The 59th Annual Meeting of the Japanese Association of Educational Psychology

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ポスター発表 PA(01-83)

ポスター発表 PA(01-83)

Sat. Oct 7, 2017 10:00 AM - 12:00 PM 白鳥ホールB (4号館1階)

10:00 AM - 12:00 PM

[PA18] 工科系大学大学院生および進学予定者の大学院進学についての意識

進学動機・進学後の理想・進学決定時期・影響要因・心配要因について

石田拓矢1, 庄司正実#2 (1.東京電機大学, 2.目白大学)

Keywords:大学院進学, 工科系大学

問題と目的
 学士課程における教育の充実に加え,大学院の人材養成機能を強化し,国際的に魅力ある大学院教育を構築していくことが急務(文部科学省;2006)と言われて久しい。各大学においても大学院の充実を図ろうとしているが,私立大学・短期大学等入学志願動向によると,修士課程及び博士前期課程,専門職学位課程志願者数は減少し続けている。
 2011年度の志願者が多かったのはリーマンショックによる大きな社会的混乱により希望する就職先に就職できず,進学した学生が多かったためである。五十嵐(2012)が,現実的な進路や職業のイメージは経済変動や社会状況によって絶えず影響され,マスメディアなどによる偏った情報によって影響されやすいと述べている通り,大学院進学者が減少してきたのは就職環境が良い内に就職しようと考えた学生が多かったと考えられる。就職環境に振り回されることなく,学生が大学院に進学して専門性を身に付け,能力開発をして社会に出ていくよう指導していく必要がある。しかし,大学院への進学指導は学部の入試広報ほど力が入れられているとはいえない。このような中で,学生全国大学生活協同組合連合会(2014)は,第8回全国院生生活実態調査において大学院に進学した学生の進学動機を調査しているが,大学院進学に関連した研究は見当たらず,今後,研究が期待されるテーマであるといえる。

方   法
(1)調査対象者
 本研究の調査対象者は首都圏の私立工科系A大学(情報系)大学院生43名(1年生21名,2年生22名)および大学院進学の意思を示した学部4年目学生12名の合計55名であった。大学院生は2017年4月上旬のオリエンテーションにおいて,学部4年目学生は2017年4月から5月にかけて事務部窓口に大学院入試の募集要項を取りに来た際に調査表を配布して調査を行った。回答時間は10分ほどであった。
(2)質問項目
1.大学院に進学しようと思った理由を,そのように思った理由が大きい順に教えてください
2.(大学院生用質問)学部生の時に『大学院に進学したら「こうなりたい」』と思っていた理想の自分を,そのように思った順に教えてください
 (現在,そのようになっているかは問いません)
(4年目学生用質問)『大学院に進学したら「こうなりたい」』と思っている理想の自分を,そのように思った順に教えてください
3.大学院進学を決めた時期を教えてください
4.大学院進学にあたり,影響を受けたこと(人・出来事等)を,影響が大きかった順に教えてください
5.大学院進学にあたり,心配に思ったことがあったら,心配が大きかった順に教えてください
結   果
 回答はKJ法に準拠した方法で集計した。1.大学院進学理由については,「研究したい/学びたい/技術を身に付けたい」,「就職のため」,「教員・親の勧め/先輩を見て」,「成長したい」,「モラトリアム」の順であった。2.理想の自分については,「知識・技術を身に付ける」,「学会で発表する等」,「後輩への指導力を発揮する」,「コミュニケーション・英語力を身に付ける」,「研究に対する姿勢」の順であった。3.大学院進学を決めた時期については,「3年生」,「4年生」,「大学入学前から」,「2年生」,「1年生」の順であった。4.影響を受けたことについては,「研究/指導教員」,「就活/インターンシップ」,「先輩/友人等」,「親」,「指導教員以外の教員等」の順であった。5.心配に思ったことについては,「研究」,「お金(学費・生活費)・親の理解・生活」,「授業」,「将来」,「周囲(人間関係・人数の少なさ)」の順であった。