The 59th Annual Meeting of the Japanese Association of Educational Psychology

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ポスター発表 PE(01-80)

ポスター発表 PE(01-80)

Sun. Oct 8, 2017 1:30 PM - 3:30 PM 白鳥ホールB (4号館1階)

1:30 PM - 3:30 PM

[PE34] 児童の援助要請スタイルと学級風土との関連

林亜希恵1, 中谷素之2 (1.名古屋大学, 2.名古屋大学大学院)

Keywords:援助要請スタイル, 学級風土, 児童

問題と目的
 「相談したいと思ったがしなかった」児童・生徒の存在が,指摘されている(小学生:佐藤・渡邉, 2013; 中学生:永井・新井, 2005; 高校生:石隈・小野瀬, 1997)。その要因には,援助要請対象の不在や否定的応答や秘密漏洩 (永井・新井, 2007) というコストの認知が挙げられる。したがって,援助要請を行うには,援助要請の受け手がいること,相手が受け入れてくれる雰囲気があることが重要であるだろう。自分の学級の雰囲気を,援助要請に肯定的であると捉えているほど,援助要請行動がしやすいと考えられる。後藤・平石 (2015) により,中学生の援助要請学級規範が検討されているが,児童においてはまだない。本研究では,援助要請スタイルの観点から,学級風土も同様にとらえ,児童の援助要請スタイルと学級風土について肯定的側面・援助要請スタイルの質的側面からの検討を行うことを目的とする。
方   法
【調査対象者】2017年の1月~2月に,東海地方の公立小学校3校において,児童および小学校教諭を対象に,質問紙調査を実施した。児童は,4年生231名,5年生94名,6年生91名の計416名であった。教諭は,20~60代の59名であった。
【研究方法】構成は以下の通りであった。
児童:児童用領域別援助要請スタイル尺度(高校生版領域別援助要請スタイル尺度(Hayashi, 2014)を参考に作成。学習面,対人関係面の2領域),援助要請学級風土尺度(瀬尾(2007)による認知されたサポート的態度を参考に作成。)
 実施に際しては,名古屋大学教育発達科学研究科倫理委員会の承認(番号16-913)を得た。
結果と考察
 各援助要請スタイルと各学級風土との関連を検討するため,相関係数を求めた (Table 1.1, 1.2)。学習領域においては,値は低いものの,自律的援助要請と自律的援助要請学級風土には弱い正の関連 (r=.28, p<.001)がみられた。一方の対人関係領域においては,自律的援助要請と自律的援助要請学級風土には中程度の正の相関関係 (r=.41, p<.001) がみられた。
 学級風土認知と援助要請スタイルには関連があることが示唆された。学習領域においては,児童においても,自律と依存が明確に区別され,援助を求める際には,よく考えてから援助を求めることを重視していることがうかがわれる。一方で,対人関係においては,自律的援助要請と依存的援助要請に中程度の正の相関 (r=.46, p<.001) がみられ,援助要請スタイルの区別なく捉えられていることが示唆された。