[PG002] 教師による「気になる児童・生徒」への評価と個人的効力感の検討
危機体験のある教師に着目して
Keywords:個人的効力感, 危機体験, 生徒指導
問題 従来は教師が様々なOJTの中で,自らの専門性を高めていった。近年生徒指導に関わる問題で,教師が危機に陥ることが報告され,教師の個人の内面が要因なのか,教師支援の課題であるのか明確な検討もないまま,個々の教師に努力をまかされているのが現状である。教師が気になる児童・生徒をどのように「みたて」るかは実践をつむことで解決されるものと教育現場では考えられている。実践は,大切であるが,実践をつむ環境が変化していく中(熟練教師の大量退職時代を迎える)で実践知を獲得する環境も変わるので方法論も検討が必要となると思われる。
目的 本研究の目的として,危機体験のある教師による児童生徒への見立てが教師のもつ効力感にどのように影響しているかを検討することを目的とする。
方法 本調査:調査対象 S県内の公立小学校・公立中学校の女性教師23名。調査方法:20XX年8月調査を実施した。調査は,研修会の場で協力を依頼し,許可が得られた学校の教師に対して質問紙を配布し,回答を求める方法を併用した。調査内容:本研究で使用した質問紙は,以下の質問項目から構成されていた。
(a) 問題性評価尺度:竹村(2008)が作成した問題性評価尺度を使用した。この尺度は,影響性評価,対処可能性評価の2因子・9項目からなる。「児童・生徒との関わりにおいて問題が生じたときのあなたの感情や考えを良く表すように,数字に○をつけて下さい。」との教示文により,各問について,全くちがう(0点),いくらかそうだ(1点),まあそうだ(2点),その通りだ(3点)の4件法で回答を求めた。本研究では調査対象が小学校教師,中学校教師なので,調査の実施にあたり,「気になる児童(生徒)」については、竹村(2008)の説明に生徒を加え,「授業中や休み時間など,学級での活動の際に,集団への参加や学習への取り組み,他の児童とのかかわりなどに困難を示す児童(生徒)」との説明を付した。
(b)自己効力感:淵上・西村(2004)が作成した教師の個人的自己効力感尺度のうち,第1因子である「生徒指導への効力感」10項目を使用した教師の自己効力感とは,「望ましい教育的結果を遂行できるという教師の信念」と定義されている(淵上・西村,2004)。本尺度は,「生徒指導への効力感」,「教科指導への効力感」,「成績向上への効力感」の3因子から構成されているが,内容的に本研究と最も関係が深いと思われる「生徒指導への効力感」因子のみを使用した。「日頃の先生方の様子について質問します。」との教示文により,各問について,たいへんあてはまる(4点)からまったくあてはまらない(1点)まで4件法で回答を求めた。(c)教師への属性:性別,学校種,教員勤務歴,危機体験の有無を聞いた。
結果 危機体験のある教師の児童・生徒への評価が教師の個人的効力感にどのように影響しているかを検討するため,問題性評価尺度の下位尺度と,対処行動評価尺度の下位尺度を目的変数とし,教師の個人的効力感尺度の下位尺度「生徒指導」を説明変数としてステップワイズ法による重回帰分析を性差に着目して行った。結果をTable1に示す。
この結果から,「対処可能性評価」から正の影響が見られた。
次に女性教師(23名)の児童・生徒への評価が教師の個人的効力感にどのように影響しているかを検討するため,問題性評価尺度の下位尺度と,対処行動評価尺度の下位尺度を目的変数とし,教師の個人的効力感尺度の下位尺度「生徒指導」を説明変数としてステップワイズ法による重回帰分析を性差に着目して行った。結果をTable2に示す。
この結果から,「影響性評価」及び「対処可能性評価」から正の影響がみられた。また,「問題解決志向」から負の影響がみられた。
目的 本研究の目的として,危機体験のある教師による児童生徒への見立てが教師のもつ効力感にどのように影響しているかを検討することを目的とする。
方法 本調査:調査対象 S県内の公立小学校・公立中学校の女性教師23名。調査方法:20XX年8月調査を実施した。調査は,研修会の場で協力を依頼し,許可が得られた学校の教師に対して質問紙を配布し,回答を求める方法を併用した。調査内容:本研究で使用した質問紙は,以下の質問項目から構成されていた。
(a) 問題性評価尺度:竹村(2008)が作成した問題性評価尺度を使用した。この尺度は,影響性評価,対処可能性評価の2因子・9項目からなる。「児童・生徒との関わりにおいて問題が生じたときのあなたの感情や考えを良く表すように,数字に○をつけて下さい。」との教示文により,各問について,全くちがう(0点),いくらかそうだ(1点),まあそうだ(2点),その通りだ(3点)の4件法で回答を求めた。本研究では調査対象が小学校教師,中学校教師なので,調査の実施にあたり,「気になる児童(生徒)」については、竹村(2008)の説明に生徒を加え,「授業中や休み時間など,学級での活動の際に,集団への参加や学習への取り組み,他の児童とのかかわりなどに困難を示す児童(生徒)」との説明を付した。
(b)自己効力感:淵上・西村(2004)が作成した教師の個人的自己効力感尺度のうち,第1因子である「生徒指導への効力感」10項目を使用した教師の自己効力感とは,「望ましい教育的結果を遂行できるという教師の信念」と定義されている(淵上・西村,2004)。本尺度は,「生徒指導への効力感」,「教科指導への効力感」,「成績向上への効力感」の3因子から構成されているが,内容的に本研究と最も関係が深いと思われる「生徒指導への効力感」因子のみを使用した。「日頃の先生方の様子について質問します。」との教示文により,各問について,たいへんあてはまる(4点)からまったくあてはまらない(1点)まで4件法で回答を求めた。(c)教師への属性:性別,学校種,教員勤務歴,危機体験の有無を聞いた。
結果 危機体験のある教師の児童・生徒への評価が教師の個人的効力感にどのように影響しているかを検討するため,問題性評価尺度の下位尺度と,対処行動評価尺度の下位尺度を目的変数とし,教師の個人的効力感尺度の下位尺度「生徒指導」を説明変数としてステップワイズ法による重回帰分析を性差に着目して行った。結果をTable1に示す。
この結果から,「対処可能性評価」から正の影響が見られた。
次に女性教師(23名)の児童・生徒への評価が教師の個人的効力感にどのように影響しているかを検討するため,問題性評価尺度の下位尺度と,対処行動評価尺度の下位尺度を目的変数とし,教師の個人的効力感尺度の下位尺度「生徒指導」を説明変数としてステップワイズ法による重回帰分析を性差に着目して行った。結果をTable2に示す。
この結果から,「影響性評価」及び「対処可能性評価」から正の影響がみられた。また,「問題解決志向」から負の影響がみられた。