The 56th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PE

(5階ラウンジ)

Sat. Nov 8, 2014 1:30 PM - 3:30 PM 5階ラウンジ (5階)

[PE032] 高機能自閉症の理解を支援する教材の開発と評価

小川亮 (富山大学)

Keywords:高機能自閉症, 教材開発, 教育評価

自閉症に対して誤解を持つ一般の人が40%程度存在する(自閉症協会,2004)。本研究では高機能自閉症に関する理解を高める教材と、その教育効果を測定するテストを作成し、学習前後の成績を比較することでその効果を検討した。
1.方法
<時期>2014年5月
<調査協力者>T県内T大学の1年生40名。内訳は男性14名(平均年齢=18.80歳, SD=0.45 )、女性26名(平均=18.68歳, SD=0.48 )。
<調査用紙>[事前調査]学部、学年、性別、年齢と高機能自閉症に関する25問の知識問題、高機能自閉症の人と会った経験の有無、高機能自閉症からイメージする言葉(3つ以上)への回答を求める調査。[事後調査]事前調査と同一の高機能自閉症に関する25問の知識問題、高機能自閉症からイメージする言葉(3つ以上)、教材に関する評価(4項目の6段階評価尺度)への回答を求める調査。
<教材>高機能自閉症に関する知識を解説する音声解説付きのPowerPointファイルの形で具体化された。内容は、①自閉症の特徴、②高機能自閉症の定義、③アスペルガー症候群との区別、④高機能自閉症の特徴、⑤二次障害の説明、⑥生じやすい困難、⑦求められる支援のあり方、⑧私たちにできること、⑨まとめ、から構成されていた。
<手続き>一般教養の情報処理の授業において、集団形式で実施した。「高機能自閉症に関する調査」への協力を依頼し、事前調査を実施した。その後,
プレゼンテーションファイルを自動実行する形で、教材+音声を提示した。教材提示後に事後調査を実施した。
2.結果?
[知識テスト]事前調査と事後調査における知識テストの成績を、対応のあるt検定で比較した結果を表1に示した。25問中19問で得点が有意に上昇したことが示された。得点の上昇が認められなかった6項目では、事前調査段階における成績が70%以上と髙かったことが分かった。
[教材評価]事後調査の4項目の教材評価の結果、「役だった」「分かりやすい」の2つの項目では、0~5の6段階評定で平均が4以上であった。「高機能自閉症の人に適切に対処できる」と「高機能自閉症の人と積極的に関わっていきたい」の2項目では平均値が3.2 ~3.4であり、高機能自閉症に対する態度(自信や積極性)が十分に高まったとは言えないが、少なくともマイナスに働いたわけではないことが示された。
3.結論 今回開発した教材は、大学生が誤解しやすい部分に有効に働き、知識の習得に効果があった。教材の評価においても、十分に高い評価が得られた。