The 56th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PH

(5階ラウンジ)

Sun. Nov 9, 2014 1:30 PM - 3:30 PM 5階ラウンジ (5階)

[PH017] 不登校を激減させた方法(2)

中学校での激減と,小学校での激減の方法の共通性から

工藤弘 (安曇野市立三郷小学校)

Keywords:不登校, コーディネーター, スモールステップ

はじめに 小中学校で不登校の問題が叫ばれ,各自治体でその対応に追われている。各学校でもそれぞれの対応が行われているが,工藤・小林(2010)では,小中連携の取り組みによって,中一ギャップに陥りやすい要因を明らかにし,不登校の減少させた効果のある処遇の一部を発表した。中一ギャップを減らすために,尺度によって,中一ギャップになりやすい原因とそれを防ぐための処遇の一部が明らかにされた。
さらに2012-2013年度、別地区のM小学校でも同様にコーディネートし,不登校が激減した。
目的と仮説 工藤・小林(2010)で行った方法によって,M小学校でもコーディネートと実践を行い,同様の結果が得られれば,小学校,中学校における不登校を激減させるための方法が明らかになる。
コーディネートは中学校と基本的に同様の方法によって行い,前回のA中学校同様の結果が得られるかを検証した。
また,同様の結果が得られた場合,その中での共通点を明らかにすることによって,方法が一般化できると考えた。
方法 対象 長野県M小学校(全校1100名 県内最大校)。工藤・小林(2010)でのA中学校区の3小学校とは別地域。前回同様の学校体制を初年度から少しずつ整備した。校内体制については,M小学校では,県内での成果を生かした体制はとられており,そこに,A中学校の方法をさらに加えた。
結果 図1 A中学校の結果と,図2 M小学校での結果について,同様の結果が得られた。
コーディネート前,コーディネート後(A中学校2007-2010,M小学校2009-2013)では,明らかに激減した(A中学校、p=.0003,M小学校,p=.0129)。(M小学校では、2011には整備が行われ始めていたので,2009年と比較)。また,両学校は5年間同様の変化をした(r =.87)。

考察 以上の結果から,不登校を激減させる方法を利用してコーディネートできることは明らかになった。
共通点については,①相談室・SC体制 ②タッチ登校を利用したスモールステップ ③ルールのある学級学校集団作り ④同一コーディネータ ⑤複数支援体制。
また,M小学校では,すぐにA中学校の結果や方法を取り入れようと年度当初研修を行い,方法の理解を進めてくれた。また,全職員へこの方法論を取り入れ浸透させていく学校経営のリーダーシップがすでに存在しており,学級経営,生徒指導・児童理解と幅広い視野で,処遇を受け入れていただいた。
引用文献 工藤・小林 2010,不登校を激減させた方法~尺度の作成と小学校と中学校の連携による中一ギャップの予防(その1),第52回日本教育心理学会論文集p532
謝辞 本研究にご協力頂いた学校関係者・研究所等の皆様,心より感謝申し上げます。