The 59th Annual Meeting of the Japanese Association of Educational Psychology

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ポスター発表 PB(01-83)

ポスター発表 PB(01-83)

Sat. Oct 7, 2017 1:00 PM - 3:00 PM 白鳥ホールB (4号館1階)

1:00 PM - 3:00 PM

[PB57] 芸術・創作活動の実施経験と特性的自己効力感との関連

宇惠弘 (関西福祉科学大学)

Keywords:芸術・創作活動, 運動・スポーツ活動, 特性的自己効力感

問   題
 周知のとおり,学校教育場面では,大きく見て,教科科目と副教科科目の指導が行われている。教科科目の指導には,国語や算数などの教科科目が含まれ,副教科科目の指導には,教科科目以外の体育や音楽などが含まれる。
 さて,教科科目と自己効力感との関連は,学習方略や帰属理論などを含め包括的に研究が進められている。また,副教科科目の中でも体育に関しては,例えば,運動・スポーツの実施との関連から自己効力感が検討されている。一方,副教科科目の中でも音楽や美術など芸術・創作活動についてはこれまでに自己効力感との関連について研究報告がされていない。
 そこで本研究では,芸術・創作活動の実施経験と,特性的自己効力感との関連を検討した。
方   法
調査対象者 4年制私立大学の学生196名(男子学生72名,女子学生123名,性別不明1名,平均年齢19.61±1.08歳)を対象とした。調査日時 2016年10月。調査内容 (芸術・創作活動の経験について)ベネッセ教育総合研究所(2009)が実施した「第1回学校外教育活動に関する調査2009」において対象とされた15種類の芸術・創作活動について,幼少期から大学(現在)まで7期間での当該活動の実施の有無を尋ねた。(運動・スポーツ活動の経験について)運動・スポーツ活動については,芸術・創作活動のように個別の種目については尋ねず,幼少期から大学(現在)までの7期間に何らかの運動・スポーツの実施の有無を尋ねた。(特性的自己効力感について)成田・下仲・中里・河合・佐藤・長田(1995)が作成した23項目からなる特性的自己効力感尺度(以下,GSE)を使用した。
結   果
 芸術・創作活動を実施していた場合と実施していない場合でGSE得点に違いがみられるのかを,「幼稚園・保育園」から「大学」までの7つの実施期間それぞれについて検討した。実施期間毎の芸術・創作活動の実施の有無を独立変数,GSE得点を従属変数として t 検定により調べた結果,いずれの期間においても統計的に有意な結果はみられなかった(Figure 1)。運動・スポーツ活動についても同様の分析を行った結果,「高校」の時期にのみ有意差がみられ,実施していない場合よりも実施していた場合にGSE得点が高い値を示した( t ( 207 ) = -2.25 , p<.05 ;Figure 2)。
考   察
 本研究のデータからは,芸術・創作活動の実施経験と特性的自己効力感との関連を見出すことはできなかった。
 結果で示した推移グラフを見ると,芸術・創作活動と運動・スポーツ活動のグラフには形状に違いが見られる。運動・スポーツ活動についても高校生の時期を除き特性的自己効力感との関連を示すことはできなかったが,それぞれの活動に統計的な有意差が見られなかった理由には相違があるように思われる。それぞれの活動を実施することが,一般化された自己効力感にまで影響が及ぶのかを含め今後検討を進める必要がある。