The 59th Annual Meeting of the Japanese Association of Educational Psychology

Presentation information

ポスター発表 PB(01-83)

ポスター発表 PB(01-83)

Sat. Oct 7, 2017 1:00 PM - 3:00 PM 白鳥ホールB (4号館1階)

1:00 PM - 3:00 PM

[PB22] ICT導入によるカリキュラムのアクティブラーニング化と教員の変化

平真木夫1, 田幡憲一#2, 安藤明伸#3 (1.宮城教育大学, 2.宮城教育大学, 3.宮城教育大学)

Keywords:ICT機器, 教員の変化, アクティブラーニング

研究の背景と問題
 本研究ではアクティブラーニング(以下ALと略)を以下のように定義する(溝上, 2012)。『一方的な知識伝達型講義を聴くという(受動的)学習を乗り越える意味での,あらゆる能動的な学習のこと。能動的な学習には,書く・話す・発表するなどの活動への関与と,そこで生じる認知プロセスの外化を伴う学習』
 これらのような特徴をもったALを現場の教員がどのように実践し,評価できるかというと校種間でかなりの差が見られる。実際に著者が免許状更新講習で質問紙調査を行ったところ,高校教員と比べて小学校・中学校の教員はALを行うことに有意に自信があり,ALの1つである課題探求型の学習の評価も小中の教員は有意に自信があった(平, 2017)。ALの評価の仕方が分からないということは,実質的にはALで何を行うのかが分からないということを意味しており,高校教育の深刻な状況が示唆される。そこで本研究では協力校の高等学校を対象としてALの導入について研究する。
道具の活用と教員の変化
 ICT機器に限らず道具を授業に使うにあたってはそれなりの時間が必要となる。つまり慣れるまでに時間がかかるということであるが,それと同時に道具の使いすぎも問題となる。また,道具そのものを改良し,使い勝手を向上する必要も出てくる。つまり,道具の使い勝手だけではなく,それを含めた道具を使用する環境にも力を注ぐ必要があるということである(山口,1998)。そして,Engestrom (1987)の活動システム理論ではないが,道具は活用し表現することを促進し,そのことで考えることも促進する特徴を持っている。このとき,教員も道具を使用しながら学びに参加していることになる(稲垣,1998)。このような学びのコミュニティに参加するときに生じる教員の変容を考察していきたい。
方   法
 仙台市内の私立高校であるA高校を協力校として継続して調査を行ってきた(2014年-2016年)。そこでは生徒を対象とした質問紙調査と同時に,教員を対象とした質問紙調査および研究WGを定期的に開催してきた。本研究はその中でも教員を対象とした調査を報告するものである。
結果と考察
 教員対象の質問紙の中に教員のICT利用を測る5つの項目を作成した(ICT活用尺度:1~5の5件法)。因子分析を行ったところ1因子であることが示唆された(説明済み分散=3.20, 寄与率=.64, α係数=.84)。そこで,この尺度の経年変化を分散分析した結果,有意となる傾向が見られた[F(1,42)=2.294, p=.062, η2=.063]。すなわち,調査を開始した当初(2014年)において教員のICT活用は比較的低かったが,それ以降は有意に向上したと言えるであろう。
 具体的なICT機器の利用に関しては,協力校において iPad miniが生徒も教員も必携となっていて,その利用が多かったが,教員はノートパソコンの利用が増加していったことが示された。
 そこで,質問紙で質問していた,授業でICTを活用するにあたって工夫・注意していることに関する記述データを形態素解析した(テキストマイニングにはKH Coder 2.0f利用し,複合語抽出にはTerm Extractを利用)。このとき,2014年度の調査でICT活用尺度の上位群の教員(3.03以上)と,同様に2016年度の調査で上位群の教員(3.43以上)の共起ネットワークを比較してみた。
 図の左が2014年度の記述で,右が2016年度のものである。強い共起関係ほど太い線で描き,出現数の多い言葉ほど大きい円で描いた。2014年は事前の準備がスムーズに行くことを重視していたこと,コンテンツをサーバーに上げることが重視していたことがネットワークの繋がりから示唆される。それに対して2016年は授業として残ること,効率よく考えさせること,生徒がICTを工夫して使うように工夫されていたことが示唆される。