The 56th meeting of the Japanese association of educational psychology

Presentation information

ポスター発表 » ポスター発表 PG

ポスター発表 PG

(5階ラウンジ)

Sun. Nov 9, 2014 10:00 AM - 12:00 PM 5階ラウンジ (5階)

[PG055] 大学生はどのようなノートをとろうとしているのか

有効性認知やこれまでに受けた指導との関係

魚崎祐子 (玉川大学)

Keywords:大学生, ノートテイキング

1.はじめに
藤澤(2002)や植阪(2009)などによると,我が国の学校教育では学習方略について系統的に学ぶ機会が少なく,不十分である可能性が指摘されている。また,佐藤(2001)は教師がどのような学習方略を有効と考え,指導しているかが,学習者の学習行動に影響する可能性を指摘している。
本研究ではこれまでに様々な教師に出会ってきたと考えられる大学生のノートテイキングに焦点をあて,ノートをとる際にどのようなとり方をしているのかということとその背景にある有効性認知やこれまでに受けた指導との関わりについて探ることとした。
2.方法
2.1.対象
関東地方の大学において「教育心理学」の授業を受講する学生94名を対象とした。
2.2.手続き
授業中にノートテイキングを行う上でどの程度行っているのか,どのくらい有効だと考えているのか,またそれらのことについてこれまでに指導を受けたり,勧められたりしたことがあるのかという3点から調査を行った。そこで,大学入学以前に受けてきたと考えられるノート指導と対応させることを考慮し,大坪・東畑(2012)が教師への調査をもとに整理したノート指導の概念などを参考に(1)学習の流れがわかるように書くこと,(2)「本時に学ぶこと」や「まとめ」をはっきり書くこと,(3)復習をしやすいように書くこと,(4)重要な語句を書くこと,(5)文字数を少なくすること,(6)大切な情報を選んで書くこと,(7)多くの量を書くこと,(8)黒板(スクリーン)に提示された情報を書くこと,(9)自分の考えを書き込むこと,(10)レイアウトを工夫すること,(11)丁寧に書くこと,(12)見やすい大きさの文字で書くこと,(13)色使いを工夫すること,(14)余白を十分にとること,(15)正しい内容を書くこと,(16)自分なりのやり方を持つことという16項目を選定した。
これらの項目を用い,行動については「いつもおこなっている」-「全くおこなっていない」,有効性認知については「とても有効である」-「まったく有効でない」の5段階で評定を求め,指導の有無については「ある」「ない」を選択してもらうとともに,指導された経験のある場合には誰からの指導であったのかも回答してもらった。
3.結果と考察
3.1.行動と有効性認知の対応
行動への評定と有効性認知への評定との間に相関があるかどうかを確かめた。スピアマンの順位相関係数を用いて検討したところ,両者の間には相関関係があるということがわかった(rs=.48, p<.01)。このように相関はみられるものの,行動と有効性認知への評定の間にみられる相違についても検討するために,質問項目ごとにウィルコクソンの符号順位和検定をおこなった。その結果,項目1(Z=6.09), 2(Z=7.04), 3(Z=7.47), 5(Z=3.76), 6(Z=5.40), 8(Z=2.82), 9(Z=6.88), 10(Z=4.23), 11(Z=3.54),12(Z=2.72),13(Z=2.97),14(Z=3.94), 15(Z=5.70)において1%水準で有意差が見られた。このうち,項目8のみが有効性を認知している程度より多く実行しており,その他の項目は有効性を認知しているほどには実行していないという結果であった。つまり,調査に含まれた項目は一般的にも有効であると捉えられがちな内容であったこともあり,学生たちの意識の中では有効だと考えているものの,実際にはそこまで実行していないということが多いということがわかった。
3.2.指導の有無
項目4,3,11,14,6,8については多くの学生がこれまでに指導を受けたことがあると回答した。また,いずれの項目も教師から指導を受けたという回答が多かったが,項目3は塾講師,項目11は親から指導を受けたという回答も多く見られた。一方,項目5や7についてはこれまでにそのように指導を受けたという回答が少なかった。
3.3.行動や有効性認知と指導との関係
指導を受けたことのある項目とない項目とでは行動や有効性の認知への影響が異なるのかを検討するために,マン・ホイットニーのU検定を行ったところ,指導を受けたことのある項目の方が行動をとりやすく(Z=6.60, p<.01),有効性を認知している(Z=9.90, p<.01)という結果が見られた。この結果から,ノートテイキングを学習方略として捉える上で,これまでに周囲から受けた指導が影響していると考えられた。