[PG036] 実習生が保育士に求める援助について
保育実習における援助特性
Keywords:保育士, 保育実習, 援助特性
1目的
保育実習で実習生が保育士に求める援助について、これまであまり議論されてこなかった。
近年、保育所における保育士のストレスが高いことが指摘されており、保育士養成の重要な役割を果たす実習先の保育職場の環境改善が望まれている。
さらに、実習先の保育所の環境や保育士の性格が実習生の保育士を志望する意欲に強い影響を及ぼしており、保育士を志望し、保育実習に臨む学生に対して、保育士への志望意欲が高まるように、より適切な実習環境や保育士側の受け入れの姿勢を考えることは、大きな課題であると考える。
そこで、本研究では、保育実習における実習生の援助特性を明らかにすることで、保育士の実習生への理解が深まり、実習において質の高い学びができると考えた。そこで本研究は探索的に研究を行い、実習生の援助特性を明らかにすることを目的とする。
2方法
実習後に学生に対して、個別自記入式、集団調査形式の調査を実施した。調査協力者は、保育実習の経験がある学生50名であった。保育所実習で、学生が指導を受ける時に保育士に対して、求めている援助の内容を自由記述で回答してもらった。
なお、調査実施にあたり、調査協力者に対して、事前に研究の説明を行い、同意した者のみに無記名で回答を求め、倫理的配慮を行った。
分析については、自由記述の中から意味ある文章ごとに区切り、項目の抽出を行った。これらの項目が、妥当性を満たしているかどうかを専門家3名により協議を行って、3名とも一致した項目のみを援助特性を示す項目として採用した。また、得られた項目を整理し、検討を行った。
3結果
実習生が保育士に求める援助特性として採用した項目は35項目であった。また、生成したサブカテゴリーは19項目で、カテゴリーは、14項目であった。生成したカテゴリーは、<コミュニケーションの円滑さ><親しみやすい雰囲気><保育への助言><保育の説明><保育の伝承><子どもの情報提供><具体的指示><傾聴><振り返りの機会の設定><モデルの提示><保育の手助け><信頼・寛容・認めること><大切にされること><指導方針の共通理解>と名づけられた。
抽出されたカテゴリーの互いの関係について、コーディング・ファミリーを用いて検討を行った。
さらに、検討結果については、5名の調査協力者にメンバーチェッキングの実施を行い、その結果として支持された。
4考察
保育実習を実施する際に指導の前提として求められる援助特性として、<指導方針の共通理解>を挙げることができる。保育所に、この<指導方針の共通理解>が存在してはじめて、保育士間の親しみやすい雰囲気が生まれるものと考えることができる。すなわち、実習生を受け入れる際に<指導方針の共通理解>が基礎となり指導が行われて、保育士同士や保育士と実習生との間の人間関係を良好にし、実習生に対して、<信頼・寛容・認めること>を伴った指導を行い、<親しみやすい雰囲気>で接することができるといえる。
これは、信頼関係が築かれていたり、親しみやすい関係が構築できることで、保育職場内でのサポート機能が十分に機能し、自己開示しやすい環境が整うものと考えることができる。以上のことから、保育士同士、保育士と実習生間で温かい心の交流が生まれ、<親しみやすい雰囲気>が<コミュニケーションの円滑さ>を生み出し、かつ<信頼・寛容・認めること>が、<大切にされること>という実感が生み出し、これらが相互作用によって影響を及ぼし合っていると考える。
これらの援助特性は、肯定的な関係性を意味していることから、実習生が保育実習の終了後、保育士を志望するかどうかの意欲に影響を与える可能性がある援助特性と考えることができる。
また、保育実践における保育士に求める具体的な援助特性として、<コミュニケーションの円滑さ>に関係してくる<保育への助言><保育の説明><保育の伝承><傾聴><子どもの情報提供><具体的指示>が挙げられる。さらに、<大切にされること>に関係してくる<振り返りの機会の設定><モデルの提示><保育の手助け>に関しても、保育実践での具体的な援助特性と位置づけることができると考える。以上のように援助特性に関して明らかにすることができた。
保育実習で実習生が保育士に求める援助について、これまであまり議論されてこなかった。
近年、保育所における保育士のストレスが高いことが指摘されており、保育士養成の重要な役割を果たす実習先の保育職場の環境改善が望まれている。
さらに、実習先の保育所の環境や保育士の性格が実習生の保育士を志望する意欲に強い影響を及ぼしており、保育士を志望し、保育実習に臨む学生に対して、保育士への志望意欲が高まるように、より適切な実習環境や保育士側の受け入れの姿勢を考えることは、大きな課題であると考える。
そこで、本研究では、保育実習における実習生の援助特性を明らかにすることで、保育士の実習生への理解が深まり、実習において質の高い学びができると考えた。そこで本研究は探索的に研究を行い、実習生の援助特性を明らかにすることを目的とする。
2方法
実習後に学生に対して、個別自記入式、集団調査形式の調査を実施した。調査協力者は、保育実習の経験がある学生50名であった。保育所実習で、学生が指導を受ける時に保育士に対して、求めている援助の内容を自由記述で回答してもらった。
なお、調査実施にあたり、調査協力者に対して、事前に研究の説明を行い、同意した者のみに無記名で回答を求め、倫理的配慮を行った。
分析については、自由記述の中から意味ある文章ごとに区切り、項目の抽出を行った。これらの項目が、妥当性を満たしているかどうかを専門家3名により協議を行って、3名とも一致した項目のみを援助特性を示す項目として採用した。また、得られた項目を整理し、検討を行った。
3結果
実習生が保育士に求める援助特性として採用した項目は35項目であった。また、生成したサブカテゴリーは19項目で、カテゴリーは、14項目であった。生成したカテゴリーは、<コミュニケーションの円滑さ><親しみやすい雰囲気><保育への助言><保育の説明><保育の伝承><子どもの情報提供><具体的指示><傾聴><振り返りの機会の設定><モデルの提示><保育の手助け><信頼・寛容・認めること><大切にされること><指導方針の共通理解>と名づけられた。
抽出されたカテゴリーの互いの関係について、コーディング・ファミリーを用いて検討を行った。
さらに、検討結果については、5名の調査協力者にメンバーチェッキングの実施を行い、その結果として支持された。
4考察
保育実習を実施する際に指導の前提として求められる援助特性として、<指導方針の共通理解>を挙げることができる。保育所に、この<指導方針の共通理解>が存在してはじめて、保育士間の親しみやすい雰囲気が生まれるものと考えることができる。すなわち、実習生を受け入れる際に<指導方針の共通理解>が基礎となり指導が行われて、保育士同士や保育士と実習生との間の人間関係を良好にし、実習生に対して、<信頼・寛容・認めること>を伴った指導を行い、<親しみやすい雰囲気>で接することができるといえる。
これは、信頼関係が築かれていたり、親しみやすい関係が構築できることで、保育職場内でのサポート機能が十分に機能し、自己開示しやすい環境が整うものと考えることができる。以上のことから、保育士同士、保育士と実習生間で温かい心の交流が生まれ、<親しみやすい雰囲気>が<コミュニケーションの円滑さ>を生み出し、かつ<信頼・寛容・認めること>が、<大切にされること>という実感が生み出し、これらが相互作用によって影響を及ぼし合っていると考える。
これらの援助特性は、肯定的な関係性を意味していることから、実習生が保育実習の終了後、保育士を志望するかどうかの意欲に影響を与える可能性がある援助特性と考えることができる。
また、保育実践における保育士に求める具体的な援助特性として、<コミュニケーションの円滑さ>に関係してくる<保育への助言><保育の説明><保育の伝承><傾聴><子どもの情報提供><具体的指示>が挙げられる。さらに、<大切にされること>に関係してくる<振り返りの機会の設定><モデルの提示><保育の手助け>に関しても、保育実践での具体的な援助特性と位置づけることができると考える。以上のように援助特性に関して明らかにすることができた。