10:00 AM - 12:00 PM
[PD80] 対子ども効力感尺度の作成
Keywords:子ども, 効力感, 尺度
目 的
大学生の学習支援活動が様々な所で行われているが,我々も児童養護施設児に対して1対1で学習支援を行うというプロジェクトを実施した。このような活動は大学生にとっても意義のある活動であることが認められているが(安藤ら,1999; 青山ら,2000),その客観的指標の一つとして子どもに対しての自己効力感(子どもを上手く扱えるという自信)の変化を測定したいと考えた。そこで,独自にその尺度を作成したが,その妥当性については検討されておらず,今回その妥当性を検討した。
方 法
対象者:3大学の1年~4年までの大学生328名(男子112名,女子206名,その他4名,未記入6名)。平均年齢19.70(SD=.97)歳。
指標:対人効力感尺度;このプロジェクトにおける学習支援活動に参加後,大学生において対人スキルとして,どのような成長が望ましいかについて3名の研究者が議論し,15項目を作成した。故に,対子どもに限らず,対大人に関する項目も含まれていた。詳細はTable 1参照。「全く自信がない~とても自信がある」の5件法とした。特性的自己効力感尺度(成田ら,1995);23項目から成り,一因子構造。「そう思う~そう思わない」の5件法。子どもとのかかわりに関する質問7項目;3名の研究者が子どもとのかかわりとして関連のある事柄を列挙する形で作成した;「小6以下の妹・弟がいるか」「小6以下の子どもと関わるアルバイトをしたことがあるか」「実習や体験等で幼稚園や小学生とかかわったことがあるか」等。「ある・なし」を聞き,「ある」場合はそのかかわり程度を5件法で聞いた。これらの尺度,項目は「対子ども効力感尺度」の妥当性を検討するために使用した。
結 果
「対人効力感尺度」の因子分析(主成分分析,プロマックス回転)のスクリープロットの結果,2因子と判断した。各因子負荷量,累積寄与率をTable 1に示した。この結果から,第1因子の9項目を「対子ども効力感尺度」とした。この9項目のα係数は.89であった。9項目の合計得点を対子ども効力感得点とし,特性的自己効力感尺度の合計得点との偏相関分析(年齢を統制変数とする)を行った結果,有意であった (r=.42, p<.001)。
次に,子どもとのかかわり項目で,「ある」を1点とし,「無い」を0点として合計を算出した。結果,0点が21.8%,1点が27.3%,2点が24.2%,3点以上が26.7%であった。0点(無群)と3点以上(高群)の間に「対子ども効力感」に違いがあるのかを検討するためにt検定を行った結果,高群(M=31.52,SD=5.37)方が無群(M=27.16,SD=7.73)よりも有意に得点が高かった(t=-3.90, df=136, p<.001)。同様の分析を特性的自己効力感においても行ったが,有意差は示されなかった。
考 察
「対子ども効力感尺度」としてはオリジナルの15目中9項目が望ましく,特性的自己効力感や子どもとのかかわり度との関連があり,収束的妥当性や判別的妥当性が確認された。この尺度は,教育実習や保育実習の効果や子どもと関わる活動などの効果を客観的にみる際にも有用であり,実用性は高いと考える。今回は第2因子に関しては分析していないが,将来的には「対大人効力感尺度」としての妥当性・信頼性の検討を考えている。
大学生の学習支援活動が様々な所で行われているが,我々も児童養護施設児に対して1対1で学習支援を行うというプロジェクトを実施した。このような活動は大学生にとっても意義のある活動であることが認められているが(安藤ら,1999; 青山ら,2000),その客観的指標の一つとして子どもに対しての自己効力感(子どもを上手く扱えるという自信)の変化を測定したいと考えた。そこで,独自にその尺度を作成したが,その妥当性については検討されておらず,今回その妥当性を検討した。
方 法
対象者:3大学の1年~4年までの大学生328名(男子112名,女子206名,その他4名,未記入6名)。平均年齢19.70(SD=.97)歳。
指標:対人効力感尺度;このプロジェクトにおける学習支援活動に参加後,大学生において対人スキルとして,どのような成長が望ましいかについて3名の研究者が議論し,15項目を作成した。故に,対子どもに限らず,対大人に関する項目も含まれていた。詳細はTable 1参照。「全く自信がない~とても自信がある」の5件法とした。特性的自己効力感尺度(成田ら,1995);23項目から成り,一因子構造。「そう思う~そう思わない」の5件法。子どもとのかかわりに関する質問7項目;3名の研究者が子どもとのかかわりとして関連のある事柄を列挙する形で作成した;「小6以下の妹・弟がいるか」「小6以下の子どもと関わるアルバイトをしたことがあるか」「実習や体験等で幼稚園や小学生とかかわったことがあるか」等。「ある・なし」を聞き,「ある」場合はそのかかわり程度を5件法で聞いた。これらの尺度,項目は「対子ども効力感尺度」の妥当性を検討するために使用した。
結 果
「対人効力感尺度」の因子分析(主成分分析,プロマックス回転)のスクリープロットの結果,2因子と判断した。各因子負荷量,累積寄与率をTable 1に示した。この結果から,第1因子の9項目を「対子ども効力感尺度」とした。この9項目のα係数は.89であった。9項目の合計得点を対子ども効力感得点とし,特性的自己効力感尺度の合計得点との偏相関分析(年齢を統制変数とする)を行った結果,有意であった (r=.42, p<.001)。
次に,子どもとのかかわり項目で,「ある」を1点とし,「無い」を0点として合計を算出した。結果,0点が21.8%,1点が27.3%,2点が24.2%,3点以上が26.7%であった。0点(無群)と3点以上(高群)の間に「対子ども効力感」に違いがあるのかを検討するためにt検定を行った結果,高群(M=31.52,SD=5.37)方が無群(M=27.16,SD=7.73)よりも有意に得点が高かった(t=-3.90, df=136, p<.001)。同様の分析を特性的自己効力感においても行ったが,有意差は示されなかった。
考 察
「対子ども効力感尺度」としてはオリジナルの15目中9項目が望ましく,特性的自己効力感や子どもとのかかわり度との関連があり,収束的妥当性や判別的妥当性が確認された。この尺度は,教育実習や保育実習の効果や子どもと関わる活動などの効果を客観的にみる際にも有用であり,実用性は高いと考える。今回は第2因子に関しては分析していないが,将来的には「対大人効力感尺度」としての妥当性・信頼性の検討を考えている。