The 59th Annual Meeting of the Japanese Association of Educational Psychology

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ポスター発表 PA(01-83)

ポスター発表 PA(01-83)

Sat. Oct 7, 2017 10:00 AM - 12:00 PM 白鳥ホールB (4号館1階)

10:00 AM - 12:00 PM

[PA72] 教員・保育者をめざす大学生の自己理解(2)

エゴグラム実施半年後の事後調査

小嶋玲子1, 河内晴美2 (1.桜花学園大学, 2.元 桜花学園大学)

Keywords:エゴグラム, 自己理解, 大学生

目   的
 本研究は,大学3年時に実施したエゴグラムで,自覚した「気づき」(小嶋・河内2016)をどのように実行しているかについて,半年後の事後調査の結果を分析する。  
 エゴグラムの先行研究については,結果から学生の心理的特性を把握する内容(河島2012),学業的延引行動とエゴグラムの自我状態との関係の研究(龍ら2013)等はあるが,本研究のように実施後の事後調査を分析した研究は見当たらない。
方   法
調査時期:201X+1年 4月
調査対象:教員・保育者養成大学4年生 131人
事後調査:大学3年時に実施したエゴグラムのワークシート結果を各自に再配布し,半年間の生活を振り返る。この間の講義やゼミで,エゴグラム結果の実践等について尋ねることはなかった。
調査項目:Aエゴグラムで自覚したことを実行したか。 B実行した内容。 C実行しなかった理由。
Dエゴグラムを体験して役に立ったと思うか。
倫理的配慮:個人が特定されることはないことを伝え,結果を発表する旨の了解を得た。
結果・考察
問A「自覚したことを実行しましたか」 
 調査対象者131人の内 有効回答数129(98.5%)であった。aしっかり実行した4人,b実行した46人,cあまりしていなかった69人,d全くしていなかった10人で,a+b の50人(38.8%)が実行し,c+dの79人(61.2%)が実行していなかった。
問Bー1「実行した時・場所・場面」
 どのような時・場所・場面等で実行したかについて,肯定的な回答をした50人の複数回答92を類別した。大学生活(ゼミ14,委員会やクラブ等13,大学の授業10 )での実行回答が37,大学以外の生活(アルバイト18,家庭生活11,友人関係7,ボランティア2,日常生活2,採用試験1)での実行回答が41,保育園や幼稚園の実習等での実行回答が14であった。
問B-2「実行した内容」
 記述を筆者らでKJ法により分類し,表1に示した。3年時に読み解いた「気づき」に対して,自分の行動を見直したり,相手に分かり易く話をしたり聞いたりしている等と記述している。
問C 「実行しなかった理由」
 実行しなかった79人の理由(複数回答86)は,自覚した内容を忘れていた59,エゴグラムをする前から分かっている内容だった8,気にならないほどの小さいことだった6,実際の場面で急にはできない6,今の自分でいい4,意識していたが出来たかどうか不明2,自覚した内容がやりたくないことだった1,である。
問D-1クロス集計「問Dエゴグラムが役に立ったか」と「問A実行したか」について表2に示す。
 実行したと回答した50人は,エゴグラムが「とても役に立った」(a+b24人)・「役に立った」(b25人)とし,実行していなかったと回答した79人の内,66人(表2*)が実行していないにもかかわらず役に立ったと回答し,内訳は,「とても役に立った(c*8人)」・「役に立った(c+d*58人)」である。この記述を個別調査し,表3に示す。
問D-2「実行していなかったが,役に立ったと回答した記述」 個別調査の結果,エゴグラムで自覚した気づきを実行していなかった*66人(表3)が,半年後に当時のワークシートを見る機会を得て,改めて自己理解を深めたり課題を思い出したりして「役に立った」と記述したことを把握した。
課   題
 エゴグラム実施後の自覚を,大学生活・実習・アルバイト等で活かす経験を交流する機会を設定し,より自己理解を深める可能性を追究する。
 参考:小嶋・河内(2016)日教心第58回総会発表論文集PB73,川島眞(2012)尚美学園大学芸術情報研究第21号pp37-47,龍祐吉・小川内哲生・河野順子(2013)日教心第55回総会発表論文集p377