The 56th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PF

(501)

Sat. Nov 8, 2014 4:00 PM - 6:00 PM 501 (5階)

[PF086] 小学生における対人的感謝の研究(7)

対人的感謝の1年間の変化

村上達也1, 藤原健志1, 濱口佳和1, 櫻井茂男1 (筑波大学)

Keywords:児童, 感謝, 潜在曲線モデル

問題と目的
近年,ポジティブ心理学では,「感謝」という概念が注目され,成人における感謝と心理・社会的適応感の関連について,研究が数多く行われている (e.g., Lambert, Fincham & Stillman, 2012; McCullough, Emmons & Tsang, 2002; Watkins, Woodward, Stone & Kolts, 2003; Wood, Froh, & Geraghty, 2010)。
一方,小学生を対象とした感謝に関する心理学的研究は少ないことが指摘されていたが,近年,小学生における感謝の研究が精力的に行われるようになった(藤原・村上・西村・濱口・櫻井,2013a;村上・藤原・西村・濱口,2013など)。また,藤原・村上・西村・濱口・櫻井(印刷中)では,特性的な対人感謝を測定する尺度が開発されている。
そこで本研究では,藤原他(印刷中)で測定されている対人的感謝が本当に特性としての特徴を持つのか,すなわち,時間的な安定性を持つのかどうかを検討する。この検討にあたり,縦断研究デザインの1つである潜在曲線モデルを用いて,対人的感謝の1年間の変化をみる。
方 法
調査対象者 公立小学校2校に通う小学4年生から小学6年生までの505名に対して調査を実施した。内訳は4年生200名(男子94名,女子106名),5年生193名(98名,95名),6年生112名(男子65名,女子47名)であった。
調査時期 Wave1調査は2013年5月に,Wave2調査は2013年11月に,Wave3調査は2014年3月にそれぞれ行われた。
調査方法 各学級担任が以下の内容の質問紙を配布・回収した。
調査内容 学年および性別を尋ねた後,対人的感謝尺度(藤原・村上・西村・濱口・櫻井,印刷中)を用いた。本尺度はGQ-6(McCullough et al., 2002)やGRAT(Watkins et al., 2003)を参考に作成された,他者に対する感謝感情を表現する8項目(4段階評定)から構成された尺度であり,信頼性と妥当性が確認されている。
結果と考察
Figure1は対人的感謝の潜在曲線モデルの推定結果である。モデルの適合度は,CFI=1.000, SRMR=.002, RMSEA=.000であり,概ね良好であった。切片の平均値は3.25,分散は0.38であった。傾きの平均値は0.07,分散は0.03であった。Figure2には,ランダムに抽出された10人の変化パターンを示した。
対人的感謝の傾きが正の値であることから,1年間に対人的感謝はサンプル全体としては増加する傾向がみられたものの,傾きは小さく,1年間を通じて,対人的感謝得点は大きくは変化しないことが示された。