10:00 AM - 12:00 PM
[PA53] 保育士の専門性とキャリアコミットメント
保育士の属性と専門性認知について
Keywords:保育士, 属性, 専門性認知
問 題
保育士の職務継続と専門性の向上を意図した保育士のキャリアパス構想(厚生労働省,平成28年(2016))では「乳児保育」,「障がい児保育」,「子育て支援」,「社会的養護」,「食育」,「保健衛生」の6分野の領域別専門職の育成を想定している。専門職研修の対象となるのは各保育所での勤続年数が概ね7年以上の保育士とされている。しかし,保育士の半数は5年以内に離職している現状がある(厚生労働省,平成25年)。保育士の専門性を高める研修が保育士個人と保育現場の双方においてその有用性が認知されるためには,現職の保育士が日常の保育や職務を通じて個人の専門性や職場環境をどのように認知しているかについて検討する必要がある。本研究では,現職の保育士を対象に専門保育士に求められる6分野の認知と職場環境の認知について探索的に検討する。本報告では,その端緒として6領域の実践項目に対する保育士の自己評定について報告する。
方 法
質問紙調査;現職保育士387名に対して,質問紙を配布し回答後配布した封筒にて郵送返送を依頼した。回収数285 回収率73.6%。不備があった質問紙を除き261名を分析対象とした。
対象者属性;現職保育士261名平均年齢36SD12.4(男性17名平均年齢31SD11女性244名平均年齢SD12.5);勤務形態;常勤86%非常勤14%質問紙の構成;保育士のキャリアパス構想における6領域(前掲)における具体的項目各6項目計36項目(Table1参照),保育士の職務満足感尺度17項目,職場満足度尺度23項目(以上二つの尺度は日本労働研究機構,2003「組織の診断と活性化のための基盤尺度の研究開発―HRMチェックリストの開発と利用・活用を参考に作成)
結果と考察
調査対象者の属性から各保育園で男性保育士は2名程度であること,勤続年数5年未満の保育士が多いこと,半数が未婚で自身には保育対象とする子供と同年代の就学前の子供がいないと回答した保育士が72%であった。以上から保育士の就労状況が未婚で就学前の子供のいない女性で勤続年数は5年未満で就学前の子育てをしながら保育士を続けること難しさが窺える。
保育士の専門6領域に関する実践項目について,現職保育士13人と筆者らにより作成した,項目について「実行していない」1から「実行している」5までの5段階で回答を求め, 項目毎の平均値,標準偏差を算出し36項目すべてを用いて,因子分析(主因子法プロマック回転)を実施した。その結果,固有値1以上の因子が4つ認められた。
各因子は保育性の専門領域と対応しつつも輻輳しており,保育現場での実践を反映していると考えられる。具体的に第一因子(12項目α.932)は,食育・障害児保育に関する項目を含むとから「発達支援」第二因子(9項目α.884)は,保健衛生を含み子育て支援に関する項目を含むことから「子育て支援」第三因子(11項目α.855)は乳児保育を中心に社会的養護・子育て支援を含むことから「乳児保育」第四因子(4項目α.744)は,社会的養護に関する項目を中心に子育て支援を含むことから「社会的養護」と命名した。下位尺度の内部一貫性については,上記のとおりα係数が得られた(Table1参照)。
保育士の職務継続と専門性の向上を意図した保育士のキャリアパス構想(厚生労働省,平成28年(2016))では「乳児保育」,「障がい児保育」,「子育て支援」,「社会的養護」,「食育」,「保健衛生」の6分野の領域別専門職の育成を想定している。専門職研修の対象となるのは各保育所での勤続年数が概ね7年以上の保育士とされている。しかし,保育士の半数は5年以内に離職している現状がある(厚生労働省,平成25年)。保育士の専門性を高める研修が保育士個人と保育現場の双方においてその有用性が認知されるためには,現職の保育士が日常の保育や職務を通じて個人の専門性や職場環境をどのように認知しているかについて検討する必要がある。本研究では,現職の保育士を対象に専門保育士に求められる6分野の認知と職場環境の認知について探索的に検討する。本報告では,その端緒として6領域の実践項目に対する保育士の自己評定について報告する。
方 法
質問紙調査;現職保育士387名に対して,質問紙を配布し回答後配布した封筒にて郵送返送を依頼した。回収数285 回収率73.6%。不備があった質問紙を除き261名を分析対象とした。
対象者属性;現職保育士261名平均年齢36SD12.4(男性17名平均年齢31SD11女性244名平均年齢SD12.5);勤務形態;常勤86%非常勤14%質問紙の構成;保育士のキャリアパス構想における6領域(前掲)における具体的項目各6項目計36項目(Table1参照),保育士の職務満足感尺度17項目,職場満足度尺度23項目(以上二つの尺度は日本労働研究機構,2003「組織の診断と活性化のための基盤尺度の研究開発―HRMチェックリストの開発と利用・活用を参考に作成)
結果と考察
調査対象者の属性から各保育園で男性保育士は2名程度であること,勤続年数5年未満の保育士が多いこと,半数が未婚で自身には保育対象とする子供と同年代の就学前の子供がいないと回答した保育士が72%であった。以上から保育士の就労状況が未婚で就学前の子供のいない女性で勤続年数は5年未満で就学前の子育てをしながら保育士を続けること難しさが窺える。
保育士の専門6領域に関する実践項目について,現職保育士13人と筆者らにより作成した,項目について「実行していない」1から「実行している」5までの5段階で回答を求め, 項目毎の平均値,標準偏差を算出し36項目すべてを用いて,因子分析(主因子法プロマック回転)を実施した。その結果,固有値1以上の因子が4つ認められた。
各因子は保育性の専門領域と対応しつつも輻輳しており,保育現場での実践を反映していると考えられる。具体的に第一因子(12項目α.932)は,食育・障害児保育に関する項目を含むとから「発達支援」第二因子(9項目α.884)は,保健衛生を含み子育て支援に関する項目を含むことから「子育て支援」第三因子(11項目α.855)は乳児保育を中心に社会的養護・子育て支援を含むことから「乳児保育」第四因子(4項目α.744)は,社会的養護に関する項目を中心に子育て支援を含むことから「社会的養護」と命名した。下位尺度の内部一貫性については,上記のとおりα係数が得られた(Table1参照)。