[PB087] 現代青年の友人関係における“キャラ”の受け止め方の発達
学校段階による比較
Keywords:現代青年, キャラ, 発達
【問題と目的】
現代青年の友人関係では,“キャラ”を介したコミュニケーションが多用されている(瀬沼, 2007)。“キャラ”とは,集団の中での個人の立ち位置や役割を表す用語であり,様々な種類が存在する。個人がキャラを有することは,教室内でのいじめ関係に発展しやすいことなどが,社会学的観点から論考されている(土井, 2009; 本間, 2009; 向井, 2009)。本研究では,青年が“キャラ”をどのように受け止めているかを,発達的観点から明らかにする。
【方法】
調査対象者 中学生396 名(男性216 名, 女性179 名, 不明1 名),高校1 生120 名(男性60 名, 女性60 名),大学生242 名(男性83名, 女性159 名, 不明2 名)の計760 名。
調査項目 1. キャラの有無と種類:“普段,友達から‘あなたは,○○キャラだね’などと言われることがありますか?” 2. キャラの受け止め方10 項目:キャラの受容,キャラの拒否,キャラへの無関心の。3. 周囲の享楽的反応4 項目。全項目を5 件法で尋ねた。
【結果と考察】
学校段階別のキャラの有無と種類の割合 キャラの有無について学校段階別に集計し,カイ二乗分析を行ったところ有意であり(χ2= 48.51, p < .001),残差分析を行った(Table 1)。その結果,中学生ではキャラを有さない者が多く,高校生と大学生ではキャラを有する者が多いことが明らかにされた。また,キャラの種類に関しては316 個の記述が得られ,心理学を専攻する大学院生2 名と大学生3 名によってKJ 法を使用して分類を行った。その結果,最終的に“いじられ(26.8%)”,“天然(24.7%)”,“お笑い(14.0%)”,“いじり(13.4%)”,“変人(13.0%)”,“まじめ(8.0%)”の6 カテゴリが得られた。続いて,この6 カテゴリを学校段階別に集計し,カイ二乗分析を行ったところ有意であり(χ2 = 22.17, p< .05),残差分析を行った。その結果,中学生で“いじられ”の割合が高く(キャラを有する中学生のうち39.8%), 高校生で“変人(23.2%)”の割合が高かった。キャラの種類ごとの得点の比較 キャラの6種類を要因とし,キャラの受け止め方,周囲の享楽的反応を従属変数とした一要因分散分析を行った(Figure 1)。キャラの受容,キャラの拒否,周囲の享楽的反応で有意差が示された。多重比較の結果,“いじられ”ではキャラの拒否が“変人”と“まじめ”を除く他のキャラよりも高く,周囲の享楽的な反応は“まじめ”や“お笑い”よりも高かった。
以上の結果から,学校段階が上がるにつれて,キャラを有する者は増え,中学生で“いじられ”キャラが多く,“いじられ”キャラの者は,自分のキャラを嫌いやすい一方で,周囲からは面白がられていることが示唆された。
Key word 現代青年,キャラ,発達
現代青年の友人関係では,“キャラ”を介したコミュニケーションが多用されている(瀬沼, 2007)。“キャラ”とは,集団の中での個人の立ち位置や役割を表す用語であり,様々な種類が存在する。個人がキャラを有することは,教室内でのいじめ関係に発展しやすいことなどが,社会学的観点から論考されている(土井, 2009; 本間, 2009; 向井, 2009)。本研究では,青年が“キャラ”をどのように受け止めているかを,発達的観点から明らかにする。
【方法】
調査対象者 中学生396 名(男性216 名, 女性179 名, 不明1 名),高校1 生120 名(男性60 名, 女性60 名),大学生242 名(男性83名, 女性159 名, 不明2 名)の計760 名。
調査項目 1. キャラの有無と種類:“普段,友達から‘あなたは,○○キャラだね’などと言われることがありますか?” 2. キャラの受け止め方10 項目:キャラの受容,キャラの拒否,キャラへの無関心の。3. 周囲の享楽的反応4 項目。全項目を5 件法で尋ねた。
【結果と考察】
学校段階別のキャラの有無と種類の割合 キャラの有無について学校段階別に集計し,カイ二乗分析を行ったところ有意であり(χ2= 48.51, p < .001),残差分析を行った(Table 1)。その結果,中学生ではキャラを有さない者が多く,高校生と大学生ではキャラを有する者が多いことが明らかにされた。また,キャラの種類に関しては316 個の記述が得られ,心理学を専攻する大学院生2 名と大学生3 名によってKJ 法を使用して分類を行った。その結果,最終的に“いじられ(26.8%)”,“天然(24.7%)”,“お笑い(14.0%)”,“いじり(13.4%)”,“変人(13.0%)”,“まじめ(8.0%)”の6 カテゴリが得られた。続いて,この6 カテゴリを学校段階別に集計し,カイ二乗分析を行ったところ有意であり(χ2 = 22.17, p< .05),残差分析を行った。その結果,中学生で“いじられ”の割合が高く(キャラを有する中学生のうち39.8%), 高校生で“変人(23.2%)”の割合が高かった。キャラの種類ごとの得点の比較 キャラの6種類を要因とし,キャラの受け止め方,周囲の享楽的反応を従属変数とした一要因分散分析を行った(Figure 1)。キャラの受容,キャラの拒否,周囲の享楽的反応で有意差が示された。多重比較の結果,“いじられ”ではキャラの拒否が“変人”と“まじめ”を除く他のキャラよりも高く,周囲の享楽的な反応は“まじめ”や“お笑い”よりも高かった。
以上の結果から,学校段階が上がるにつれて,キャラを有する者は増え,中学生で“いじられ”キャラが多く,“いじられ”キャラの者は,自分のキャラを嫌いやすい一方で,周囲からは面白がられていることが示唆された。
Key word 現代青年,キャラ,発達