1:00 PM - 3:00 PM
[PB71] 学級経営尺度の作成
Keywords:学級経営, 教員養成課程, 担任教育
目 的
学級経営について石川(2016)は,教員養成課程の学部生には,学級経営や担任の役割を学ぶ機会がない可能性があり,教員養成段階での学級経営についての担任教育が求められていることを指摘している。そこで本研究では,今後の教員養成課程の学生及び担任教育に活用できるよう学級経営についての尺度を作成することを目的とした。
方 法
調査協力者 教員養成課程の大学生169名(男89名,女79名,不明1名,平均年齢21.2,標準偏差 2.37)を対象に質問紙調査を実施した。
調査内容
(1)学級経営尺度 石川(2016)の教師経験2~38年間の17名の教師に対して行ったインタビュー調査の結果に基づいて,26項目からなる学級経営尺度を作成した。回答は「いつもする(5)」から「全然しない(1)」の5件法で尋ねた。
(2)教師特有のビリーフ尺度 基準関連妥当性を確認するために,河村・國分(1996)の教師特有のビリーフ尺度のうち自分(教師自身)についての18項目を用いた。回答は「とてもそう思う(5)」から「全くそう思わない(1)」の5件法で尋ねた。
(3)教師効力感尺度 基準関連妥当性を確認するために,桜井(1992)の教師効力感尺度のうち,個人的な教授効力感についての9項目と,一般的な教育効力感の6項目を用いた。回答は「とてもそう思う(5)」から「全くそう思わない(1)」の5件法で尋ねた。
(4)教育実習不安尺度 基準関連妥当性を確認するために,大野木・宮川(1996)の教育実習不安尺度のうち,授業実践力についての7項目と児童・生徒関係についての7項目を用いた。回答は「とてもそう思う(5)」から「全くそう思わない(1)」の5件法で尋ねた。
結果と考察
学級経営尺度の探索的因子分析 学級経営について尋ねた26項目について,天井効果のみられた7項目を削除し,19項目についてスクリープロットを確認したところ,2因子構造が妥当であった。そこで2因子を指定し,探索的因子分析(最尤法,プロマックス回転)を実施した。その結果,集団を作る方法などについての9項目と,保護者や同僚・管理職との連携についての10項目が得られ,前者を「個を生かした学級作り」後者を「周囲との関係構築」と命名した(Table1)。α係数は,「個を生かした学級作り」が.94,「周囲との関係構築」が.93であった。
学級経営尺度の妥当性の検討 学級経営尺度の基準関連妥当性を確認するために,教師特有のビリーフ,教師効力感,教育実習不安との相関係数を確認した。教師特有のビリーフでは,「個を生かした学級作り」が.48,「周囲との関係構築」が.44であった。また,一般的な教育効力感との相関が,.25と.19,児童・生徒関係不安との相関が,-.14と-.15でいずれも有意であった。
再検査信頼性の検討 学級経営尺度の再検査信頼性を確認するために,同じ調査協力者に1週間の間隔を開けて学級経営尺度を実施したところ,「個を生かした学級作り」の相関係数は.33,「周囲との関係構築」の相関係数は.44でいずれも有意であった。したがって,学級経営尺度の信頼性及び妥当性が確認された。
学級経営について石川(2016)は,教員養成課程の学部生には,学級経営や担任の役割を学ぶ機会がない可能性があり,教員養成段階での学級経営についての担任教育が求められていることを指摘している。そこで本研究では,今後の教員養成課程の学生及び担任教育に活用できるよう学級経営についての尺度を作成することを目的とした。
方 法
調査協力者 教員養成課程の大学生169名(男89名,女79名,不明1名,平均年齢21.2,標準偏差 2.37)を対象に質問紙調査を実施した。
調査内容
(1)学級経営尺度 石川(2016)の教師経験2~38年間の17名の教師に対して行ったインタビュー調査の結果に基づいて,26項目からなる学級経営尺度を作成した。回答は「いつもする(5)」から「全然しない(1)」の5件法で尋ねた。
(2)教師特有のビリーフ尺度 基準関連妥当性を確認するために,河村・國分(1996)の教師特有のビリーフ尺度のうち自分(教師自身)についての18項目を用いた。回答は「とてもそう思う(5)」から「全くそう思わない(1)」の5件法で尋ねた。
(3)教師効力感尺度 基準関連妥当性を確認するために,桜井(1992)の教師効力感尺度のうち,個人的な教授効力感についての9項目と,一般的な教育効力感の6項目を用いた。回答は「とてもそう思う(5)」から「全くそう思わない(1)」の5件法で尋ねた。
(4)教育実習不安尺度 基準関連妥当性を確認するために,大野木・宮川(1996)の教育実習不安尺度のうち,授業実践力についての7項目と児童・生徒関係についての7項目を用いた。回答は「とてもそう思う(5)」から「全くそう思わない(1)」の5件法で尋ねた。
結果と考察
学級経営尺度の探索的因子分析 学級経営について尋ねた26項目について,天井効果のみられた7項目を削除し,19項目についてスクリープロットを確認したところ,2因子構造が妥当であった。そこで2因子を指定し,探索的因子分析(最尤法,プロマックス回転)を実施した。その結果,集団を作る方法などについての9項目と,保護者や同僚・管理職との連携についての10項目が得られ,前者を「個を生かした学級作り」後者を「周囲との関係構築」と命名した(Table1)。α係数は,「個を生かした学級作り」が.94,「周囲との関係構築」が.93であった。
学級経営尺度の妥当性の検討 学級経営尺度の基準関連妥当性を確認するために,教師特有のビリーフ,教師効力感,教育実習不安との相関係数を確認した。教師特有のビリーフでは,「個を生かした学級作り」が.48,「周囲との関係構築」が.44であった。また,一般的な教育効力感との相関が,.25と.19,児童・生徒関係不安との相関が,-.14と-.15でいずれも有意であった。
再検査信頼性の検討 学級経営尺度の再検査信頼性を確認するために,同じ調査協力者に1週間の間隔を開けて学級経営尺度を実施したところ,「個を生かした学級作り」の相関係数は.33,「周囲との関係構築」の相関係数は.44でいずれも有意であった。したがって,学級経営尺度の信頼性及び妥当性が確認された。