The 59th Annual Meeting of the Japanese Association of Educational Psychology

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ポスター発表 PD(01-83)

ポスター発表 PD(01-83)

Sun. Oct 8, 2017 10:00 AM - 12:00 PM 白鳥ホールB (4号館1階)

10:00 AM - 12:00 PM

[PD49] 児童養護施設における直接処遇職員のストレスに関する研究(3)

労働条件・環境と組織体制および勤務年数に注目した比較

亀田秀子1, 藤枝静暁2 (1.聖徳大学, 2.埼玉学園大学)

Keywords:児童養護施設, 直接処遇職員, ストレス

問題と目的
 虐待を受けた子どもたちは,児童養護施設に保護されることが多い。児童養護施設の直接処遇職員(保育士と児童指導員)は,被虐待児からの日々繰り返される不適応行動等の対応に疲労困憊している現状が推測される。本研究では,「労働条件・労働環境と組織体制」について,半構造化面接により,児童養護施設で働く直接処遇職員の勤務年数短群と長群のストレッサーを明らかにする。なお,児童養護施設における直接処遇職員のストレスに関する研究(1)において,「子どもとの関わり」について,(2)では「他職員との関わり」について勤務年数短群と長群のストレッサーを明らかにした。
調査方法
1.調査対象と調査方法
調査対象:関東圏内の児童養護施設で働く直接処遇職員,勤務年数短群・7名(男性4名,女性3名),勤務年数長群・8名(男性5名,女性3名)の15名が対象であった。なお,直接処遇職員の勤務年数は5年未満が約52%と職場定着率が低いことから,勤務年数短群と長群の分け方は,勤務年数5年未満を短群,5年以上を長群とした。
調査方法:施設長の許可を得て,対象とした直接処遇職員への半構造化面接を行った。倫理的配慮として1)調査の趣旨,2)プライバシーの保護,3)ICレコーダーやメモの許可,4)結果報告を行うことについて説明を行い,了承を得た。
2.調査内容
 調査対象の直接処遇職員に,属性(性別・年代・勤務年数・施設の形態等)を尋ねた。続いて,働くなかでどのようなことがストレッサーになっているのか,難しい対応について等を質問した。
3.調査時期と場所
 2008年6月中旬から8月上旬にかけて各施設で実施した。
4.手続きと分析方法
 ICレコーダー等を使用して発話を録音し,逐語録を作成した。SCATを参考に逐語録から重要だと思われる箇所を抽出し,概念化した。抽出された概念はカテゴリーとしてまとめた。
結果と考察
1.調査対象者の基本属性
 被験者の基本属性をTable 1にまとめた。勤務年数については,5年未満・46.7%(7名),5年以上10年未満・26.7%(3名),10年以上15年未満・20%(4名),15年以上20年未満・6.7%(1名)であった。
2.半構造化面接の結果と考察
1)労働条件・労働環境では,勤務年数短群・長群共に,<長時間労働と人員不足>,<厳しい労働環境>,<サービス残業>,<安すぎる給与>,<勤務体制・人員配置>の5つのカテゴリーに該当する語りが共通している。短群(G)の語りから,同僚との人間関係で,心療内科に通院し【退職した職員】がいたことが分かった。
2)組織体制について,勤務年数短群では,【3年目の自分と新人の職員で12名を担当する苦労】(G),長群では,【アンバランスな職員構成】(B)等,組織体制の現状が浮き彫りになった。
 課題として,長時間労働の現状や人員配置や勤務体制等,労働環境の整備と改善を図り,給与面の職員配置基準の改善が必要である。また,職場内の人間関係の調整やメンタルヘルスが重要であることが示唆された。意見を言いやすい・働きやすい職場環境づくりの構築が望まれる。