The 59th Annual Meeting of the Japanese Association of Educational Psychology

Presentation information

ポスター発表 PD(01-83)

ポスター発表 PD(01-83)

Sun. Oct 8, 2017 10:00 AM - 12:00 PM 白鳥ホールB (4号館1階)

10:00 AM - 12:00 PM

[PD61] 大学生の連続欠席者における不登校傾向得点の検討

坂原泰子1, 石川健介2 (1.金沢工業大学大学院, 2.金沢工業大学)

Keywords:不登校, 連続欠席, 不登校傾向尺度

問題と目的
 大学進学率の上昇とともに大学を長期に欠席し,単位を取得できなくなった結果,休学や退学に至る大学生の不登校の問題が指摘されるようになってきた(文部科学省,2000)。また,中途退学した学生は,非正規雇用が70.9%,失業・無業状態が15.0%で,就労で困難を抱えることになる(労働政策研究・研修機構,2015)。そこで,大学中退に至る要因の一つとして,大学生の不登校を取り上げることとした。
 大学では,履修登録が本人に任されているため早期発見が難しく,授業の出席日数や単位取得状況から不登校と判断されても,学生と連絡が取れない,学生が支援を拒否するなど,支援の困難が報告されている(水田他,2010)。そのため,大学生の不登校を減少させるためには,長期欠席が始まる前に生じると考えられる学校へ行きたくない気持ち(登校回避感情)や大学を休みがちになる登校回避行動を捉え,不登校に至る前に支援する必要がある。そこでまず,登校回避感情と登校回避行動からなる堀井(2013)の大学生不登校傾向尺度を使用して,欠席行動と不登校傾向の高さの関連を検討することとした。
方   法
対象者 中部地方の大学に在籍する大学生1年生から3年生を対象とした。研究に先立って,研究趣旨とプライバシー保護,研究参加の自由について説明を行った結果,8人が辞退し,1年生38人,2年生58人,3年生45人を対象とした。
質問紙 堀井(2013)の大学生不登校傾向尺度を使用した。堀井(2013)の大学生不登校傾向尺度は,登校回避行動6項目と登校回避感情6項目について「全然あてはまらない(0点)」から「非常に当てはまる(6点)」の7件法で評価し,その得点を合計して不登校傾向得点としている。最高得点は,72点であり,不登校傾向得点が高いほど不登校傾向が高いことを示す。
手続き 不登校傾向調査は,4月から7月の授業時間の空き時間を利用して隔週に7回行った。
結果と考察
 Figure 1に1日以上欠席した学生24名の欠席状況を示した。 は,欠席した日を示す。 は,各欠席者の不登校傾向得点がその調査日の平均得点から2SD以上高い得点であった日を示し,
さらに,不登校傾向得点がその調査日の最高得点を示した場合,「最」と表示した。その結果,欠席した学生24人中,高い不登校傾向得点を示す学生が12人おり,特に連続欠席した学生では,7人中5人が高い不登校傾向得点を繰り返し示していた。
 Table 1に学年ごとの欠席状況別不登校傾向得点の平均得点を示した。皆出席の学生と比較して,連続欠席した学生の不登校傾向の平均得点が高いことが分かった。
 しかしながら,不登校傾向尺度の高得点者が必ずしも連続欠席に至らないケースもあり,今後の検討が必要である。