10:00 〜 12:00
[PA66] 富山県の幼稚園における小学校との連携の実態
特別支援教育の観点から
キーワード:幼児教育, 特別支援教育, 移行支援
問題と目的
文部科学省(2016)は,私立学校における特別支援教育体制に課題があることを指摘している。また文部科学省(2017)は,幼稚園における特別支援教育の体制整備の不十分さを指摘している。したがって,私立幼稚園における特別支援教育は,公立幼稚園よりも大幅に遅れていると考えられる。
しかし,私立幼稚園等でも特別支援教育に力を入れている園もある。そこで本研究では,富山県内の幼稚園を対象に,小学校との交流活動の一環として幼稚園児が小学校に出かける際に,どのような支援を行っているかを調査する。そして支援のパターンを検討する(本研究の一部は小林・北野(2017)に公刊済である)。
方 法
対象者 富山県内の幼稚園および幼稚園型認定こども園81園(公立幼稚園27園・私立幼稚園54園)に調査協力を依頼し,そのうち協力が得られた62園を分析の対象とする。
手続き 郵送による質問紙調査を実施した。園長または特別支援教育に関して責任的な立場にある教員に記入してもらうように依頼した。
調査内容 調査は6種類の内容からなるが,本報告では「小学校との交流活動の際に障害児・気になる子どもに関して行っている支援」の部分を取り上げる。選択肢は次の通りである。
1)園児に対し事前に活動内容を伝える
2)事前指導として児童に園児についての話や配慮することなど話しておく
3)小学校の教員と打ち合わせ,協議会を行う
4)園児に関する情報提供を行う
5)小学校の特別支援教育コーディネーターに参加をお願いする
6)その他 ( )
7)特にない
調査時期 2015年8月下旬~9月中旬に行った。
結 果
小学校との交流活動において実際に行っている支援をFigure 1に示す。園児に活動を説明するほかに,小学校に園児の情報を提供するという園が多かった。また半数近くの園は事前に小学校と協議を行っている。
連携のパターンを知るためにWard法でクラスター分析を行い,3クラスター解を採用した(Figure2)。CL1は多様な支援を行っているグループであった。CL2は全体的に実施する支援が少なかった。CL3は,園児への事前の説明を行っていないグループであった。公立/私立の比を検討するためχ2検定と残差分析を行った。その結果χ2(2)=
14.33(p<.001)となり,CL1には公立幼稚園が多く,CL3に私立幼稚園が多いことが示された。
考 察
本研究から,公立幼稚園の方が小学校との連携に際して様々な支援を行っていることが明らかになった。また,あまり支援を行わないグループには公立・私立が同等に含まれていた。したがって,幼稚園全体に対する特別支援教育の体制整備が必要である。さらに,私立幼稚園の体制の充実が必要であるといえよう。
文部科学省(2016)は,私立学校における特別支援教育体制に課題があることを指摘している。また文部科学省(2017)は,幼稚園における特別支援教育の体制整備の不十分さを指摘している。したがって,私立幼稚園における特別支援教育は,公立幼稚園よりも大幅に遅れていると考えられる。
しかし,私立幼稚園等でも特別支援教育に力を入れている園もある。そこで本研究では,富山県内の幼稚園を対象に,小学校との交流活動の一環として幼稚園児が小学校に出かける際に,どのような支援を行っているかを調査する。そして支援のパターンを検討する(本研究の一部は小林・北野(2017)に公刊済である)。
方 法
対象者 富山県内の幼稚園および幼稚園型認定こども園81園(公立幼稚園27園・私立幼稚園54園)に調査協力を依頼し,そのうち協力が得られた62園を分析の対象とする。
手続き 郵送による質問紙調査を実施した。園長または特別支援教育に関して責任的な立場にある教員に記入してもらうように依頼した。
調査内容 調査は6種類の内容からなるが,本報告では「小学校との交流活動の際に障害児・気になる子どもに関して行っている支援」の部分を取り上げる。選択肢は次の通りである。
1)園児に対し事前に活動内容を伝える
2)事前指導として児童に園児についての話や配慮することなど話しておく
3)小学校の教員と打ち合わせ,協議会を行う
4)園児に関する情報提供を行う
5)小学校の特別支援教育コーディネーターに参加をお願いする
6)その他 ( )
7)特にない
調査時期 2015年8月下旬~9月中旬に行った。
結 果
小学校との交流活動において実際に行っている支援をFigure 1に示す。園児に活動を説明するほかに,小学校に園児の情報を提供するという園が多かった。また半数近くの園は事前に小学校と協議を行っている。
連携のパターンを知るためにWard法でクラスター分析を行い,3クラスター解を採用した(Figure2)。CL1は多様な支援を行っているグループであった。CL2は全体的に実施する支援が少なかった。CL3は,園児への事前の説明を行っていないグループであった。公立/私立の比を検討するためχ2検定と残差分析を行った。その結果χ2(2)=
14.33(p<.001)となり,CL1には公立幼稚園が多く,CL3に私立幼稚園が多いことが示された。
考 察
本研究から,公立幼稚園の方が小学校との連携に際して様々な支援を行っていることが明らかになった。また,あまり支援を行わないグループには公立・私立が同等に含まれていた。したがって,幼稚園全体に対する特別支援教育の体制整備が必要である。さらに,私立幼稚園の体制の充実が必要であるといえよう。