The 59th Annual Meeting of the Japanese Association of Educational Psychology

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ポスター発表 PA(01-83)

ポスター発表 PA(01-83)

Sat. Oct 7, 2017 10:00 AM - 12:00 PM 白鳥ホールB (4号館1階)

10:00 AM - 12:00 PM

[PA82] 新共通テスト(イメージ例)が測定する資質・能力の分析 (2)

第1回モニター調査結果からの示唆

倉元直樹1, 宮本友弘2 (1.東北大学, 2.東北大学)

Keywords:高大接続改革, 共通テスト, イメージ例

問   題
 高大接続改革の一環として文部科学省では個別大学の入試改善に資する研究成果を求め,平成28年度から3年度計画で大学等による五つのコンソーシアムを組織し「大学入学者選抜改革推進委託事業」を展開している (文部科学省,2016)。本研究は,北海道大学を代表大学として人文社会分野(国語科)を対象とする研究プロジェクト「個別学力試験『国語』が測定する資質・能力の分析・評価手法に関する研究 ~記述式問題を中心に~」のうち,「問題の出題形式と測定する資質・能力の関係に関するテスト理論・測定学に基づく分析」に関する研究グループ (チームB) の現在までの成果の一部について報告するものである。
 他チームが主として質的分析手法を用いて教科教育学的観点から国立大学個別試験問題「国語」の評価分析を行っているのに対し,チームBでは量的分析手法を用いて教育心理学的,教育測定論的観点から評価分析を行う点で特徴がある。
 また,委託事業の目的である「国語」に加え,比較対象として他教科も視野に入れたデータ収集,分析も可能となっている。本発表では数学に関する調査について合わせて報告する。
目   的
 高校生を対象にしたモニター調査を実施し,選択式問題(現行のセンター試験),伝統的な記述式問題(国立大学の個別学力試験),新しい記述式問題(「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」のイメージ例)の3タイプの問題に解答させて結果を比較,それぞれの特徴を抽出する。
方   法
 2016年12月~翌年3月にかけて全国の地域トップ校5校を対象として第1回調査を実施した。
調査対象者
 高校2年生1,199名が本事業に協力した。

試験問題
 問題の選定は,高校で30年以上の教職歴のあるエキスパート各1名に依頼した。国語と数学ともに,①過去のセンター試験,②過去の国立大学の個別学力試験,③公開されている「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」のイメージ例から構成された。なお,調査対象者の基礎的能力を測定するために平他 (1998)が開発した語彙テストからIRTの項目パラメタに基づき20項目を選定し,国語の第1問とした。
試験時間・付帯調査
 試験時間は各80分,付帯調査が15分である。付帯調査は①解答時間(80分)の評価,②同じ問題の解答経験,③各問題の難易度の評価と解答時間,④無解答問題の有無とその理由,⑤各問題に対する印象(SD法),⑥各問題を解答するのに必要な資質・能力,⑦意見・感想の自由記述等について尋ねた (予備調査の結果は田中他,2017)。
結果と考察
 図1がモニター調査平均得点率である。数学の難易度に課題があり,更なる分析が必要である。
付   記
 本調査は東北大学大学院教育情報学研究倫理審査委員会にて承認済(教情研倫第16-005)。