The 59th Annual Meeting of the Japanese Association of Educational Psychology

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ポスター発表 PB(01-83)

ポスター発表 PB(01-83)

Sat. Oct 7, 2017 1:00 PM - 3:00 PM 白鳥ホールB (4号館1階)

1:00 PM - 3:00 PM

[PB14] 親になるための共感性におよぼす養育環境の影響

女子学生の要因について

高田理衣1, 安念保昌2 (1.中京学院大学, 2.愛知みずほ大学)

Keywords:親準備性, 養護性, 共感性

目   的
 核家族化やきょうだい数の減少,地域交流の希薄化により,一層の幼い子どもの世話をする親を身近に見る機会やそれを手伝うなどの体験が少なくなっていると推測される。子どもの世話をしたことや抱くなどの接触体験がないままに親となることで,親性を育む機会がなく未熟な状況化で親となることが考えられる。
親になる前の段階で共感が高い人は,母親になってから,乳児に敏感に応答できるという報告(Isabella&
Gable,1993)もあるように,親になるための適性の共感性を発達させることが望ましいと推測される。そのため,養育環境に関わる要因と親になるための共感性の発達要因を明らかにし,養育環境の違いによって,親になるための共感性に対してどのように影響があるのかについて,女子学生の違いを明らかにすることを目的とする。 方   法
 研究対象:協力を得られた7施設の1053名に配布し,811名(回収率77%)から回答が得た。そのうち783名を分析対象とした。研究期間:平成28年6月~7月 質問紙:①養育環境に関する基本属性14項目,②共感性の26項目で構成した。分析方法:養育環境に関する基本属性を最尤法によるプロマックス回転を伴う因子分析を行い,4因子(n1:きょうだい性,n2:接触性,n3:家族性,n4:社会性)を得た。親になるための共感性の4カテゴリー「幼児への共感的応答性cr」「幼児の発達に関する知識idk」「自分の親への親和性ap」「親になることの肯定性abp」に関して高校・専攻・短大・大学生の参加者間分散分析を行ったあと,Mplus(Ver.8)を用いて,養育環境4因子から,共感性4カテゴリーへの共分散構造分析を行った。倫理的配慮:事前に各施設の代表または担任に研究内容と目的,プライバシーの保護について文書及び口頭にて説明し,研究の承諾を得た。
結   果
 養育環境に関するn4を従属変数とする,5%水準の主効果が認められた(F=2.928,df=3/656,ηP2=.013,p=.033
)。そのため,Holm法による多重比較を行ったところ,高校生と短大生はn4が高いことが認められた(Fig.1)。
 crと女子学生の高校から大学までの4種類の学校の要因を独立変数とする4要因参加者間分散分析を行った。その結果,共感性に関するcrを従属変数とする,1%水準の主効果が認められた(F=4.264,df=3/774,ηP2=
.016,p=.005)。そのため,Holm法による多重比較を行ったところ,専攻生や短大生よりも高校生の方がcrは低いことが認められた(Fig.2)。
 共分散構造分析の結果は,Fig.3に示した。女子高生(AIC=3549.046; RMSEA=0.000; CFI=1.000; TLI=1.000)と女子大学生(AIC=1700.973; RMSEA=0.000; CFI=1.00
0; TLI=1.000)において,女子高生からn2からcrとidkに有意な偏回帰が見られた。しかし,女子大学生にはidkに有意な偏回帰が見られなかった。
考   察
 花井(1992)の「各学校段階での乳児接触体験を多く持った学生は,接近感情が高なった」と報告している。女子高生女子からはidkに有意な偏回帰が見られたが,大学生からは有意な偏回帰が見られなかったことで乳児接触体験が多い程,子どもに対する愛着が養われているとはいえないと示唆される。しかし,apとabpに対して高い有意が見出されたことは,友人や家族関係における外向的な社会影響を得ることで,親への信頼性を構築する機会となったのではないかと推測される。
参考文献
Isabella,R.A.&Gable,S.M.(1993).The determinants of maternal behavior across the first year:Anec
ological consideration.In M.H.Bornsteinal(Eds.)
,Handbook of parenting:Vo.3. The transition to Parening.Hillsdale,NJ:Lawrence Erlbaum.
伊藤葉子・倉持清美・岡野雅子・金田利子(2010).中・高・大学生の幼児への共感的応答性の発達とその影響要因.日本家政学会誌,.61(3),129-136.