[PH074] 幼児期の唾棄中α‐アミラーゼ活性に関する基礎研究Ⅲ
幼稚園場面での縦断データを用いた検討
Keywords:唾液中α‐アミラーゼ, 幼稚園
【目的】本研究は幼児の唾液中のα?アミラーゼ(唾液アミラーゼ)活性に関する基礎データを収集し、その発達的検討を目的とする一連の研究のひとつである。唾液アミラーゼ活性の測定は簡便であるため幼児にも適用しやすく、幼稚園などの集団場面においてある種の指標として有効活用可能と考えられるが、どのような指標として利用できるのだろうか。唾液アミラーゼが幼児にとってどのような指標として利用できるのかを探るべく、前回の報告(西元、山本, 2013;山本、西元, 2013)では、幼稚園登園直後の唾液アミラーゼ活性と性別および気質との関連、きょうだい順位との関連について検討した。今回の報告では、前回の測定データに加えて1年後の同時期に測定したデータも用いて、幼児期の唾液アミラーゼ活性について検討する。
【方法】対象:大阪府内の幼稚園の2012年度3歳児クラス入園児(男児:61名、女児36名)。
手続き:園児の登園後(9~10時頃)と降園前(13~14時頃)に酵素分析装置(唾液アミラーゼモニター:ニプロ(株))を用いて、唾液中のα-アミラーゼを測定した(第1回(3歳時):2013年3月4~6日実施、第2回(4歳時)2014年2月24~26日実施)。また、園児の養育者に対して気質質問紙(CBQ Short Form)(沼田, 2006)への回答を依頼した(2013年2月実施)。
【結果】唾液アミラーゼ活性の基礎統計量をTable 1に示す。唾液アミラーゼ活性の測定値については、30kIU/L未満を低群、61kIU/L以上を高群として分析に用いることとした。
唾液アミラーゼ活性について、3歳時4歳時とも低群(あるいは高群)であったグループを低-低群(あるいは高-高群)とし(Table 2)、気質における高-高群と低-低群の差の検討を行った。気質については気質因子得点(「自己コントロール」「高潮性」「否定的情動性」)(西元、2012)を用いた。
Mann-WhitneyのU検定を行った結果、唾液アミラーゼ活性の午前および午後の値において、高-高群のほうが低-低群よりも「自己コントロール」得点が有意に高かった(午前;U=14.50, p< .01、午後;U=15.00, p< .05)(Table 3)。男女別で検討した結果、男児については上述と同様に高-高群のほうが低-低群よりも「自己コントロール」得点が有意に高かったが(午前;U=1.00, p< .05、午後;U=3.00, p< .05)、女児については有意な差は見受けられなかった。
【考察】
本研究では、安定的にアミラーゼ活性値が高かった群と低かった群において気質「自己コントロール」因子との関連が示された。この因子は下位項目として「注意の焦点化」「知覚的鋭敏性」「抑制のコントロール」を含む。これらは一つのシステムとして働くと考えられることから、現段階でのアミラーゼ活性はある状況に置ける総合的な生理指標として扱われることが主になると考えられる。今後はどのような状況/場面/刺激によって個々のアミラーゼ活性が変化するのか。さらなるアミラーゼ活性の変化データを縦断的に蓄積することが求められる。
本研究は平成24~27年度文科省科研費(課題番号 24730552)の助成を受けて行われた。
【方法】対象:大阪府内の幼稚園の2012年度3歳児クラス入園児(男児:61名、女児36名)。
手続き:園児の登園後(9~10時頃)と降園前(13~14時頃)に酵素分析装置(唾液アミラーゼモニター:ニプロ(株))を用いて、唾液中のα-アミラーゼを測定した(第1回(3歳時):2013年3月4~6日実施、第2回(4歳時)2014年2月24~26日実施)。また、園児の養育者に対して気質質問紙(CBQ Short Form)(沼田, 2006)への回答を依頼した(2013年2月実施)。
【結果】唾液アミラーゼ活性の基礎統計量をTable 1に示す。唾液アミラーゼ活性の測定値については、30kIU/L未満を低群、61kIU/L以上を高群として分析に用いることとした。
唾液アミラーゼ活性について、3歳時4歳時とも低群(あるいは高群)であったグループを低-低群(あるいは高-高群)とし(Table 2)、気質における高-高群と低-低群の差の検討を行った。気質については気質因子得点(「自己コントロール」「高潮性」「否定的情動性」)(西元、2012)を用いた。
Mann-WhitneyのU検定を行った結果、唾液アミラーゼ活性の午前および午後の値において、高-高群のほうが低-低群よりも「自己コントロール」得点が有意に高かった(午前;U=14.50, p< .01、午後;U=15.00, p< .05)(Table 3)。男女別で検討した結果、男児については上述と同様に高-高群のほうが低-低群よりも「自己コントロール」得点が有意に高かったが(午前;U=1.00, p< .05、午後;U=3.00, p< .05)、女児については有意な差は見受けられなかった。
【考察】
本研究では、安定的にアミラーゼ活性値が高かった群と低かった群において気質「自己コントロール」因子との関連が示された。この因子は下位項目として「注意の焦点化」「知覚的鋭敏性」「抑制のコントロール」を含む。これらは一つのシステムとして働くと考えられることから、現段階でのアミラーゼ活性はある状況に置ける総合的な生理指標として扱われることが主になると考えられる。今後はどのような状況/場面/刺激によって個々のアミラーゼ活性が変化するのか。さらなるアミラーゼ活性の変化データを縦断的に蓄積することが求められる。
本研究は平成24~27年度文科省科研費(課題番号 24730552)の助成を受けて行われた。