1:00 PM - 3:00 PM
[PB33] 中学校「授業は英語で行うことを基本とする」後の生徒の学習方略の変容と学習動機
Keywords:「授業は英語で行うことを基本」, 学習方略(方法), 学習動機
問 題
平成25年12月13日,文部科学省は,「グローバル化に対応した新たな英語教育改革実施計画」(以後,「計画」という)を公表した。そこには,「言語活動を高度化」,「(中学校においても)授業は英語で行うことを基本」などの記述がみられる。
特に,口頭での英語の運用能力を高めるために,現行の高等学校学習指導要領においても,「授業は英語で行うことを基本」として,「計画」では,中学校においても同様のことを求めている。
「授業は英語で行う」ことで,生徒の学習方略(方法)の変化の有無と,英語学習への学習動機の状況は如何なるものか,を把握することは,授業改善の方向性を確認する上で喫緊の課題である。
方 法
中学校において,「授業は英語で行うことを基本とする」授業実践を行い,生徒の学習方略(方法)の変化と,英語学習へ対する学習動機(外発的動機か内発的動機か)の状況を明らかにするため質問紙による調査を行った。調査の概要は次の通り。
1 調査対象:D中学校,2学年2学級
2 調査方法:質問紙による調査
3 調査回収数:62名
D中学校,2年生,2学級において,平成28年5月中旬以降週1回,「授業は英語で行うことを基本」とする授業を8週間,7回から8回実施して,その後,質問紙による調査を実施した。
学習方略(方法)については,「自分の家での英語の勉強方法がかわりましたか」と質問した。
学習動機については,「あなたに英語を勉強しようという『やる気』を起こさせてくれるものはなんだと思いますか」との問に対し8つの選択肢,「外発的動機」に関するもの4つと「内発的動機」に関するもの4つの中から,自分に一番当てはまるものから順次3つを選ぶよう指示した。
結 果
学習方略(方法)は,62名中24名が,「かわった」と回答した。次に,「かわった」と回答した生徒に対してさらに「具体的に学習方法がどのようにかわりましたか。具体的に書き出してください」と質問した。回答は,自由記述で求め,記述された内容を範疇化したものが,Table 1 である。
学習動機の回答結果は,Table 2 であった。
考 察
学習方略(方法)の変化があったのは62名中24名で,その中でも英語を学習する際「声を出す」「発音しながら」など音声とともに英語を学習するようになった生徒が5名,「自主的な家庭学習」をするようになった生徒が5名であった。学校で十分な音声のインプットがあるため,家庭学習においても声を出して英語を学び,さらに,家庭学習につながる手がかりを授業中に得て,自主的に家庭学習に取り組む生徒の姿が読み取れる。
一方,学習動機は,今回の調査では,方略の変化の有無にかかわらず「外発的動機」が「内発的動機」よりも強く出ている。選択肢から,「よい成績」や「テストのよい結果」を得ること,逆に「悪い成績」を取らないこと,など「成績」の善し悪しにかかわることが動機づけの一番の要因になっている。生徒の成績に対する関心の高さがわかる。
平成25年12月13日,文部科学省は,「グローバル化に対応した新たな英語教育改革実施計画」(以後,「計画」という)を公表した。そこには,「言語活動を高度化」,「(中学校においても)授業は英語で行うことを基本」などの記述がみられる。
特に,口頭での英語の運用能力を高めるために,現行の高等学校学習指導要領においても,「授業は英語で行うことを基本」として,「計画」では,中学校においても同様のことを求めている。
「授業は英語で行う」ことで,生徒の学習方略(方法)の変化の有無と,英語学習への学習動機の状況は如何なるものか,を把握することは,授業改善の方向性を確認する上で喫緊の課題である。
方 法
中学校において,「授業は英語で行うことを基本とする」授業実践を行い,生徒の学習方略(方法)の変化と,英語学習へ対する学習動機(外発的動機か内発的動機か)の状況を明らかにするため質問紙による調査を行った。調査の概要は次の通り。
1 調査対象:D中学校,2学年2学級
2 調査方法:質問紙による調査
3 調査回収数:62名
D中学校,2年生,2学級において,平成28年5月中旬以降週1回,「授業は英語で行うことを基本」とする授業を8週間,7回から8回実施して,その後,質問紙による調査を実施した。
学習方略(方法)については,「自分の家での英語の勉強方法がかわりましたか」と質問した。
学習動機については,「あなたに英語を勉強しようという『やる気』を起こさせてくれるものはなんだと思いますか」との問に対し8つの選択肢,「外発的動機」に関するもの4つと「内発的動機」に関するもの4つの中から,自分に一番当てはまるものから順次3つを選ぶよう指示した。
結 果
学習方略(方法)は,62名中24名が,「かわった」と回答した。次に,「かわった」と回答した生徒に対してさらに「具体的に学習方法がどのようにかわりましたか。具体的に書き出してください」と質問した。回答は,自由記述で求め,記述された内容を範疇化したものが,Table 1 である。
学習動機の回答結果は,Table 2 であった。
考 察
学習方略(方法)の変化があったのは62名中24名で,その中でも英語を学習する際「声を出す」「発音しながら」など音声とともに英語を学習するようになった生徒が5名,「自主的な家庭学習」をするようになった生徒が5名であった。学校で十分な音声のインプットがあるため,家庭学習においても声を出して英語を学び,さらに,家庭学習につながる手がかりを授業中に得て,自主的に家庭学習に取り組む生徒の姿が読み取れる。
一方,学習動機は,今回の調査では,方略の変化の有無にかかわらず「外発的動機」が「内発的動機」よりも強く出ている。選択肢から,「よい成績」や「テストのよい結果」を得ること,逆に「悪い成績」を取らないこと,など「成績」の善し悪しにかかわることが動機づけの一番の要因になっている。生徒の成績に対する関心の高さがわかる。