The 59th Annual Meeting of the Japanese Association of Educational Psychology

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ポスター発表 PA(01-83)

ポスター発表 PA(01-83)

Sat. Oct 7, 2017 10:00 AM - 12:00 PM 白鳥ホールB (4号館1階)

10:00 AM - 12:00 PM

[PA40] 女子高校生における学業的自己概念の内的な準拠枠

教科の成績の個人内評価に着目して

宮本友弘1, 相良順子2, 鈴木悦子3 (1.東北大学, 2.聖徳大学, 3.聖徳大学)

Keywords:学業的自己概念, 内的な準拠枠, 女子高校生


問   題
 女子高校生の自己価値は学業的自己概念(Academic Self-Concept,以下,ASC)によって促進されること(相良他,2015),また,自己価値は抑うつ傾向を抑制すること(相良他,2016)が示唆されている。以上から,ASCを高めることは,女子高校生の心理的適応に有益であると考えられる。ASCは,何を基準に評価するか,つまり,準拠枠による影響が大きい。準拠枠には内的なものと外的なものがあるが,前者はあまり検討されていない。本研究では内的な準拠枠として学業成績の個人内評価がどのように寄与するかを探索する。
方   法
 調査対象 私立大学附属女子高校201X年度入学者1年次173名,2年次170名,3年次167名。
 ASCの測定 質問紙法によって国語,数学,英語について「どのくらい得意か」を5件法で尋ねた。201X年から3年間,毎年7月に実施した。質問紙は担任を通じて配布,回収された。
 学業成績 調査協力校で毎年実施されている標準学力テストの国語,数学,英語の成績(全国を基準とした偏差値)を使用した。
 本研究は,聖徳大学「ヒューマンスタディに関する倫理審査委員会」の承認を得て実施した。
結   果
 横断的個人内評価 各学年時で最も偏差値の高い教科に応じて3群を構成し,各ASCについて分散分析を行った(Figure 1)。1年時では,3つのASC全てで群要因の効果が有意であった。多重比較(Bonferroni法,p<.05)によれば,各群と同じ教科のASCが他の2群よりも有意に高かった。2年時では,国語と数学のASCは1年時と同様であったが,英語のASCについては群要因の効果は有意であったものの,各群間の差は有意でなかった。3年時では,国語のASCは国語群と英語群が数学群より有意に高かった。数学のASCは数学群が英語群よりも有意に高かった。英語のASCは群要因の主効果は有意でなかった。
 縦断的個人内評価 学業成績の縦断的変化として,2年生以上において各教科の当学年と前学年の偏差値の差を求めた。それらと各ASCの相関を求めた結果,いずれも有意でなかった(Table 1)。
考   察
 国語と数学では,他の教科と比べて成績が良いと,ASCが高まることが示唆された。ただし,英語ではその傾向は1年時のみにみられた。一方,いずれの教科においても過去の成績からの変化はASCには影響しないようであった。以上から,国語と数学では,他の教科と比較する内的な準拠枠で判断することが,当該教科のASCに強く影響すると考えられる。理系・文系の選択時の状況を想定してみれば,このような準拠枠の在り方は自然なように思われる。今後は,生徒が実際にそのように判断しているかを検証することが課題である。
付   記
本研究は科研費(26380949)の助成を受けた。