The 56th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PH

(5階ラウンジ)

Sun. Nov 9, 2014 1:30 PM - 3:30 PM 5階ラウンジ (5階)

[PH044] 子どもの手本としての大人の機能の変化2

2013年時点における子どもの手本にならない言動に関する保護者の認識

枝野裕子1, 水野智美2, 徳田克己2, 西館有沙3, 西村実穂4, 安心院朗子5, 大越和美6 (1.筑波大学大学院, 2.筑波大学, 3.富山大学, 4.東京未来大学, 5.目白大学, 6.子ども支援研究所)

Keywords:手本, 保護者, 認識

目 的
本稿では,手本にならない言動をしたことについて子どもから指摘された際に,保護者はどのように対応しているのか,また子どもの手本になることについてどのように認識しているのかについて,明らかにしたい。
方 法
手続きおよび調査対象者は「子どもの手本としての大人の機能の変化1」と同様である。
結 果
子どもに指摘していることを保護者自身が守っていないことについて,子どもから指摘されたことの有無を尋ねるとともに,指摘された者は子どもにどのように対応したのかについて明らかにした(表1)。表1によると,どの言動においても「非を認めて謝る」者が多かった。しかし,「正しい方法でやり直す」という対応をしていた者は少なかった。また,「けんかをする」「うそをつく」「赤信号で道路を横断する」ことをしていた者のうちで,「言い訳をする」と回答した者が4割近くいた。また,少数ではあったが,「大人はしてもよいと言う」といった開き直りの行為をしていた者がいた。水野・高見(2003)が手本になっていない言動について子どもから指摘された際の対応を自由記述式で尋ねたところ,「言い訳をする」と回答していた者が38%と最も多く,「非を認めて謝る」は28% であった。質問の方法が異なるため,一概に比べることはできないが,現在の方が保護者が非を認めて謝る割合が高くなっていることが推測される。
表2には,子どもの手本にならない保護者の言動について,保護者自身はどのように認識しているのかについて,選択式で尋ねた結果を示した。表2より,「子どもの手本とは,子どもに言い訳をせず,改善の努力をみせていくことである」(58%),「保護者も人間であるから,必ずしもすべての行動が手本になるとは限らない」(55%)と答えた者が半数以上いることが確認できた。つまり,大半は言行一致となるような完璧な行動はできないが,不一致となるような言動をとってしまった場合には,子どもに言い訳をせずに改善の努力を見せていくことが子どもにとっての手本であると考えていることがわかった。一方,「保護者は言行不一致にならないように,常に意識して行動すべきである」と回答した者は約3割にとどまり,「子どもには不適切な言動を見せないようにしよう」とする保護者が少ないことがわかった。