The 56th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PF

(5階ラウンジ)

Sat. Nov 8, 2014 4:00 PM - 6:00 PM 5階ラウンジ (5階)

[PF027] 手順構成学習における連続・複合条件

浅井淳 (大同大学)

Keywords:メタ認知, 手順, 論理条件

目 的
 学習において点的条件よりも多元的条件の方が手順構成作業における難度が上がる。そのような性質の学習内容に対してメタ認知の特性をより知るために自己理解判断の様子を調べた。
調 査 方 法
1.対象
 3年間にわたり,大学2年生がコンピュータプログラミング科目における学習内容の理解度を自己判定した。15週のA)入門科目計170名,続く15週に進んだB)初中級科目計48名が参加した。A,Bと略す。
2.学習内容・方法
 学習内容はC言語を用いた A)動作方法から変数,演算子,標準入出力,論理条件,条件分岐,繰り返し,B)配列,標準関数,ユーザー関数,ポインタまでを扱った。項目数を絞り,未完成や不完全なプログラムを試行しながら解決する帰結演習により帰納的に書式や機能の理解を形成する練習を多く配した。
3.自己判定方法
 項目理解度についてはA)6件法,B)4件法の用紙調査を用いた。自己判定はA)学期末,B)毎週の持ち帰り課題に付加して収集した。
結 果
1.自己判定と学習項目および諸指標との関係
 自己判定値は不回答を除き1(低)~4(高)範囲にそろえて平均A)2.87,B)2.98であった。α係数はA)5項目に対して0.99,B)15週の推移に対して0.86と概ね高かった。
 学習理解の客観的指標として到達度テスト値を用いると自己判定の個人平均値との相関係数rはA)0.45***,B)0.40***と相関が観られた。
 B)初中級科目では自己判定値は項目の学習順と無関係で,ユーザー関数に複数の引数があり,戻り値を利用する課題の場合に最も低く(2.76),分散も大きくなった。
2.主観-客観差
 A)理解の自己判定値から担当教員による到達度の判定値を引いた値を学習到達度テスト値10%ごとに図1に示す。到達度が高い層ほどこの主観-客観差が小さかった。先行研究通り,概ね項目間の難度の差が縮小されて判断される傾向であった。
考 察
1.連続条件作成
 論理式が等式のときやポインタの間接参照のような点的条件の場合と,不等式,繰り返しのような範囲を有する線的条件の場合とで理解に対する判断の様子が異なり,到達度が高いほど後者の理解度が的確に判定される傾向であった。動作のための条件の自作図解が一定の理解促進につながっているようであった。ポインタのような間接的操作でも照応と記法を覚えれば,理解判断に支障は小さかった。
2.複合条件作成
 B)引数が複数ある場合のユーザー関数作成に対する自己判定値が低かったのは,A)論理式の組み合わせと同様に,条件の複合性が一因と推察される。照合が多く,双方向であること,別ブロックに離れて在るという配置分散性なども要因と考えられる。
3.まとめ
 手順構成学習における自己判定から,概ね到達度と相関がある理解度判断と論理構成の連続・複合条件のときの過大判断という傾向が観られた。このような性質の項目では学習状況のフィードバックを増やす工夫が効果的と考えられる。