, 4件法) を用いた。
手続き 調査の同意が得られた学生に,上記の調査内容を含んだ質問紙を配布し,後日回収した。
【結果】
尺度構成 キャリア・アダプタビリティ尺度について,探索的因子分析 (最尤法・Promax回転) を行った結果,解釈可能性から4因子解を採用した。Savickas & Porfeli (2012) と同様の因子構造が確認されたため,第Ⅰ因子は「コントロール」,第Ⅱ因子は「好奇心」,第Ⅲ因子は「自信」,第Ⅳ因子は「関心」と解釈された。
次に,キャリア・アダプタビリティ尺度の信頼性を検討するため,各下位尺度についてCronbachのα係数を算出した。その結果,全下位尺度において,十分な値が確認された (α = .72~.77)。
妥当性の検討 時間的展望尺度と進路選択に対する自己効力尺度についてもCronbachのα係数を算出した結果,十分な値が確認された (時間的展望尺度: α = .87; 自己効力尺度: α = .91)。そこで,全尺度の加算平均を算出し,各尺度得点とした。
次に,キャリア・アダプタビリティ尺度と時間的展望尺度,自己効力尺度との相関係数を算出した。その結果,キャリア・アダプタビリティ尺度の各下位尺度は,時間的展望尺度との間に正の相関 (r = .34~.59, p < .001) を,自己効力尺度との間に正の相関 (r = .57~.66, p < .001) を示した。
さらに,4年生の内定獲得状況とキャリア・アダプタビリティ尺度の関連について検討すべく,就職活動状況と進路決定状況から4年生を内定獲得群と内定未獲得群の2群に分類した。その上で,内定獲得状況 (獲得群・未獲得群) を独立変数,キャリア・アダプタビリティ尺度の各下位尺度得点を従属変数とした一要因分散分析を行った (Table 1)。その結果,キャリア・アダプタビリティ尺度の全下位尺度得点において,内定未獲得群よりも内定獲得群の得点が有意に高かった。
【考察】
本調査の結果,4因子構造のキャリア・アダプタビリティ尺度が作成され,十分な信頼性と妥当性が確認された。今後の課題として,キャリア・アダプタビリティの形成過程を明らかにし,教育・支援の可能性を検討することが求められる。