The 59th Annual Meeting of the Japanese Association of Educational Psychology

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ポスター発表 PC(01-83)

ポスター発表 PC(01-83)

Sat. Oct 7, 2017 3:30 PM - 5:30 PM 白鳥ホールB (4号館1階)

3:30 PM - 5:30 PM

[PC22] 学級規模と児童の授業参加

身体運動周波数の偏差に着目して

山森光陽1, 伊藤崇2, 中本敬子3, 徳岡大4, 萩原康仁5, 大内善広6 (1.国立教育政策研究所, 2.北海道大学, 3.文教大学, 4.高松大学, 5.国立教育政策研究所, 6.城西国際大学)

Keywords:学級規模, 授業参加, 課題従事行動

問題と目的
 学級規模は教師の指導や児童生徒の学習行動に影響を与え,児童生徒の学力に違いをもたらすと考えられている(Finn, Pannozzo, Achilles, 2003)。また,小規模学級ほど児童生徒の授業態度が良好であり(Blatchford, 2003),授業時間全体に占める学習課題に取り組む時間が多いことが示されている(Cahen, Filby, McCutcheon, Kyle, 1983)。しかし,日本では学級規模による児童の授業参加や課題従事行動の違いについては明らかとなっておらず,加えて,学級規模に関する実験研究も1950年代(原・岩橋・迫田, 1959; 川地・名和, 1958)以降実施されていない。
 本研究の目的は,学級の人数だけを変えて,同一単元,同一指導案で,同一教師が実施する実験授業を行い,学級規模によると児童の授業参加の状況の違いを検討することである。そのために,実験授業の対象となった児童全員について,授業中全ての時間における参加の状況を把握するために,加速度計内蔵のウエアラブルセンサを用いて身体運動周波数を即時的・経時的に計測し,そのばらつきの程度を学級規模の大小で比較する。
方   法
 対象:国立大学附属小学校第4学年の2学級(35,32名) 学習内容:社会科「くらしをささえる電気」(全2時間) 実験計画:2時間のうちの1時間目を,1組を10人,20人学級に無作為に分割し教師AとBが,2組35人学級に対して教師Aが授業を実施。2時間目を,2組を15人,20人に無作為に分割し教師BとAが,1組32人学級に対して教師Bが授業を実施。学習内容,指導案,単元評価規準は事前に協議して作成した同一のものを使用。 身体振動周波数の計測:実験授業対象児全員に加速度計内蔵の名札型ウエアラブルセンサ(日立製作所:MTD-04125N9-HT)を着用させ計測。 分析:日立製作所ヒューマンビッグデータ収集分析システム端末が出力する各児童の活動中の60秒ごとの平均周波数を分析に利用。実験学級ごとに各児童の各時点における計測値を標準得点化し,その平均の分布を実験学級ごとに比較。
結果と考察
 実験学級ごとの授業経過時間による各児童の身体運動周波数の推移の一部を示すとFigure 1の通りである。また,実験学級ごとの各児童の各時点における計測値の標準得点の平均の分布はFigure 2の通りであり,10,15人学級と比べて20人以上の学級で標準得点が-1を下回る児童が,35人学級で1以上の児童が出現した。以上の結果から,学級規模が大きいほど,他の児童と比べて授業中の身体運動が逸脱する児童が多くなることが示唆された。
※本研究はJSPS科研費(16K13480)の助成を受けた。実施に当たっては国立教育政策研究所倫理審査委員会の承認を得た。