[PD007] キャリア発達・教育に関する研究(17)
職業志望動機と専門性・コミュニケーションとの関係
Keywords:職業志望動機, コミュニケーション, 専門性
1.問題と目的
2013年度日本経済団体連合会が発表した「新卒者採用(2013年4月入社対象)に関するアンケート調査結果」(https://www.keidanren.or.jp/policy/2014/001_kekka.pdf)によれば企業が選考にあたって特に重視した点は「コミュニケーション能力」(86.6%)で,2004年以来10年連続1位となっている。コミュニケーションはあらゆる業界で必要とされているが,医療系でも同様である。松下ら(2012)でもコミュニケーション能力は重要な職業的能力として実習前・後とも重視されていた。
本研究では,人と接する機会が多い医療系の学生たちが職業とコミュニケーションについてどのような認識を持っているか,また,その認識と志望動機との関係を明らかにすることを目的とする。
2.方法
2.1.調査対象 医療系3年制専門学校の2年生53名(全員女性)。
2.2.調査時期 2012年9月,および11月。
2.3.手続き 質問紙調査1(9月実施)・質問紙調査2(11月実施)を授業中に配布し,回収(回収率100%)。
【質問紙調査1】 ことばやコミュニケーション,職業イメージなどに関する項目についての自由記述。質問項目は「コミュニケーションとは」,「対人関係で日頃気をつけていること」などである。
【質問紙調査2】 職業志望動機や自分が選択した医療職についての見方・考え方の自由記述。具体的な項目は「この医療職に就こうと思った理由」,「この仕事に必要なこと」,「この仕事に求めること(期待すること)」などである。
3.結果と考察
3.1.学生のコミュニケーションに対する意識
「コミュニケーション」についての記述を分類すると,(1)人との関係性,(2)会話,(3)ことば,ジェスチャー,表情などを使って相手に気持ちなどを伝える,となる。
この結果を踏まえ,本稿では,「コミュニケーション」とは言語的手段,および非言語的な手段を用いて相手に意志を伝えたり,相手の意志を理解することとする。つまり,ビジネス場面で求められる「折衝能力」「交渉能力」「説得能力」に限らないものとする。
3.2.この仕事に必要なこと
多かった項目は「技術」30名(56.6%),「知識」23名(43.3%),「思いやり」17名(32.0%)であり,専門性に関する記述が多く見られた。直接「コミュニケーション」と記述した学生は13名(24.5%)であったが,その内容を見ると全員が何らかのコミュニケーションに該当する表現を記入していた。
3.3.この仕事に求めること
「あなたが患者だったら,担当の医療従事者に求めること(期待すること)は何か」を3項目挙げてもらった。多かった項目は「優しさ」37名(69.8%),「技術」36名(67.9%),「笑顔」14名(26.4%),「気遣い・気配り」11名(20.7%)であり,コミュニケーションの項目が上位に入っている。「コミュニケーション」と直接記入した学生は2名(3.7%)であったが,コミュニケーションに該当する項目を挙げたものは52名(98.1%)であった。
3.4.志望動機とこの医療職において必要とされる要素との関係
志望動機は「興味」(15名),「資格」(12名),「あこがれ」(11名)と続く。
志望動機が「資格」「安定(給料が高い)」「就職率が高い」としたもの(7名)はこの医療職に必要である項目に専門性(技術や知識など)を挙げた割合が高く(52.3%),コミュニケーションは47.6%であった。志望動機が医院でのアルバイトなどの「経験」や通っていた医院で働く人やこの仕事をしている身近な親族への「あこがれ」のもの(11名)は専門性(15.1%)より,コミュニケーション(81.8%)を重視していた。
この結果より,「資格」「安定(給料が高い)」「就職率」等が志望動機のものは,「経験」や「あこがれ」によるものより専門性重視の職業選択をしている。現場を知る学生のほうがコミュニケーションを必要だと考えるものが多い。
3.5.志望動機とこの仕事に求めることとの関係
志望動機が「資格」「安定(給料が高い)」「就職率」のものは,この仕事に専門性(技術や知識など)を求める割合が47.6%,コミュニケーション(対人的な印象)を挙げた割合が71.4%であった。また,志望動機が「経験」や「あこがれ」のものは専門性が31.0%,コミュニケーションが75.8%であった。この仕事に求めることは志望動機に関係なく,コミュニケーションが高かった。
2013年度日本経済団体連合会が発表した「新卒者採用(2013年4月入社対象)に関するアンケート調査結果」(https://www.keidanren.or.jp/policy/2014/001_kekka.pdf)によれば企業が選考にあたって特に重視した点は「コミュニケーション能力」(86.6%)で,2004年以来10年連続1位となっている。コミュニケーションはあらゆる業界で必要とされているが,医療系でも同様である。松下ら(2012)でもコミュニケーション能力は重要な職業的能力として実習前・後とも重視されていた。
本研究では,人と接する機会が多い医療系の学生たちが職業とコミュニケーションについてどのような認識を持っているか,また,その認識と志望動機との関係を明らかにすることを目的とする。
2.方法
2.1.調査対象 医療系3年制専門学校の2年生53名(全員女性)。
2.2.調査時期 2012年9月,および11月。
2.3.手続き 質問紙調査1(9月実施)・質問紙調査2(11月実施)を授業中に配布し,回収(回収率100%)。
【質問紙調査1】 ことばやコミュニケーション,職業イメージなどに関する項目についての自由記述。質問項目は「コミュニケーションとは」,「対人関係で日頃気をつけていること」などである。
【質問紙調査2】 職業志望動機や自分が選択した医療職についての見方・考え方の自由記述。具体的な項目は「この医療職に就こうと思った理由」,「この仕事に必要なこと」,「この仕事に求めること(期待すること)」などである。
3.結果と考察
3.1.学生のコミュニケーションに対する意識
「コミュニケーション」についての記述を分類すると,(1)人との関係性,(2)会話,(3)ことば,ジェスチャー,表情などを使って相手に気持ちなどを伝える,となる。
この結果を踏まえ,本稿では,「コミュニケーション」とは言語的手段,および非言語的な手段を用いて相手に意志を伝えたり,相手の意志を理解することとする。つまり,ビジネス場面で求められる「折衝能力」「交渉能力」「説得能力」に限らないものとする。
3.2.この仕事に必要なこと
多かった項目は「技術」30名(56.6%),「知識」23名(43.3%),「思いやり」17名(32.0%)であり,専門性に関する記述が多く見られた。直接「コミュニケーション」と記述した学生は13名(24.5%)であったが,その内容を見ると全員が何らかのコミュニケーションに該当する表現を記入していた。
3.3.この仕事に求めること
「あなたが患者だったら,担当の医療従事者に求めること(期待すること)は何か」を3項目挙げてもらった。多かった項目は「優しさ」37名(69.8%),「技術」36名(67.9%),「笑顔」14名(26.4%),「気遣い・気配り」11名(20.7%)であり,コミュニケーションの項目が上位に入っている。「コミュニケーション」と直接記入した学生は2名(3.7%)であったが,コミュニケーションに該当する項目を挙げたものは52名(98.1%)であった。
3.4.志望動機とこの医療職において必要とされる要素との関係
志望動機は「興味」(15名),「資格」(12名),「あこがれ」(11名)と続く。
志望動機が「資格」「安定(給料が高い)」「就職率が高い」としたもの(7名)はこの医療職に必要である項目に専門性(技術や知識など)を挙げた割合が高く(52.3%),コミュニケーションは47.6%であった。志望動機が医院でのアルバイトなどの「経験」や通っていた医院で働く人やこの仕事をしている身近な親族への「あこがれ」のもの(11名)は専門性(15.1%)より,コミュニケーション(81.8%)を重視していた。
この結果より,「資格」「安定(給料が高い)」「就職率」等が志望動機のものは,「経験」や「あこがれ」によるものより専門性重視の職業選択をしている。現場を知る学生のほうがコミュニケーションを必要だと考えるものが多い。
3.5.志望動機とこの仕事に求めることとの関係
志望動機が「資格」「安定(給料が高い)」「就職率」のものは,この仕事に専門性(技術や知識など)を求める割合が47.6%,コミュニケーション(対人的な印象)を挙げた割合が71.4%であった。また,志望動機が「経験」や「あこがれ」のものは専門性が31.0%,コミュニケーションが75.8%であった。この仕事に求めることは志望動機に関係なく,コミュニケーションが高かった。