The 59th Annual Meeting of the Japanese Association of Educational Psychology

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ポスター発表 PB(01-83)

ポスター発表 PB(01-83)

Sat. Oct 7, 2017 1:00 PM - 3:00 PM 白鳥ホールB (4号館1階)

1:00 PM - 3:00 PM

[PB82] 風変わりな相関係数

楕円一様分布のおもしろい性質

椎名乾平 (早稲田大学)

Keywords:相関係数, 正規分布, 楕円一様分布

 母相関係数ρは2変量正規分布
   (1)
のパラメーターであり,(1)の指数部分に含まれる
   (2)
は楕円の方程式で,等確率楕円と呼ばれる(図1)。ρはこの楕円の傾きを制御する。2変量正規分布からの標本の散布図は周知のとおり図2のようになる。一方,楕円一様分布 とは楕円形の平たい分布で,全ての標本点が楕円内におさまるので散布図は図3,4のようになる。楕円の大きさはkで定まる。楕円一様分布の確率密度は,(2)の楕円の面積が なので,楕円内では定数 ,楕円外では0となる。
 さて,図3,4から標本相関係数を計算したらどのような値になるだろうか? 実は,対応する2変量正規分布とまったく同じ値(期待値の意味で)となる(証明は椎名2017,心理学評論)。では,図5,8のような楕円一様分布を(同心楕円になるように)積み重ねた分布はどうだろうか。この場合もやはり同じ相関係数を与える。さらに,図6のような内部の同心楕円をくり抜いた楕円一様分布が同じ相関係数を与えるのも簡単に証明できる。混合分布の一般理論により,楕円一様分布(くり抜き型のものも含む)の混合分布の相関係数は,混合される分布が同心楕円で決定され,同一のρを持つならば,ρとなる。従って,図5,7,8に示すような分布の相関係数はすべて(期待値の意味で)同一の相関係数rを与える(Bell形状は本質的でない!)。逆に,通常の2変量正規分布を非常に薄い同心楕円一様分布を大量に重ねた混合分布と解釈することも可能である。以上のデモンストレーションは,同一のrで,散布図も一見同じに見える複数の分布が,全く異なる素性である可能性を示している。