The 56th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PH

(501)

Sun. Nov 9, 2014 1:30 PM - 3:30 PM 501 (5階)

[PH075] 幼児期の対人場面での自己制御行動

発達初期の気質との関連

水野里恵1, 一木恒佑2 (1.中京大学, 2.中京大学大学院)

Keywords:自己制御行動, 対人場面, 気質

問題
われわれは,日本の子どもが就学前期に示すようになる対人場面での自己制御行動の発達について下記のようなモデル図を検討したいと考えている。
方法
第1回質問紙調査:第一子(5ヶ月齢~17ヶ月齢)267名に質問紙調査を実施した。質問紙は,子どもの気質測定項目と養育環境調査項目から構成されていた。2011年6月実施。
第2回質問紙調査: ECBQ日本語翻訳版から 7尺度についての気質測定を実施した。有効回答は127名から得られた。2012年3月実施。
第3回質問紙調査:子どもの対人場面での自己制御行動と母親の発達期待・価値観・CBQ日本語翻訳版から7尺度についての気質測定を実施した。回答は87名から得られた。2013年11月実施。
結果
3時点で全ての尺度に回答の得られている82名を対象に分析を行った。
自己制御行動質問紙の因子分析結果
対人場面での自己制御行動がどのように認識されているかを明らかにするため,全20項目に対して因子分析(主因子法・プロマックス回転)を実施した。固有値の推移,因子の解釈可能性,累積寄与率を考慮して2因子を抽出した。第1因子は自分の欲求や意思を他者に伝えたりリーダーシップをとる行動に負荷を示しており「主張・自己実現」,第2因子は我慢したり機嫌をそこねず自己を抑制する行動に負荷を示す項目群を表すと考えられ「自己抑制」と命名した。それぞれの因子に負荷する項目の加算平均値を尺度得点として算出した。各尺度得点のα係数は,対人場面自己主張得点=.80,対人場面自己抑制得点=.72となった。
自己制御行動2側面の性差・月齢差
各尺度得点の男女別・月齢別の平均値を表2に示した。各尺度得点の平均値について,性*月齢の2要因多変量分散分析を行った結果,性別の主効果が見られた。女児の自己抑制得点が有意に高かった(F=7.19, p<.01)。
自己制御行動2側面と気質との相関
自己制御行動2側面と3時点での気質との相関を求めた(表3)。
考察
発達初期に引っ込み思案の傾向を示す子どもほど主張面・抑制面ともに遅れる傾向にあること,エフォートフル・コントロールが高い子どもほど抑制面の発達が進む傾向にあると考えられた。
本研究は科学研究費補助金(基盤研究(B): 課題番号21330156)・科学研究費補助金(基盤研究(C): 課題番号26380909)による助成を受けた。