10:00 AM - 12:00 PM
[PA19] 小学校3年生のスピーチ活動における聞き方方略の検討
Keywords:スピーチ活動, 聞き方方略, フィードバック
問題と目的
小学校学習指導要領(文部科学省, 2008)国語科の目標には,「伝え合う力を高める」ことが記されている。この「伝え合う力」について村井(2002)は,特に,話すこと・聞くことの言語活動により,力の基盤が培われることを指摘している。話すこと・聞くことの学習活動の1つに,スピーチ活動が挙げられる。しかし,従来のスピーチ活動では,聞き手の指導が十分でなかったことが指摘されている(有働, 2009)。スピーチ活動において,児童らを主体的な聞き手に育てるためには,自己調整学習を指導に取り入れることが有効である。学習者に自己調整学習を促す際には,教師の役割が必要であり,その1つに,肯定的でかつ,改善や成功につながる効果的なフィードバックを与えることが重要である(岡田, 2012)。
以上のことから,本研究は,スピーチ活動場面における効果的なフィードバックについて,聞き方方略の点から明らかにすることを目的とする。
方 法
調査対象:都内附属小学校第3学年2学級(69名)
調査時期:2015年4月から7月
調査方法:スピーチ活動において,児童らがどのようなことを意識して聞いているのかを明らかにするために,児童らによる活動についての振り返りと,その振り返りに基づいた教師による聞き方方略のフィードバックを行った,なお,スピーチ活動の流れ,及び聞き方方略の選定手続きは,およそ以下の通りであった。
スピーチ活動の流れ (1)児童らによる(4)の自由記述に基づいて,教師が聞き方方略のフィードバックを行い,児童らが以降のスピーチ活動において意識したい聞き方方略を選択する(週1回),(2)発表者がスピーチを行う,(3)質問や感想を交流する,(4)スピーチ活動振り返りシートを記入する:聞き方方略に関する自己評価の欄(A),フィードバックされた聞き方方略以外で意識している聞き方方略を自由記述する欄(B),発表者に質問したいことを自由記述する欄(C)※1巡目に(A)(B)を,2巡目に(A)(C)を実施した。
聞き方方略の選定の手続き 聞き方評価項目の評価観点と学年ブロックの対応(阿彦・梶井, 2012)及び聴く力の能力表(高橋・声とことばの会, 1998)の項目を参考にし,(4)の自由記述(B),(C)をもとに,本研究者と指導教員(第二著者)の合意のもと,選定を行った。
結果と考察
スピーチ活動振り返りシートにおける児童らの自由記述と,阿彦・梶井(2012),高橋・声とことばの会(1998)の項目を照らし合わせて,フィードバックの際に用いる方略,計24項目を選定した(表)。各項目は,3つの学年ブロックと,スピーチの様態に関する聞き方方略として,適切な態度をとれる力,スピーチの内容に関する聞き方方略として,話の文脈に即して理解する力,自分の考えと結びつける力,話し手に寄り添う力の,計4観点の枠組みに当てはめた。今後の課題として,話し上手・聞き上手(例えば,梶井・山崎(2016)など)から検討対象児を挙げて,選定した聞き方方略のフィードバックが,児童の聞き方方略の選択や活用に及ぼす影響を明らかにしたい。
<付記>本研究をまとめるに当たっては,科学研究費補助金「児童の話し方・聞き方スタイル及び学年に応じた音声言語指導・評価に関わる実証的研究」(若手研究B,26780495)の助成を受けた。
小学校学習指導要領(文部科学省, 2008)国語科の目標には,「伝え合う力を高める」ことが記されている。この「伝え合う力」について村井(2002)は,特に,話すこと・聞くことの言語活動により,力の基盤が培われることを指摘している。話すこと・聞くことの学習活動の1つに,スピーチ活動が挙げられる。しかし,従来のスピーチ活動では,聞き手の指導が十分でなかったことが指摘されている(有働, 2009)。スピーチ活動において,児童らを主体的な聞き手に育てるためには,自己調整学習を指導に取り入れることが有効である。学習者に自己調整学習を促す際には,教師の役割が必要であり,その1つに,肯定的でかつ,改善や成功につながる効果的なフィードバックを与えることが重要である(岡田, 2012)。
以上のことから,本研究は,スピーチ活動場面における効果的なフィードバックについて,聞き方方略の点から明らかにすることを目的とする。
方 法
調査対象:都内附属小学校第3学年2学級(69名)
調査時期:2015年4月から7月
調査方法:スピーチ活動において,児童らがどのようなことを意識して聞いているのかを明らかにするために,児童らによる活動についての振り返りと,その振り返りに基づいた教師による聞き方方略のフィードバックを行った,なお,スピーチ活動の流れ,及び聞き方方略の選定手続きは,およそ以下の通りであった。
スピーチ活動の流れ (1)児童らによる(4)の自由記述に基づいて,教師が聞き方方略のフィードバックを行い,児童らが以降のスピーチ活動において意識したい聞き方方略を選択する(週1回),(2)発表者がスピーチを行う,(3)質問や感想を交流する,(4)スピーチ活動振り返りシートを記入する:聞き方方略に関する自己評価の欄(A),フィードバックされた聞き方方略以外で意識している聞き方方略を自由記述する欄(B),発表者に質問したいことを自由記述する欄(C)※1巡目に(A)(B)を,2巡目に(A)(C)を実施した。
聞き方方略の選定の手続き 聞き方評価項目の評価観点と学年ブロックの対応(阿彦・梶井, 2012)及び聴く力の能力表(高橋・声とことばの会, 1998)の項目を参考にし,(4)の自由記述(B),(C)をもとに,本研究者と指導教員(第二著者)の合意のもと,選定を行った。
結果と考察
スピーチ活動振り返りシートにおける児童らの自由記述と,阿彦・梶井(2012),高橋・声とことばの会(1998)の項目を照らし合わせて,フィードバックの際に用いる方略,計24項目を選定した(表)。各項目は,3つの学年ブロックと,スピーチの様態に関する聞き方方略として,適切な態度をとれる力,スピーチの内容に関する聞き方方略として,話の文脈に即して理解する力,自分の考えと結びつける力,話し手に寄り添う力の,計4観点の枠組みに当てはめた。今後の課題として,話し上手・聞き上手(例えば,梶井・山崎(2016)など)から検討対象児を挙げて,選定した聞き方方略のフィードバックが,児童の聞き方方略の選択や活用に及ぼす影響を明らかにしたい。
<付記>本研究をまとめるに当たっては,科学研究費補助金「児童の話し方・聞き方スタイル及び学年に応じた音声言語指導・評価に関わる実証的研究」(若手研究B,26780495)の助成を受けた。