[PG022] 担任教師の働きかけが学級雰囲気と生徒のクラスメート受容に及ぼす影響
Keywords:担任教師の働きかけ, 学級雰囲気, クラスメート受容
〔問題と目的〕
学級には、独自の雰囲気があり、その雰囲気は担任教師の主体的な働きかけによって作られていることが推察できる。生徒に対する教師の働きかけとして、指導や注意という働きかけが生徒の成長や学級経営においても必要であることが指摘されており(西口,2000;浦野,2000)、どのような指導や注意がプラスに影響を与えるのかということを検討する価値は大きい。そこで本研究では、教師の働きかけが学級雰囲気や生徒相互の受容にどのような影響を及ぼしているのかを明らかにすることを目的とする。
〔方法〕
2013年2月から3月上旬に公立中学校4校の生徒516名を対象に調査を行い、510名から有効回答を得た。調査には以下の3つの尺度が使用された。
教師の働きかけ尺度 予備調査を経て作成された53項目について、担任教師がしている程度を4段階で回答させた。この尺度は「賞賛・承認」「何気ない働きかけ(挨拶をする等)」「生徒に問題を気づかせる意図が明確な指導・注意」「生徒に問題を気づかせる意図が不明確な指導・注意」の4カテゴリに分類されるような個々の生徒に対する働きかけ23項目と学級全体に対する働きかけ30項目項から構成されていた。
学級雰囲気尺度 吉崎・水越(1979)のSD尺度15項目について5段階で回答を求めた。
クラスメート受容尺度 高井(1999)および吉田・澤野・服部(1992)の尺度から重複する項目を除いた9項目について5段階で回答を求めた。
〔結果と考察〕
教師の働きかけ尺度の因子分析 個人に対する働きかけ尺度の第1因子は「賞賛・承認」と「何気ない働きかけ」の項目で構成され、『関係を作る働きかけ』と命名した。第2因子は『意図が不明確な指導・注意』、第3因子は『意図が明確な指導・注意』となった。学級全体に対する働きかけ尺度では、第1因子は「意図が明確な指導・注意」と「賞賛・承認」項目で構成され、『良い面を強化する働きかけ』と命名した。第2因子は『意図が不明確な指導・注意』、第3因子は『何気ない働きかけ』であった。すべての因子においてα>.78となり、内的一貫性が確認された。
学級雰囲気尺度の因子分析 吉崎・水越(1979)とほぼ同様の因子構造が得られた。第1因子は『規律』、第2因子は『明るさ・活発さ』、第3因子は『優しさ・温かさ』であり、すべての因子においてα>.70であった。
クラスメート受容尺度の因子分析 第1因子は「自分と考え方が違っていても、その人の考え方を大切にする」等で『異なる考えの受容』、第2因子は「クラスの人の長所や得意なことをほめる」等で『情緒的な受容』」と命名した。どちらの因子もα>.71であった。
教師の働きかけが学級雰囲気とクラスメート受容に及ぼす影響 教師の働きかけが学級雰囲気に影響を及ぼし、学級雰囲気が生徒のクラスメート受容を促進するというモデルを仮定し、共分散構造分析により検証を行った。適合度指標を基に複数のモデルを比較し、想定したパスが有意で、十分な適合度を示したモデルを採用した(χ2=110.8、GFI=.96、AGFI=.91、CFI=.98、RMSEA=.07)。学級の雰囲気には教師の「学級全体への働きかけ」が影響し、「生徒個人に対する働きかけ」も間接的に影響を及ぼしていた。さらに望ましい学級雰囲気の中で、生徒のクラスメート受容が培われることが明らかになった。
学級には、独自の雰囲気があり、その雰囲気は担任教師の主体的な働きかけによって作られていることが推察できる。生徒に対する教師の働きかけとして、指導や注意という働きかけが生徒の成長や学級経営においても必要であることが指摘されており(西口,2000;浦野,2000)、どのような指導や注意がプラスに影響を与えるのかということを検討する価値は大きい。そこで本研究では、教師の働きかけが学級雰囲気や生徒相互の受容にどのような影響を及ぼしているのかを明らかにすることを目的とする。
〔方法〕
2013年2月から3月上旬に公立中学校4校の生徒516名を対象に調査を行い、510名から有効回答を得た。調査には以下の3つの尺度が使用された。
教師の働きかけ尺度 予備調査を経て作成された53項目について、担任教師がしている程度を4段階で回答させた。この尺度は「賞賛・承認」「何気ない働きかけ(挨拶をする等)」「生徒に問題を気づかせる意図が明確な指導・注意」「生徒に問題を気づかせる意図が不明確な指導・注意」の4カテゴリに分類されるような個々の生徒に対する働きかけ23項目と学級全体に対する働きかけ30項目項から構成されていた。
学級雰囲気尺度 吉崎・水越(1979)のSD尺度15項目について5段階で回答を求めた。
クラスメート受容尺度 高井(1999)および吉田・澤野・服部(1992)の尺度から重複する項目を除いた9項目について5段階で回答を求めた。
〔結果と考察〕
教師の働きかけ尺度の因子分析 個人に対する働きかけ尺度の第1因子は「賞賛・承認」と「何気ない働きかけ」の項目で構成され、『関係を作る働きかけ』と命名した。第2因子は『意図が不明確な指導・注意』、第3因子は『意図が明確な指導・注意』となった。学級全体に対する働きかけ尺度では、第1因子は「意図が明確な指導・注意」と「賞賛・承認」項目で構成され、『良い面を強化する働きかけ』と命名した。第2因子は『意図が不明確な指導・注意』、第3因子は『何気ない働きかけ』であった。すべての因子においてα>.78となり、内的一貫性が確認された。
学級雰囲気尺度の因子分析 吉崎・水越(1979)とほぼ同様の因子構造が得られた。第1因子は『規律』、第2因子は『明るさ・活発さ』、第3因子は『優しさ・温かさ』であり、すべての因子においてα>.70であった。
クラスメート受容尺度の因子分析 第1因子は「自分と考え方が違っていても、その人の考え方を大切にする」等で『異なる考えの受容』、第2因子は「クラスの人の長所や得意なことをほめる」等で『情緒的な受容』」と命名した。どちらの因子もα>.71であった。
教師の働きかけが学級雰囲気とクラスメート受容に及ぼす影響 教師の働きかけが学級雰囲気に影響を及ぼし、学級雰囲気が生徒のクラスメート受容を促進するというモデルを仮定し、共分散構造分析により検証を行った。適合度指標を基に複数のモデルを比較し、想定したパスが有意で、十分な適合度を示したモデルを採用した(χ2=110.8、GFI=.96、AGFI=.91、CFI=.98、RMSEA=.07)。学級の雰囲気には教師の「学級全体への働きかけ」が影響し、「生徒個人に対する働きかけ」も間接的に影響を及ぼしていた。さらに望ましい学級雰囲気の中で、生徒のクラスメート受容が培われることが明らかになった。