The 59th Annual Meeting of the Japanese Association of Educational Psychology

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ポスター発表 PD(01-83)

ポスター発表 PD(01-83)

Sun. Oct 8, 2017 10:00 AM - 12:00 PM 白鳥ホールB (4号館1階)

10:00 AM - 12:00 PM

[PD51] 好きな人と嫌いな人に対する性格の評価の違いは何を意味するか

梶原直樹1, 梶原和子#2 (1.日本女子大学, 2.下野市立祇園小学校)

Keywords:対人関係, 対人魅力, 対人好悪

目   的
 他者の魅力を評価するときに,態度や性格の類似度が高まるほど,魅力も高くなることが示されている(Byrne & Nelson, 1965)。そこで,梶原・梶原(2012)は,その逆に,自分の性格が,好きな人とは似ていて,嫌いな人とは似ていないといえるのかを調べた。その際,主要5因子を性格の評価点にして,調査対象者自身が,自分と好きな人,嫌いな人の三者すべての性格を5段階で評価した。そのため,その結果が,好きな人・嫌いな人の性格の実像というよりは,評価をする側の,好きや嫌いという感情によってもたらされたことも考えられた。そこで,本研究では,自分と,好きな人と嫌いな人の性格が,主要5因子において,どのように異なり,何が示されたのかを調べた。
方   法
 調査対象者 調査の対象は,19歳から78歳の382名(女性247名,男性135名)の通信制大学生であった。平均年齢は,47.6歳(SD=9.9歳)であった。
 調査内容 村上・村上(1999)による,主要5因子性格検査の5因子である外向性,協調性,勤勉性,情緒安定性,知性を評価項目とした。5段階評価では,外向性は,内向的と外向的,協調性は,冷たいと暖かい,勤勉性は,怠惰と勤勉,情緒安定性は,神経質と気楽,知性は,浅はかと思慮深い,を両端として5段階に区切り,評価スコアを,左から右へ1点から5点とした。
 手続き はじめに主要5因子の説明をしたあと,その5項目について,対象者に,同性で好きな人と嫌いな人,そして自分自身の性格を,5段階で評価させた。回答順序は,好き,嫌い,自分による6通りの順列のいずれかとした。
結   果
 評価対象ごとに,5因子それぞれの5段階評価のスコアについて,平均値を求めた(Table 1)。この値について, 3(評価対象)×5(因子)の2要因の分散分析を行った。その結果,評価対象と因子の主効果はともに有意であったが,交互作用も有意であった(F(8, 3048)=96.83, p<.001)。そこで,単純主効果の検定を行った結果,評価対象については,外向性以外は,すべて,好き>自分>嫌い,であった。外向性では,好き>嫌い>自分,となった。5因子については,自分では,勤勉性と知性がもっとも高く,情緒安定性がもっとも低かった。好きな人では,協調性がもっとも高く,情緒安定性がもっとも低かった。嫌いな人では,外向性がもっとも高く,協調性がもっとも低かった。
考   察
 評価対象については,全体的には,自分をはさんで,好きの評価スコアが高く,嫌いが低くなった。特に,好きな人の外向性と協調性の高さや,嫌いな人の協調性の低さは,対人好悪に大きな影響を与える可能性があるといえるだろう。
 たが,好きな人の評価スコアが,5因子のすべてでもっとも高く,嫌いな人が,外向性以外のすべてでもっとも低かった,ということからは,評価が,その対象の実像というよりは,好きや嫌いという感情がそうさせたということの方が,よりありそうに思われる。
引用文献
Byrne, D, & Nelson, D. (1965). Journal of Personality and Social Psychology, 1, 659-663.
梶原直樹・梶原和子 (2012). 日本心理学会第76大会発表論文集,2AMB11.
村上宣寛・村上千恵子 (1999). 性格は5次元だった 培風館