3:30 PM - 5:30 PM
[PC55] 新設四年制大学における学生生活とキャリア発達およびメンタルヘルスとの関連(6)
Keywords:大学生, キャリア発達, 学生生活
問題と目的
高澤(2016)では,新設大学の2期生における4年目の調査から,1期生4年時と比較を行うことで,学生生活への充実とメンタルヘルスの問題と,キャリアに関する意識や行動の発達との関連を検討した。その結果,先輩がいなかった1期生とは異なり,先輩がいる2期生においては新設大学であることが学生生活の充実度にはあまり影響しないことが明らかにされた。また,その充実度について,新設大学であることを強みに思う学生は自らのキャリアについて周囲を探索する意識が高いことが示された。
本研究では,1期生と2期生の各年時および4年時における結果を検討し,先輩というモデルがいないという特徴をもつ1期生と,先輩がいる状況である2期生との比較を行うことによって,新設大学であることが学生生活を通してキャリア発達やメンタルヘルスに与える影響を分析し,今後の学生支援や指導への示唆を検討することを目的とする。
方 法
調査協力者: 中国地方の新設四年制大学に所属する1期生107名(男30名,女77名)平均年齢21.8歳(標準偏差0.93),2期生91名(男34名,女57名)平均年齢21.8歳(標準偏差0.52)であった。
調査法: 質問紙調査で1期生は2014年の11月から12月で,2期生は2015年の毎年11月から12月であった。
質問紙: 調査用紙は性別,年齢,居住形態,出身地域とともに大学選択理由,新設大学であることの大学選択への影響,新設大学であることの現在の学生生活への影響,新設大学であることの今後の進路への影響を尋ねる項目,加えてキャリア探索尺度(安達, 2008)(5件法),多次元自我同一性尺度(谷, 2001)(7件法),青年用適応感尺度(大久保, 2005)(5件法)他から構成された。
結果と考察
1期生と2期生の4年時におけるキャリア探索,アイデンティティ感覚,適応感,日常生活スキルについて比較するため,t検定を行った。
キャリア探索尺度においては,環境探索因子,自己探索因子いずれも有意差がみられなかった(表1)。
アイデンティティ感覚においては,自己斉一性・連続性因子(t(196)=2.03, p<.05)と対他的同一性因子(t(196)=2.23,p<.05)において,1期生の方が2期生よりも有意に得点が高いことが示された。その一方で,対自的同一性因子と心理社会的同一性因子には有意差がみられなかった(表2)。
適応感においては,いずれの因子においても有意差がみられなかった(表3)。
最後に,日常的スキル尺度においても,いずれの因子においても3年時と同様に有意差がみられなかった(表4)。
以上の結果から,アイデンティティに関する尺度で1期生の得点が有意に高いという結果がみられ,4年生の前半から後半にかけて,自らが後輩たちに対するモデルとなっていくことによってアイデンティティ感覚が高まる節目があることが想定されることが示唆された。
高澤(2016)では,新設大学の2期生における4年目の調査から,1期生4年時と比較を行うことで,学生生活への充実とメンタルヘルスの問題と,キャリアに関する意識や行動の発達との関連を検討した。その結果,先輩がいなかった1期生とは異なり,先輩がいる2期生においては新設大学であることが学生生活の充実度にはあまり影響しないことが明らかにされた。また,その充実度について,新設大学であることを強みに思う学生は自らのキャリアについて周囲を探索する意識が高いことが示された。
本研究では,1期生と2期生の各年時および4年時における結果を検討し,先輩というモデルがいないという特徴をもつ1期生と,先輩がいる状況である2期生との比較を行うことによって,新設大学であることが学生生活を通してキャリア発達やメンタルヘルスに与える影響を分析し,今後の学生支援や指導への示唆を検討することを目的とする。
方 法
調査協力者: 中国地方の新設四年制大学に所属する1期生107名(男30名,女77名)平均年齢21.8歳(標準偏差0.93),2期生91名(男34名,女57名)平均年齢21.8歳(標準偏差0.52)であった。
調査法: 質問紙調査で1期生は2014年の11月から12月で,2期生は2015年の毎年11月から12月であった。
質問紙: 調査用紙は性別,年齢,居住形態,出身地域とともに大学選択理由,新設大学であることの大学選択への影響,新設大学であることの現在の学生生活への影響,新設大学であることの今後の進路への影響を尋ねる項目,加えてキャリア探索尺度(安達, 2008)(5件法),多次元自我同一性尺度(谷, 2001)(7件法),青年用適応感尺度(大久保, 2005)(5件法)他から構成された。
結果と考察
1期生と2期生の4年時におけるキャリア探索,アイデンティティ感覚,適応感,日常生活スキルについて比較するため,t検定を行った。
キャリア探索尺度においては,環境探索因子,自己探索因子いずれも有意差がみられなかった(表1)。
アイデンティティ感覚においては,自己斉一性・連続性因子(t(196)=2.03, p<.05)と対他的同一性因子(t(196)=2.23,p<.05)において,1期生の方が2期生よりも有意に得点が高いことが示された。その一方で,対自的同一性因子と心理社会的同一性因子には有意差がみられなかった(表2)。
適応感においては,いずれの因子においても有意差がみられなかった(表3)。
最後に,日常的スキル尺度においても,いずれの因子においても3年時と同様に有意差がみられなかった(表4)。
以上の結果から,アイデンティティに関する尺度で1期生の得点が有意に高いという結果がみられ,4年生の前半から後半にかけて,自らが後輩たちに対するモデルとなっていくことによってアイデンティティ感覚が高まる節目があることが想定されることが示唆された。