The 56th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PH

(5階ラウンジ)

Sun. Nov 9, 2014 1:30 PM - 3:30 PM 5階ラウンジ (5階)

[PH021] 友人関係と生徒-教師関係が学校適応に与える影響(3)

日本と中国における高校生の比較

石本雄真1, 王松2, 日潟淳子3 (1.立命館大学, 2.関西学院大学, 3.近大姫路大学)

Keywords:学校適応, 友人関係, 教師・生徒関係

[問題・目的]日本と中国ではともに中高生の学校不適応問題が示されているが,学校適応に与える要因について,日本においては相対的に友人関係(古市・玉木,1994;大久保,2005など),中国においては相対的に教師―生徒関係の影響が強いことが示されている(王,2009;?,2006)。両国で学校不適応に対して影響を与える要因について検討し,その差異から学校不適応問題に対する対応を考えるため,本稿では学校適応に影響する要因や適応指標に関する両国間の差について報告する。
[方法]□調査対象者 日本:高校生212名(3年生:男子84名,女子128名),中国:高校生371名(3年生:男子163名,女子208名) □調査項目 ◆中高生用学校生活尺度(大久保・青柳,2004)[20項目] ◆学校生活享受感尺度(古市・玉木,1994)[10項目] ◆自尊心尺度(福岡県生活推進部青少年アンビシャス運動推進室,2009)[9項目] ◆友人への同調性尺度(石本ら,2009)[9項目] ◆友人との心理的距離尺度(石本ら,2009)[8項目](すべて5件法) 中国においてはそれぞれ中国語に翻訳した尺度を用いたが,自尊心尺度についてのみ原典(Rosenberg,1965)の中国語版を使用した。また,日本語版においても中国語版においても,山本・松井・山成(1982)による邦訳版について内容的に異質である(谷,2001)とされている項目8に対応する項目をそれぞれの尺度から除いた9項目を用いた。
[結果・考察]国および性別を独立変数とし,学校生活(友人関係),学校生活(教師―生徒関係),心理的距離,同調性,学校生活享受感,自尊心のそれぞれの得点を従属変数とした2要因被験者間分散分析を行った。その結果,いずれの従属変数に関しても交互作用は示されなかった。学校生活(教師―生徒関係),心理的距離,同調性,自尊心について両国間の主効果が,学校生活(友人関係),心理的距離について性別の主効果が示された。中学生における結果(石本・王・日潟,2014)とは異なり,友人関係の良好さについて両国間での差がみられなかった。一方で,教師―生徒関係については中学生同様,中国の方が良好であると認知されていた。また,心理的距離について日本の方が遠く,同調性について日本の方が低いことから,相対的に日本の方が密着しない友人関係であることが示された。一連発表で示した通り,日本においては友人関係が相対的に強く学校適応や自尊心に強い影響を与えるが,一方で中国と比較すると相対的に密着しない友人関係をとっていることが示された。これらの得点の違い,および中高生の違いを踏まえたうえで,影響の与え方の違いがどのように生じるのかについて検討する必要があるといえる。
付記 本研究は公益財団法人松下幸之助記念財団の助成を受けて行われた。