1:00 PM - 3:00 PM
[PB69] 学級集団の状態ごとの生徒の認知する教員のユーモア行動との関係
Keywords:教員の指導行動, 教員のユーモア行動, 生徒
問題と目的
いじめや学級崩壊など様々な現状に対処するために現在の教育現場では,教員のコミュニケーション能力のさらなる向上の必要性を指摘している(文部科学省,2008)。それは,授業の展開,生徒への対応,学級集団づくりを含めた学級経営など,教員の指導行動としての問題が中心になっており,何を行ったのかという内容だけに留まらず,どのようになされたのかという質の問題も含んでいると考えられる。瀧野(1995)は「好きな教員・嫌いな教員」について,中学生では,指導が熱心でうまい等の指導的側面に加えてユーモアのあることが強調されているという結果を出している。また,ユーモアを教員のもっとも強力な勢力資源であるとしているCornett(1986)は,ユーモアは難読を矯正したり,語彙力を高めたり,行動的な問題を抑制したり,孤立している児童をまとめたりと,様々な目的に使用することができるとしている。教員が指導行動を行う際に,それがどのような形でなされたのかという雰囲気や姿勢などの質の面も,生徒の学校生活の中での学習や適応などさまざまな面とつながっているといえ,教員はそれらの知見を指導行動を実施する際に能動的に取り入れていくことが求められるのである。つまり,ユーモアを教員の指導行動の中に適切に取り入れることは,教育実践の向上につながる可能性があると考えられる。
本研究は,教員の指導行動を行使する中での生徒が認知する教員のユーモア表出の3 つタイプと生徒の学級集団の状態との関連を検討することを目的とする。
方 法
調査時期 2013 年6 月に調査を実施した。
調査対象 首都圏の公立中学校2 校477 名(男子257名,女子220 名)を調査の対象とした。
使用尺度 2 種類の質問紙による調査を行った。
1)河村・武蔵・河村(2015)の教員のユーモア行動測定尺度24 項目。評定は「5:よくある」から「1:まったくない」の5 件法である。
2)河村(1999)の学校生活満足度尺度37 項目。評定は「5:とてもそう思う」から「1:全くそうおもわない」の4 件法である。
結果と考察
学級生活満足度尺度をもとに調査した生徒が所属する学級集団の状態を,河村(1999)の指摘にしたがって5 群に分類した。ゆるみ型と拡散型が出現したなかったため,満足型,かたさ型,荒れ始め型の3 群で分析することとした。そして,各群の学級集団の生徒の認知する教員のユーモア行動を3 因子ごとに集計し,群間で分散分析を行い,有意差が認められた場合はTukey 法による多重比較を行った。結果から,学級に所属する生徒の学習意欲,友人関係を形成しようという意欲,集団活動への参加意欲が有意に高い「親和的なまとまりのある学級集団(満足型)」では,生徒は教員の「楽しさ喚起ユーモア」と「元気づけユーモア」を他の学級類型よりも高く認知していることが明らかになった。
以上から,教員が指導行動を行使する中で「楽しさ喚起ユーモア」や「元気づけユーモア」を適切に活用することは,小学校の児童同様(河村,2015)生徒の人間関係で構築される学級集団の状態との関連でプラスの関連が認められることが考えられた。
いじめや学級崩壊など様々な現状に対処するために現在の教育現場では,教員のコミュニケーション能力のさらなる向上の必要性を指摘している(文部科学省,2008)。それは,授業の展開,生徒への対応,学級集団づくりを含めた学級経営など,教員の指導行動としての問題が中心になっており,何を行ったのかという内容だけに留まらず,どのようになされたのかという質の問題も含んでいると考えられる。瀧野(1995)は「好きな教員・嫌いな教員」について,中学生では,指導が熱心でうまい等の指導的側面に加えてユーモアのあることが強調されているという結果を出している。また,ユーモアを教員のもっとも強力な勢力資源であるとしているCornett(1986)は,ユーモアは難読を矯正したり,語彙力を高めたり,行動的な問題を抑制したり,孤立している児童をまとめたりと,様々な目的に使用することができるとしている。教員が指導行動を行う際に,それがどのような形でなされたのかという雰囲気や姿勢などの質の面も,生徒の学校生活の中での学習や適応などさまざまな面とつながっているといえ,教員はそれらの知見を指導行動を実施する際に能動的に取り入れていくことが求められるのである。つまり,ユーモアを教員の指導行動の中に適切に取り入れることは,教育実践の向上につながる可能性があると考えられる。
本研究は,教員の指導行動を行使する中での生徒が認知する教員のユーモア表出の3 つタイプと生徒の学級集団の状態との関連を検討することを目的とする。
方 法
調査時期 2013 年6 月に調査を実施した。
調査対象 首都圏の公立中学校2 校477 名(男子257名,女子220 名)を調査の対象とした。
使用尺度 2 種類の質問紙による調査を行った。
1)河村・武蔵・河村(2015)の教員のユーモア行動測定尺度24 項目。評定は「5:よくある」から「1:まったくない」の5 件法である。
2)河村(1999)の学校生活満足度尺度37 項目。評定は「5:とてもそう思う」から「1:全くそうおもわない」の4 件法である。
結果と考察
学級生活満足度尺度をもとに調査した生徒が所属する学級集団の状態を,河村(1999)の指摘にしたがって5 群に分類した。ゆるみ型と拡散型が出現したなかったため,満足型,かたさ型,荒れ始め型の3 群で分析することとした。そして,各群の学級集団の生徒の認知する教員のユーモア行動を3 因子ごとに集計し,群間で分散分析を行い,有意差が認められた場合はTukey 法による多重比較を行った。結果から,学級に所属する生徒の学習意欲,友人関係を形成しようという意欲,集団活動への参加意欲が有意に高い「親和的なまとまりのある学級集団(満足型)」では,生徒は教員の「楽しさ喚起ユーモア」と「元気づけユーモア」を他の学級類型よりも高く認知していることが明らかになった。
以上から,教員が指導行動を行使する中で「楽しさ喚起ユーモア」や「元気づけユーモア」を適切に活用することは,小学校の児童同様(河村,2015)生徒の人間関係で構築される学級集団の状態との関連でプラスの関連が認められることが考えられた。