The 59th Annual Meeting of the Japanese Association of Educational Psychology

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ポスター発表 PD(01-83)

ポスター発表 PD(01-83)

Sun. Oct 8, 2017 10:00 AM - 12:00 PM 白鳥ホールB (4号館1階)

10:00 AM - 12:00 PM

[PD78] 学校危機を経験した教師に関する研究(1)

危機でもたらされた教師自身の変化の自由記述分析

樋渡孝徳1, 原田雅也#2, 窪田由紀3, 山下陽平4, 山田幸代5, 向笠章子6, 林幹男7 (1.九州産業大学, 2.名古屋大学, 3.名古屋大学, 4.名古屋大学, 5.福岡県臨床心理士会, 6.広島国際大学, 7.九州情報大学)

Keywords:学校危機, 緊急支援, 危機後成長

問題と目的
 突然の事件・事故への遭遇等の何らかの学校危機について,これまでの調査で約3割の教師が経験しているという結果であった(窪田ら2016,樋渡ら2016)。トラウマ経験が,傷だけでなく成長をもたらすことは複数の研究で示されている(Tedeschi,R.G. & Calhoun,L.G.1996など)。本研究では,学校危機が教師にどのような影響を与えているか,教師の自由記述をもとに検討する。
方   法
【調査方法】対象,実施方法,質問紙の構成は
窪田ら(2016)の通り。実施に際しては名古屋大
学教育発達科学研究科倫理委員会の承認を得た。

【調査協力者】2887名の回答者のうち学校危機を経験した994名を分析対象とした。
【分析】事件事故を経験したことによる生き方の変化についての自由記述を分析した。自由記述の回答は97名から得られた。分析は緊急支援の経験を持つ臨床心理士を含む4名の臨床心
理士でKJ法(川喜多 1967)に準じた方法を用いて行った
結果と考察
 分析の結果を表1-表4に示す。危機対応への認識の変化として,危機を経験したことによって,協働の重要性を実感するとともに,協働の難しさを実感していることが窺えた(表1)。
 また,日常のあり方への認識の変化として危機に対して日ごろから備えることの重要性を実感していることが窺えた(表2)。
 人生観・価値観の変化として生き方や人間関係への思いへの変化も見られた(表3)。
 また否定的な変化として,トラウマ反応が見られたとともに,他者への不信感が高まっていることも見られた(表4)。
まとめと今後の課題
 危機を経験したことによって肯定的・否定的な変化が教師に生じていることが窺えた。今後,支援の有無によって変化に違いがみられるかをさらに検討していく。
*本研究の実施に際しては日本学術振興会科研費 基盤研究(B)(No.25285191)の助成を受けた。