The 56th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PE

(5階ラウンジ)

Sat. Nov 8, 2014 1:30 PM - 3:30 PM 5階ラウンジ (5階)

[PE025] 児童の積極的授業参加に関する研究(20)

公的・私的自己意識との関連

小平英志1, 布施光代2, 安藤史高3 (1.日本福祉大学, 2.明星大学, 3.岐阜聖徳学園大学)

Keywords:積極的授業参加行動, 自己意識, 児童

児童の積極的授業参加行動に関するこれまでの研究では,その促進・抑制要因の探索が行われてきた。先行研究では,授業内の行動には,状況的・環境的な要因だけでなく,児童個人の特性的要因もまた影響を与えていることが示されている(小平・安藤・布施,2013)。本研究では,児童の自己意識傾向が積極的授業参加行動に影響を及ぼすのかどうか,またそこに学年による違いがあるのかどうかについて,検討を行うこととする。
方法
調査対象者 関東及び中部地方の小学校(5校)に通う児童1126名。3年生254名(男児112名,女児108名),4年生294名(男児140名,女児154名),5年生375名(男児193名,女児182名),6年生377名(男児189名,女児188名)であった。
調査内容 1)積極的授業参加行動尺度,2)自己意識尺度(桜井,1992)を実施した。その他,対人関係に関する尺度も同時に実施された。
結果と考察
先行研究に倣い各尺度の得点化を行った後,学年,性別,自己意識を説明変数,積極的授業参加行動を基準変数とする重回帰分析を実施した。その結果,いずれの積極的授業参加行動に対しても,公的自己意識から負の係数,私的自己意識から正の係数が確認された(Table 1)。積極的授業参加行動は,概して公的自己意識によって抑制され,私的自己意識によって促進される様子がうかがえた。
続いて,自己意識が積極的授業参加行動に与える影響の学年差を検討するため,Amos22を使用して多母集団同時分析を実施した。モデルでは,自己意識から積極的授業参加行動へのパス,自己意識と積極的授業参加行動のそれぞれで誤差間の共分散を仮定した。なお,性別の要因を統制するため,性別から自己意識,積極的授業参加行動へのパスも仮定した。結果をTable 2に示す。自己意識から積極的授業参加行動へのパスについて,推定値の差の検定を行ったところ,公的自己意識から注視・傾聴への影響について,3年生と5年生・6年生の間,4年生と6年生の間で有意差が確認された。また,私的自己意識から挙手・発言への影響では3年生・5年生と4年生・6年生との間が有意であった(p<.05)。これらの結果から,公的自己意識は主に低学年で注視・傾聴を抑制しがちであること,4年生と6年生の挙手・発言で私的自己意識の影響が強いことが明らかとなった。特に前者の結果からは,授業に積極的に取り組むことが他者にあまり良い印象を与えないとの信念がその背後にあるとも考えられよう。※本研究はJSPS 科研費【課題番号24530838】の助成を受けた。