The 56th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PF

(5階ラウンジ)

Sat. Nov 8, 2014 4:00 PM - 6:00 PM 5階ラウンジ (5階)

[PF065] 大学進学動機別工科系大学新入生の入学から3ヵ月後の比較について

学業状態・友人関係・満足感および適応感の比較

石田拓矢1, 庄司正実2 (1.東京電機大学, 2.目白大学)

Keywords:工科系大学, 大学進学動機, 入学から3ヵ月後

問題
大学新入生の教育・支援の重要性が社会的に認知されるようになって久しい。新入生への教育・支援の中で重要なことのひとつに高校までの受動的な学びから能動的な学びへの移行へ導くことがあるが,新入生の多様化は年々進んでおり,教育・支援を難しくしている。多様化は学力面だけでなく,大学進学動機など心理的側面においても起こっており,心理的側面の調査も重要となっており,大学新入生についての研究も蓄積されている(たとえば,山田,2006;庄司,2010;大隅・小塩・小倉・渡邉・大崎・平石,2013)。これらの研究に共通していることは,入学直後の4月だけでなく,複数回のパネル調査をしていることである。大学新入生の教育・支援のためには,入学にあたっての考えから入学後の考えまで幅広く調査する必要があることを意味していると共に,大学入学にあたっての考えと入学後の考えに何らかの関連を見出すことができれば,新入生に対して早期から適切な教育・支援を行うことの一助となるからであるといえる。
目的
本研究の目的は工科系大学新入生を大学進学動機で分類し,分類した各クラスターの入学から3ヵ月後の学業状態・友人関係・7月満足感および7月適応感を比較することで各クラスターの特徴を明らかにすることである。
方法
本研究の調査参加者は首都圏の私立工科系A大学昼間部新入生306名(男性272名,女性34名,平均年齢は18.1歳(SD=1.05))であり,2012年4月と7月のパネル調査を実施した。
結果と考察
栗山・上市・齊藤・楠見(2001)の大学進学動機尺度25項目を用いて調査を行い,因子分析およびクラスター分析(ウォード法)を行った結果,データに不備のあったものを除いた299名について以下の3クラスターを得た(Figure1)。3つの大学進学動機スタイルを独立変数として学業状態(大学での学業への不満・授業についていけないと感じている),友人関係、4・7月満足感および7月適応感について分散分析を行った結果,「無目的・漠然型」は「得意・専門分野型」よりも講義内容への不満が高く,授業についていけないと感じており,学業に対して目標をもって取り組んでいなかった。また4月も7月も満足感が他2群より低かった。7月満足感および7月適応感を従属変数として階層的重回帰分析を行った結果,7月満足感に影響を与える要因はいずれの群も講義内容不満から負の影響があったが,「無目的・漠然型」は興味ない・できない分野であるためと考えられる。以上の結果から,工科系大学新入生だからといって全員が将来の目標を持って学業に取り組んでいる訳ではなく,学生それぞれに適切した教育・支援が重要であるといえる。