The 56th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PF

(5階ラウンジ)

Sat. Nov 8, 2014 4:00 PM - 6:00 PM 5階ラウンジ (5階)

[PF041] 植物栽培や昆虫飼育による中学生の意識変容についての一考察

ミニトマト・ペチュニア栽培とモンシロチョウ飼育を通して

関谷善行 (神戸市立大原中学校)

Keywords:いのちのアンケート, 植物栽培, 昆虫飼育

1 はじめに

近年,日本における子供たちを取り巻く環境を鑑みると,凶悪事件,自殺等が後をたたず,著者の勤務する中学校でも嫌がらせ,いじめ,些細なことからの喧嘩,暴力行為,不登校などの件数も多く,その問題行動の原因は多岐にわたると考えられるが,「いのちの大切さ」を生徒に認識させ,実生活の上でより良い行動がとれるように指導していくのが,学校教育の大きな目標でもある。
そこで,著者は,まず,植物栽培としてミニトマト栽培をさせ,生徒のいのちに対する意識を事前事後で質問紙調査を実施した。
これは,最近,高齢者や障害者を対象にした園芸療法という代替医療として注目されている方法を参考にして,植物を栽培することによって精神的な「癒し」を取り入れる手段として模索してみたものである。また,小動物として小学校ではよく教材として取り上げられているモンシロチョウを飼育してみてどのように中学生の意識が変容したのかを分析してみたものである。
2 方法

近畿にある市立A中学校を対象として研究が行われた。2010年は3年生を対象として,2011年は2年生を対象として,実験を試みた。実験的ではあったものの,特定の理科教育が道徳的側面に良い影響を与える仮説実証的なものではなく,理科教育で動植物の命を育てることが道徳的側面と関連するのかを探索的に検討しようとしたものである。したがって,特定の理科教育を受けなかった統制群に関しても,倫理的には問題のないものである。
2010年の3年生は,理科の担当教員によって,モンシロチョウを育てたクラス,ミニトマトを育てたクラス,何も育てなかったクラス(統制群)があった。また,2011年も同様に,理科の担当教員によってモンシロチョウ,ミニトマト,ペチュニアを育てたクラスと何も育てなかったクラスがあった。本研究のため,すべてのクラスに4月と7月にアンケート調査を依頼した。また,いずれのクラスも理科の教員が授業のたびにチョウやトマトなど,育てている物に関する声掛けを行い,生徒の意識が薄れないようにした。
飼育・栽培時期については,どちらの年もゴールデンウィーク明けの5 月中旬から下旬にかけて開始し,7 月初旬から終業式にまで行われた。モンシロチョウの飼育については,各クラス6 班を編成し,各班にパックに入れた卵を20 個(1 パック卵約10 個×2 パック)渡した。ミニトマトの栽培についても6 班を編成し,各班に苗が2 株ずつ入ったプランター1 つを渡した。いずれの班も6 人前後の男女混合班であった。