The 56th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PH

(5階ラウンジ)

Sun. Nov 9, 2014 1:30 PM - 3:30 PM 5階ラウンジ (5階)

[PH054] 日本語版Profile of Emotional Competence作成の試み (2)

基準関連妥当性と増分妥当性の検証

野崎優樹1, 子安増生2 (1.京都大学・日本学術振興会, 2.京都大学)

Keywords:情動コンピテンス, 情動知能, 尺度開発

目 的
情動コンピテンスは,自他の情動を同定し,理解し,表現し,調整し,利用する能力の個人差を説明する概念である。Brasseur, et al. (2013) は,自他の情動が関連する能力を区分し,包括的に測定できる尺度として,Profile of Emotional Competenceを開発した。本研究ではこの尺度の日本語版(野崎・子安, 2014;日心第78回大会)の基準関連妥当性と増分妥当性を検証する。

方 法
調査対象者 本研究の全調査対象者は,263名であった。このうち,80名(男性46名,女性34名,平均年齢20.80歳,SD = 3.23)は大学生であり,直接調査票を配布して回答を得た。また,183名 (男性93名, 女性90名, 平均年齢40.19, SD = 10.89) は,株式会社クロス・マーケティングが保有するサンプルを対象として,インターネット調査を通じて回答を得た。
日本語版Profile of Emotional Competence Profile of Emotional Competence (Brasseur, et al., 2013) は二次因子として情動コンピテンス自己領域と他者領域の2つから構成され,2つの二次因子はそれぞれ同定,理解,表現,調整,利用の一次因子を測定する5件法の5項目ずつ,計50項目から構成されている。日本語版の作成に際して,原著者の許可を得て,調査者が日本語訳を作成し,アメリカに4年以上滞在経験がある日本人によりバックトランスレーションを行った。その後バックトレンスレーションと原文と比較し,異なるものは協議して訳を修正し,再度同じ手続きを繰り返した。最後に原著者に原文との整合性を確認した。
ビッグ・ファイブ 日本語版Ten Item Personality Inventory (小塩他, 2012) を用いた。外向性,神経症傾向,調和性,開放性,誠実性を測定する7件法2項目ずつで構成された。
自尊心 日本語版Rosenberg self-esteem scale (Mimura & Griffiths, 2007) を用いた。4件法10項目で構成された (α = .84)。
人生満足感 日本語版Satisfaction with life scale (Uchida et al., 2008) を用いた。5件法5項目で構成された (α = .84)。
孤独感 日本語版改訂UCLA孤独感尺度 (諸井, 1991) を用いた。4件法20項目で構成された (α = .93)。

結 果 と 考 察
先行研究と同様に,情動コンピテンス自己領域と他者領域のいずれも,外向性,調和性,開放性,誠実性,自尊心,人生満足感と正の相関が,神経症傾向,孤独感と負の相関が見られた (Table 1)。さらにビッグ・ファイブの影響を統制しても,情動コンピテンスは自尊心,人生満足感と正に関連しており,孤独感と負に関連していた。以上より,日本でのProfile of Emotional Competenceの基準関連/増分妥当性が支持された。