The 59th Annual Meeting of the Japanese Association of Educational Psychology

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ポスター発表 PE(01-80)

ポスター発表 PE(01-80)

Sun. Oct 8, 2017 1:30 PM - 3:30 PM 白鳥ホールB (4号館1階)

1:30 PM - 3:30 PM

[PE50] チームワーク能力が向上するプロセスの検討(2)

構成要素間の関連に着目して

太幡直也 (愛知学院大学)

Keywords:トレーニング, チームワーク, チームワーク能力の構成要素

 チームワーク能力(チームワークを発揮する個人の能力)は,トレーニングによって向上すると考えられている。太幡(2016)は,大学の半期(15回)の授業全体で実施する,大学生のチームワーク能力を向上させるトレーニングを開発した。そして,トレーニング後にチームワーク能力が向上することを示した(太幡, 2016, 2017a, 2017b)。しかし,チームワーク能力が向上するプロセスは明らかにされていない。
 本研究では,チームワーク能力の構成要素間の関連に着目し,太幡(2016)のトレーニングにおいてチームワーク能力が向上するプロセスを検証する。チームワーク能力には構成要素が仮定されている(Dickinson & McIntyre, 1997; Salas, Sims, & Burke, 2005)。太幡(2016)のトレーニングの構成は,“コミュニケーション能力”がその他の能力の基盤となるという仮定(相川・髙本・杉森・古屋, 2012; Dickinson & McIntyre, 1997)に基づいている。すなわち,前半(8回)は“コミュニケーション能力”に関する,聴く,説得するスキル,後半(7回)は残りの能力に関するトレーニングで構成される。本研究では,前半,後半の“コミュニケーション能力”の向上と,後半のその他の能力の向上との関連を検討する。
方   法
 調査対象者 2016年に,中部地方の私立大学A大学の授業内で実施された太幡(2016)のトレーニングに参加した,33名(男性19名,女性14名,Time1の調査時の平均年齢19.27歳(SD =0.45))を分析対象とした。
 質問紙の構成 調査は,事前(Time1),前半のトレーニング実施後(Time2),すべてのトレーニング実施後(Time3)の3回実施した。相川他(2012)のチームワークを構成する五つの能力を測定する尺度に6件法で回答を求めた(α=.66~.91)。下位尺度ごとに,あてはまると回答するほど得点が高くなるように得点を算出した。
結果と考察
 “コミュニケーション能力”に関する“解読”と“記号化”は,前半,後半の能力向上得点を算出した。そして,その他の能力の,後半の能力向上得点との相関係数を算出した(Table1)。その結果,ほとんどの能力は,前半,後半の“解読”と“記号化”の向上のいずれかと正の相関がみられた。このことから,太幡(2016)のトレーニングでは,“コミュニケーション能力”の向上がその他の能力の向上に寄与しており,能力によって“コミュニケーション能力”の向上が寄与する時点が異なると想定される。