The 59th Annual Meeting of the Japanese Association of Educational Psychology

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ポスター発表 PB(01-83)

ポスター発表 PB(01-83)

Sat. Oct 7, 2017 1:00 PM - 3:00 PM 白鳥ホールB (4号館1階)

1:00 PM - 3:00 PM

[PB72] 児童の積極的授業参加に関する研究(30)

クラスの集団構造からの検討

安藤史高1, 小平英志2, 布施光代3 (1.岐阜聖徳学園大学, 2.日本福祉大学, 3.明星大学)

Keywords:積極的授業参加行動, ソシオメトリック・テスト, 児童

目   的
 児童の積極的授業参加行動に関するこれまでの研究では,授業に対する動機づけ,性格特性,学級適応などとの関連について検討を行ってきた。以上の要因は学習者の個人的な特性であるが,授業は集団で行われているため,クラスの雰囲気や他の児童との関係も影響することが考えられる。本研究では,クラス全体の集団構造と積極的授業参加行動との関係について,探索的に検討を行う。
方   法
調査対象者:公立小学校4校9クラスの6年生295名(男児146名,女児149名)。
調査内容:(1) 積極的授業参加行動(23項目, 4件法) 国語の授業における積極的授業参加行動を尋ねた。「注視・傾聴」「挙手・発言」「準備・宿題」の3下位尺度から構成された。
(2) ソシオメトリック・テスト 「勉強を教えてもらいたい人(学習場面)」および「休み時間に一緒に遊びたい人(遊び場面)」を学級内からそれぞれ3名まで挙げるよう求めた。
 併せて,自己意識尺度・動機づけ尺度も実施したが,本研究では分析の対象としない。
手続き:担任教師によってクラスごとに実施した。
調査時期:2013年12月~2014年1月。
結果と考察
 積極的授業参加行動尺度は,下位尺度の項目得点平均を個人の下位尺度得点とし,個人の下位尺度得点をクラス内で平均し,クラス得点を算出した。9クラスの積極的授業参加行動得点に対して,1要因分散分析を実施したところ,「注視・傾聴」「挙手・発言」で有意な差がみられた(Table 1)。
 ソシオグラムについては,遊び場面での回答を基に, Rのigraphパッケージを用いて作成した。「注視・傾聴」「挙手・発言」の高得点クラス(D2,A2:Figure 1)と低得点クラス(C1,B3:Figure 2)のソシオグラムを比較した結果,高クラスでは男女は分かれるものの,全体的に大きなまとまりを持って図示される傾向にあった。それに対して低クラスでは,クラスがいくつかの小集団に分離する傾向が見て取れた。この結果から,クラスが全体として比較的統合された集団構造を持っていることが,クラスの積極的授業参加行動を促進すると考えられる。
 しかし,本研究では対象となったクラスが少なく,集団構造のまとまりについても,客観的な指標を用いていない。今後はデータを増やすとともに,クラスの集団構造を定量的に測定して検討する必要があるだろう。