The 56th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PB

(501)

Fri. Nov 7, 2014 1:30 PM - 3:30 PM 501 (5階)

[PB091] 小学校5年生時の遊び経験と青年期の社会性との関連(1)

社会的スキルの発達

神藤貴昭1, 光浪睦美2, 王松3, 久木山健一4, 伊藤崇達5, 門田幸太郎1, 小石寛文2 (1.立命館大学, 2.神戸学院大学)

Keywords:社会性の発達, 遊び集団体験, 社会的スキル

問題と目的
本研究は,いわゆるギャング集団を形成するなどし,社会性を発達させると思われる小学校5年生時の遊び集団の経験と,青年期における社会的スキルの関連を検討することが目的である。
方法
被調査者・実施方法 被調査者は近畿・九州地区の5つの国・私立大学の大学生496名(男子231名,女子260名,不明5名)。平均年齢は19.90歳(18歳~24歳の範囲)。授業時に質問紙を配布。
質問項目 ・基本情報 性別,年齢など。
・遊びの種類 伝統的遊び(かくれんぼなど4項目),スポーツ遊び(ドッジボールなど3項目),コミュニケーション遊び(秘密のおしゃべりなど2項目),ゲーム遊び(テレビゲーム1項目)の頻度について質問する項目を作成した。小学校5年生時を想定し回答を求めた。5件法。
・遊び集団経験 ギャング集団的活動を加味し,仲間だけの秘密,仲間内で通用するルール,集団への忠誠に関する項目を含み,さらに,異年齢集団での活動についても質問する12項目を作成。小学校5年生時を想定し回答を求めた。5件法。
・社会的スキル 菊池(1998)のKiSS18をもとにして現在の社会的スキルを問う8項目を作成した。対人ストレス場面における処理に関する社会的スキルを測定すると思われる内容とした。5件法。
結果と考察
・「遊び集団経験」項目の因子分析 12項目について主因子法およびプロマックス回転により因子分析を行ったところ,3因子が抽出された。負荷量が低い項目,複数の因子に高い負荷を示している項目を除外し,再度因子分析を行ったところ,同様の3因子が抽出された。各因子は,「集団主義的行動」(5項目が高く負荷),「自主的行動」(2項目が高く負荷),「異年齢行動」(2項目が高く負荷)と名付けられた。各因子に高く負荷している項目を「遊び集団経験」の下位尺度とした。
・尺度の平均値・信頼性 各尺度の平均値(SD)は,「集団主義的行動」:2.55(0.92) ,「自主的行動」:3.20(1.08) ,「異年齢行動」:2.62(1.19) ,「社会的スキル」:3.46(0.65)であった。平均値は尺度の合計得点を項目数で割ったものである(1~5の範囲)。クロンバックのα係数は「集団主義的行動」:.771,「自主的行動」:.802,「異年齢行動」:.737,「社会的スキル」:.791であった。
・「遊び集団経験」と「社会的スキル」の関連 以下,性別によって異なる傾向がみられたので,性ごとに分析を行ったものを示す。また,相関係数が.20以上で有意なもののみについて言及する。
男子においては「集団主義的行動」(.312)及び「異年齢行動」(.256)が,「社会的スキル」と相関を示した。女子では「集団主義的行動」(.255)が「社会的スキル」と相関を示した。下表参照。
・「遊びの種類」と「社会的スキル」の関連 男子において「スポーツ遊び」が「社会的スキル」と相関を示した(.203)。女子において「コミュニケーション遊び」が「社会的スキル」と相関を示した(.208)。下表参照。
・考察 「集団主義的行動」「異年齢行動」が,「社会的スキル」と関連していることが示唆される。特に男子においてそのような傾向がある。また,相関係数は小さいが,男子では「スポーツ遊び」が,女子では「コミュニケーション遊び」が,「社会的スキル」と関連している可能性がある。