1:00 PM - 3:00 PM
[PB46] 他児との人間関係に困難を抱える子どもの認知変容のプロセス
Keywords:人間関係, 認知変容のプロセス, 専門機関の支援
問題と目的
幼稚園・認定こども園・保育所に通う子どもたち(幼児)の中に,他児との人間関係を上手く築くことができず,困難を抱えている子どもたちがいる(池田・郷間ら2007)。子どもの困難に早期に気づき,専門機関の援助に適切に繋ぐことが重要になる。例えば,郷間・圓尾・宮地(2008)は,専門機関の援助によって,適切な援助の視点や援助関係(発達支援者と子ども・保護者)の安定性を確立することができると述べている。特に,幼児期の発達障害児の支援を行う療育機関では,専門的な知見に基づいた働きかけによって,子どもの発達をより促進させ,専門機関の果たす役割は大きいと言える。そこで本研究では,他児との友人関係に困難を抱えている子どもの認知変容のプロセスについて,専門機関の支援と保護者に対するインタビューから検討することを目的とする。
方 法
対象者 「気になる子ども」として専門機関Xを利用した子ども3名を対象とした。
調査時期 20XX年12月~20XX年+1年3月
手続き 指導の観察(集団でのグループ活動)に関しては,全体を見渡せる部屋の後方からビデオ撮影を行い,観察記録を取ることによって収集した。保護者に対しては『指導を実施した後の子どもの成長の変化について』について半構造化インタビューを実施した。
結果と考察
集団でのグループ活動では,一人では完成できない課題(「みんな考えた遊び場をつくる」「お友達を落とさないように運ぶ」など)が実施されていく。そこでは,ケンカやいざこざが起こり,その都度どうすればいいのかを考えていった(Table1)。より良い人間関係を考えた場合,自身の思いと異なる状況下における情動・行動のコントロールが重要になる。Table1から自身の思いを一方的に表現している様子(ア物の取り合い,イ役割の拒否,ウ順番を守らない)が見て取れる。発達支援者は子どもに状況を考える機会を設定し,認知変容を変容における援助を展開させていた。
Table2の保護者の語りから,「場面の切り替え」の仕方が分かり始め,情動・行動のコントロールができるようになってきたと言える。また,「イヤ」という感情の表出においても,泣いてわめくという表現ではなく,「しょうがない」という気持ちに切り替え,「感情を適切に表現する」ということも分かり始めたと言える。また,子どもが「グループでやったことを思い出した」と語っていることからも,葛藤場面での練習が生活体験に生かされていることが分かった。このように,自身の思いと異なる状況下に直面し葛藤を経験することによって,他児との人間関係を良いものに変容させようとすることが示唆された。
幼稚園・認定こども園・保育所に通う子どもたち(幼児)の中に,他児との人間関係を上手く築くことができず,困難を抱えている子どもたちがいる(池田・郷間ら2007)。子どもの困難に早期に気づき,専門機関の援助に適切に繋ぐことが重要になる。例えば,郷間・圓尾・宮地(2008)は,専門機関の援助によって,適切な援助の視点や援助関係(発達支援者と子ども・保護者)の安定性を確立することができると述べている。特に,幼児期の発達障害児の支援を行う療育機関では,専門的な知見に基づいた働きかけによって,子どもの発達をより促進させ,専門機関の果たす役割は大きいと言える。そこで本研究では,他児との友人関係に困難を抱えている子どもの認知変容のプロセスについて,専門機関の支援と保護者に対するインタビューから検討することを目的とする。
方 法
対象者 「気になる子ども」として専門機関Xを利用した子ども3名を対象とした。
調査時期 20XX年12月~20XX年+1年3月
手続き 指導の観察(集団でのグループ活動)に関しては,全体を見渡せる部屋の後方からビデオ撮影を行い,観察記録を取ることによって収集した。保護者に対しては『指導を実施した後の子どもの成長の変化について』について半構造化インタビューを実施した。
結果と考察
集団でのグループ活動では,一人では完成できない課題(「みんな考えた遊び場をつくる」「お友達を落とさないように運ぶ」など)が実施されていく。そこでは,ケンカやいざこざが起こり,その都度どうすればいいのかを考えていった(Table1)。より良い人間関係を考えた場合,自身の思いと異なる状況下における情動・行動のコントロールが重要になる。Table1から自身の思いを一方的に表現している様子(ア物の取り合い,イ役割の拒否,ウ順番を守らない)が見て取れる。発達支援者は子どもに状況を考える機会を設定し,認知変容を変容における援助を展開させていた。
Table2の保護者の語りから,「場面の切り替え」の仕方が分かり始め,情動・行動のコントロールができるようになってきたと言える。また,「イヤ」という感情の表出においても,泣いてわめくという表現ではなく,「しょうがない」という気持ちに切り替え,「感情を適切に表現する」ということも分かり始めたと言える。また,子どもが「グループでやったことを思い出した」と語っていることからも,葛藤場面での練習が生活体験に生かされていることが分かった。このように,自身の思いと異なる状況下に直面し葛藤を経験することによって,他児との人間関係を良いものに変容させようとすることが示唆された。