The 56th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PD

(501)

Sat. Nov 8, 2014 10:00 AM - 12:00 PM 501 (5階)

[PD091] 子どもの嫌いな食物の克服への支援

大学生の回想法による調査研究から

藤原正光1, 番場梨彩2 (1.文教大学, 2.目黒区立田道保育園)

Keywords:子ども, 嫌いな食物, 克服への支援

問題と目的
長谷川智子・今田純雄(2001)は,嗜好する食物の種類について「幼児は大学生よりも健康に必要な食物を嫌い,おやつとなる食物を好む。また発達につれて,甘味が減少し苦味・酸味への嗜好が増加する。」と述べている。
このような食物嗜好の変化は,体調が急激に変化する思春期と関連しているといえるのだろうか。
本研究では大学生の回想法による調査結果から,①嫌いな食物の種類,②嫌いな食物の理由,③嫌いな食物を克服した時期,④家庭や幼稚園・保育園で受けた嫌いな食物の克服への支援,について検討した。
研究方法
調査対象者:某私立大学生166名(男性:58名,女性:108名)。
調査内容:調査対象者自身の食物嗜好について,以下の項目への回答を求めた。
①幼児期と大学生の嫌いな食物の有無,②幼児期に嫌いであった食品(33種類)の有無とその理由(2つ選択:ア味,イ食感,ウ見た目,エにおい,オ舌の違和感,カ気持ち悪くなる,キ吐き戻したことがある,ク食べ過ぎた,ケ食わず嫌い),③幼児期に嫌いな食品の克服時期(1つ選択:ア幼児期,イ小学生,ウ中学生,エ高校生,オ大学生),④克服した理由(2つ選択:ア調理法,イ家族の影響,ウ友だちの影響,エ先生の影響,オ食べる機会が増えた(給食など),カ無理に食べた,キ食べたらおいしかった,ク他のものと一緒に食べた,ケ知識(健康に良いとわかった)),⑤幼児期に受けた家庭での食育(9項目)と保育園・幼稚園での食育(8項目)の調査(いずれも4件法)。
結果と考察
1.幼児期と大学生の嫌いな食物の有無と嫌いであった理由
(1)嫌いな食物:「有り」の割合は幼児期(146名,88.0%)>大学生(124名,74.4%)(p<.001)。幼児期には有意な性差はないが,大学生は男性(63.8%)<女性(80.6%)(p<.05)であった。
幼児期に嫌いな食物の種類(33種類中)は,レバー(44.6%),セロリ(36.1%),ピーマン(36.1%),なす(28.3%),にんじん(16.3%)であった。
(2)嫌いな食物の理由:レバーは味(33.6%)・食感(24.8%),セロリは味(51.4%)・におい(24.8%),ピーマンは味(63.3%)・におい(20.0%),なすは味(38.6%)・食感(34.9%),にんじんは味(56.5%)・食感(17.4%)・におい(17.4%)であった。
2.幼児期に嫌いな食物の克服時期と理由
(1)克服時期:上述の嫌いな食物(5種類)の全体の克服率は14.7%であった。克服時期は,図示したように中学時代が最も高い%を示していた。



(2)克服できた理由:レバーは「食べてみたらおいしい」(30.0%),にんじんは「調理法」(25.0%)・「食べる機会の増加」(25.0%),セロリは「食べてみたらおいしい」(31.0%),ピーマンは「調理法」(21.9%)・「他のものと一緒」(20.3%),なすは「食べてみたらおいしい」(31.0%)・「調理法」(26.2%)となっていた。
3.幼児期に受けた食育
(1)家庭での食育:9項目を因子分析(主因子法 プロマックス回転)した結果,因子1・注意及び指導(α=.623)「好き嫌いはいけない」「全部食べるまで注意」など4項目,因子2・食べさせる工夫(α=.601)「嫌いなものを食べると褒めてくれた」「調理法の工夫」など4項目を抽出。平均得点には,因子1(2.98)>因子2(2.44)が有意であった。
(2)保育園・幼稚園での食育:8項目を因子分析した結果,因子1・食べさせる工夫(α=.614)「おいしくなる魔法」「褒めてくれた」など4項目,因子2・注意及び指導(α=.623)「全部たべる指導」「好き嫌いはいけない」など3項目を抽出。因子1(2.45)<因子2(2.78)であり,家庭と同じ「注意及び指導」が食育の中心となっていることが伺えた。