The 56th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ハラスメント防止委員会企画講演 » ハラスメント防止委員会企画講演

ハラスメントに関わるリスクマネジメントのあり方

Sat. Nov 8, 2014 1:30 PM - 3:30 PM 301国際会議室 (3階)

[harass01] ハラスメントに関わるリスクマネジメントのあり方

御輿久美子1, 金子雅臣2, 大塚雄作3 (1.NPOアカデミック・ハラスメントをなくすネットワーク, 2.職場のハラスメント研究所, 3.大学入試センター)

【企画趣旨】
 日本教育心理学会では,2010年に,ハラスメント防止ガイドライン等を作成し(http://www.edupsych.jp/noharassment/),相談窓口を設置するなど,学会としてハラスメント対策を講じてきました。また,研修機会としてのハラスメント防止委員会企画の講演会も,今回第4回目を迎えます。しかしその間も,大学や研究の場も含めた社会一般において,さまざまなハラスメントに関わる事件が頻繁に起こっていることが見聞されます。そういう中,単にハラスメント防止に関わる体制・機会を準備すればよいのではなく,それらを実際に機能させていくことが強く求められるようになってきているように思われます。
 教育心理学会の会員は,その専門性から,それぞれの職場等でハラスメント防止に関わる担当者に任命されることも少なくないのでないかと思われます。しかし,そうした役割にどう対応していったらよいのか,経験も少なく,戸惑われている方も少なくないのではないでしょうか。ハラスメントに関わるリスクは,被害を受けた当事者のリスクをはじめ,そのような問題が起きた大学や学会などの組織・制度・財政上のリスクなど,さまざまな形で表れます。そうしたさまざまなリスクを想定しつつ,もしそれが現実に起こったらどう対応していけばよいかというリスクマネジメントのあり方を共有しておくことが,ハラスメントの予防にもつながります。
 ハラスメント防止委員会では,こうした多様なリスクに対するマネジメントのあり方について問題を共有するために,本講演会を「ハラスメント防止に関わるさまざまな立場の方々の経験や課題を相互に共有し,情報交換できる場」として位置づけてみてはどうかと考えました。2時間の講演会ではもちろん不十分ですが,まずは情報共有を通して,本学会員内でハラスメントのリスクマネジメントに関わる人のネットワークが,ボトムアップにできあがっていくきっかけにならないものかと考え,今年の講演会の場をそうした機会としてご提案してみたいと思います。

 ご講演をお願いした御輿久美子先生は,奈良県立医科大学に38年間勤められ,その間に2001年「NPOアカデミック・ハラスメントをなくすネットワーク(NAAH)」を設立,その代表理事として,ハラスメント防止に関わる調査研究やネットワーク形成に尽力されてきました。また,奈良県立医科大学に2011年3月に設置された女性研究者支援センター「まほろば」(http://www.naramed-u.ac.jp/~josei/index.html)において,特任教授として,大学のハラスメント防止に関わる体制作りを推進された経験もおもちです。
 今回のご講演では,御輿先生に,まず,ハラスメントに関わる現状と課題,その対策や体制作りのポイントやネットワーク形成の意義についてお話しいただき,それを受けて,各大学や本学会でハラスメント防止に関わっておられる方々,またこうした問題に関心をお持ちの方々を交えて,質疑応答,情報交換の時間を持ちたいと思います。
 ハラスメントに関わる問題は,一人で解決できる問題ではありません。是非,多くの方にご参加いただき,みなさんと共に,この課題に取り組んでいければと思います。
【講演者紹介】
 2014年3月に奈良県立医科大学女性研究者支援センター特任教授を定年退任。2001年に立ち上げた特定非営利活動法人アカデミック・ハラスメントをなくすネットワーク(NAAH:Network for the Action against Academic Harassment)代表理事。NAAHでは,大学等のハラスメント防止のための啓発・研修,加害者の意識・行動変革のための研修,被害者の相談などを行ってきている。関連する著作に,『アカデミック・ハラスメントの防止対策』(現代のエスプリ,2010),『アカデミック・ハラスメントのない大学に向けて―誰にとっても快適な学習・教育・研究・労働環境つくり』(大学評価学会編「アカデミック・ハラスメントと大学評価―より開かれた大学をめざして」,2007年)などがある。