[PF080] 精神科職員に対する効果的な研修プログラム作成の試み(2)
2013年度に実施した講義と受講者満足度について
Keywords:アウトカム評価, 職員研修, 精神科病院
問題と目的
和田・濱口(2014)では,プログラム評価研究の手法に基づき,A病院にて勤務2年目以降と定めた職員に対する研修プログラムを作成した。本研究では,それぞれの各論講義に対する受講者の満足度と講義者の提供した講義について検討することを通して,2013年度に行われたA病院の職員研修プログラムの評価を行うことを目的とする。
方法
対象者:評価内容(1)は,講義者の4名を対象とした。評価内容(2)は,A病院およびA病院付属施設の職員で,勤務2年目以降だと見なし,2013年4-12月に各論講義を受講した者を対象とした。人数は,各論1が168名, 各論2が41名, 各論3が66名, 各論4が26名であった。
研修項目:和田・濱口(2014)で示した5つの各論講義と同様であった。なお,講義を欠席した者は,後日,講義風景を撮影したDVDを視聴した。また, 1対1の対話形式で行われた各論5については分析の対象から外した。
評価内容:(1)講義者調査票:各論講義をどのように実施したかについて9項目3件法で評価した。項目は,安田(2012)のモニタリング指標を基に作成した。各論講義終了後,講義者に対して記入を求めた。(2)講義内容の満足度:講義を受講した感想について,7項目5件法で評価した。項目は,堀田・和田・井上(2014)と同じものを使用した。それぞれの講義を受講後に,受講者へ記入を求めた。
倫理的配慮:調査実施にあたりA病院内の倫理委員会及び教育委員会の承認を受けた。
結果
(1)提供した講義
評価内容(1)の9つの項目について得点化を行い, 講義ごとに各項目についての平均値を求め, 項目得点とした。項目得点の平均得点は,1.87±0.85から2.75±0.29であった。
(2)各論講義の受講者満足度
各講義の評価内容(2)について, 7つの項目について得点化を行い, 受講者ごと平均値を算出し, 受講者満足度とした。各講義の受講者満足度の平均得点は,4.22±0.45から4.57±0.44であった。各講義の受講者満足度に関して,基準点3(どちらでもない)との比較を行った結果,各論1から各論4の全ての講義の満足度において有意に高かった。また,各講義の満足度の違いを検討するために, 講義(各論1/各論2/各論3/各論4)を要因とする一元配置の分散分析を行った結果,有意差が見られた(F(3, 297) = 5.22, p <.01)。多重比較(Bonferroni法,5%水準)を行ったところ,「各論4:患者・家族と職員との病状認識のずれへの対応」に比べて,「各論1:病院の方針」(p<.01) ,「各論2:精神医学」(p<.05) ,「各論3:感情の処理の仕方」(p<.01)が有意に高かった。結果をFigure 1に示す。
考察
講義間で差は見られたものの,どの講義においても有意に高い満足度が示されたことから,プログラム内容は職員のニーズと合致していたものと思われる。今後は,講義方法と受講者満足度についての関連を検討していくことで,提供する講義の質や講義者負担などについて改善を図っていけるものと思われる。
和田・濱口(2014)では,プログラム評価研究の手法に基づき,A病院にて勤務2年目以降と定めた職員に対する研修プログラムを作成した。本研究では,それぞれの各論講義に対する受講者の満足度と講義者の提供した講義について検討することを通して,2013年度に行われたA病院の職員研修プログラムの評価を行うことを目的とする。
方法
対象者:評価内容(1)は,講義者の4名を対象とした。評価内容(2)は,A病院およびA病院付属施設の職員で,勤務2年目以降だと見なし,2013年4-12月に各論講義を受講した者を対象とした。人数は,各論1が168名, 各論2が41名, 各論3が66名, 各論4が26名であった。
研修項目:和田・濱口(2014)で示した5つの各論講義と同様であった。なお,講義を欠席した者は,後日,講義風景を撮影したDVDを視聴した。また, 1対1の対話形式で行われた各論5については分析の対象から外した。
評価内容:(1)講義者調査票:各論講義をどのように実施したかについて9項目3件法で評価した。項目は,安田(2012)のモニタリング指標を基に作成した。各論講義終了後,講義者に対して記入を求めた。(2)講義内容の満足度:講義を受講した感想について,7項目5件法で評価した。項目は,堀田・和田・井上(2014)と同じものを使用した。それぞれの講義を受講後に,受講者へ記入を求めた。
倫理的配慮:調査実施にあたりA病院内の倫理委員会及び教育委員会の承認を受けた。
結果
(1)提供した講義
評価内容(1)の9つの項目について得点化を行い, 講義ごとに各項目についての平均値を求め, 項目得点とした。項目得点の平均得点は,1.87±0.85から2.75±0.29であった。
(2)各論講義の受講者満足度
各講義の評価内容(2)について, 7つの項目について得点化を行い, 受講者ごと平均値を算出し, 受講者満足度とした。各講義の受講者満足度の平均得点は,4.22±0.45から4.57±0.44であった。各講義の受講者満足度に関して,基準点3(どちらでもない)との比較を行った結果,各論1から各論4の全ての講義の満足度において有意に高かった。また,各講義の満足度の違いを検討するために, 講義(各論1/各論2/各論3/各論4)を要因とする一元配置の分散分析を行った結果,有意差が見られた(F(3, 297) = 5.22, p <.01)。多重比較(Bonferroni法,5%水準)を行ったところ,「各論4:患者・家族と職員との病状認識のずれへの対応」に比べて,「各論1:病院の方針」(p<.01) ,「各論2:精神医学」(p<.05) ,「各論3:感情の処理の仕方」(p<.01)が有意に高かった。結果をFigure 1に示す。
考察
講義間で差は見られたものの,どの講義においても有意に高い満足度が示されたことから,プログラム内容は職員のニーズと合致していたものと思われる。今後は,講義方法と受講者満足度についての関連を検討していくことで,提供する講義の質や講義者負担などについて改善を図っていけるものと思われる。