The 56th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PE

(5階ラウンジ)

Sat. Nov 8, 2014 1:30 PM - 3:30 PM 5階ラウンジ (5階)

[PE003] 児童のいざこざにおける教員の介入解決方略について

山崎彩加 (広島市立比治山小学校)

Keywords:いざこざ, 対立解消

目的
教員の生徒指導上の悩みの1つに,いざこざの対応が考えられるが研究はほとんどされていない。そこで本研究は,学級担任はいざこざにどのような介入解決方略を取るか検討する。また,教職経験が長いほどいざこざの経験が多いため,ベテランの方が若手より有効な方略を知っており,教職経験年数による差があると考えられる。よって,本研究では①子ども同士のいざこざに担任はどのような介入解決方略をとるか,②教職経験年数によって介入解決方略に差があるか,の2点を検討する。
方法
【対象】小学校3~6年の学級担任93名。
【時期】2013年7月下旬から8月下旬。
【質問紙の構成】(1)性別,教職経験年数,担当学年を尋ねた。(2)いざこざ場面(7場面):山﨑・青木(2013)のいざこざの内容から端的なシナリオの7場面「物の取り合い」「遊びのルール」「仲間はずれ」「注意すること」「考えの対立」「悪口」「じゃれあい」を作成した。介入解決方略(7項目):山﨑ら(2013)から「じゃんけん:Ro」「ルール決め:Ru」「事後道徳的指導:Mo」「話を聴かずに介入:F」, Cowie, Wallace(2009)から「メディエーション:M」「アービトレーション:A」を作成した。いざこざ場面ごとに介入解決方略を尋ねた。場面ごとに相互に比較するため,5段階評定で尋ねた。
結果と考察
(1)いざこざ場面ごとの学級担任の介入解決方略
①1番目に取られる方略について
平均値からの考察 どの方略が選ばれるか平均値に基づき順位をつけた結果,「M」は全場面で1番選ばれやすかった。このことより,担任は中立に子どもから解決策を引き出すことが考えられる。
分散分析からの考察 介入解決方略(7)の1要因分散分析を行った結果,「M」が「A」より有意に高い5場面と「M」と「A」に有意な差がない2場面に分けられた。5場面は,「物の取り合い」「遊びのルール」「仲間はずれ」「考えの対立」「じゃれあい」である。これらのいざこざでは子どもから解決策を引き出す方略が選ばれることがわかる。2場面は,「悪口」「注意すること」である。この場面では「M」と「A」が同じくらい選択されている。つまり,この場面はいざこざ当事者が自分の意見を主張し,それによって相手を傷付ける可能性がある。このような状況では強制力を持って裁定する方略も選ばれると考えられる。
(2)教職経験年数による介入解決方略の比較
分散分析からの考察 教職経験年数の平均値(M=17.25)から,対象者を若手群(1~17年,N=39)とベテラン群(18~年,N=46)に分けた。その後,各場面について,教職経験年数(2)(若手・ベテラン群)×介入解決方略(7)の2要因分散分析(混合計画)を行った(Table 1)。その結果,「悪口」では、教職経験年数に主効果がみられ,若手がベテランよりも高いことがわかった。「注意すること」では交互作用がみられ,「A」はベテランが若手より低かった。「考えの対立」では交互作用がみられ,「Ro」はベテランが若手より低かった。
以上のことから,①学級担任が1番選びやすい方略は,全場面でメディエーションである。しかし,「注意すること」「悪口」ではメディエーションとアービトレーションが同じくらい選ばれることがわかった,②教職経験年数によって比較をすると(Table 1),両者とも1番の方略はメディエーションであるが,下位の方略に差があり,「注意すること」ではベテランが若手よりアービトレーションが低く,「考えの対立」はベテランが若手よりじゃんけんが低いことがわかった。